日本人にしかできないロックンロールを世界に紹介したい
──THE TOKYOって今の時代にはなかなかいないタイプだと思うけど、お客さんたちにどんなことを届けたい?
アツシ:そりゃあもう、ただ気持ち良くなってもらいたいです。ロックンロールってのは人を踊らせる音楽だから、より多くの人に、心だったり身体だったりを躍らせたい。それはライブに限った話ではなくて、家でヘッドフォンして音楽を聴いてる人もいるでしょう。その人たちだって心は躍ってるはずです。通勤通学しながら音楽を聴いて今日も頑張ろう、お疲れとか。音楽は生活を華やかにしてくれるものだと思うんで。音楽はパンドラの箱ですよ。一度浸かってしまったらもう戻れない。「しまったなぁ…」ってたまに思いますよ(笑)。
──アルバムの最後にトラック名なしでブルースが入ってるけど、あれは誰が好きなの?
ハマー:それは俺ですね。最近思い出したんですけど、初めてブルースを聴いた時に「俺、これをやるんだ」って思ったんですよ。
リョータ:ジミヘンみたいだな(笑)。
──あのフレーズはオリジナルなの?
ハマー:確かブラインド・ウィリー・ジョンソンのフレーズを少しだけ弾いてますね。
──ライブでもハマのブルースから始まるよね。
ハマー:見てる側からしたら、何だろう!? って思うだろうね(笑)。
アツシ:それが良くて、日常から非日常へのスイッチに上手くなってると思うんだよね。お客さんとしても、ライブをやる俺らとしても。
──共演相手とかお客さんから「ブルースを感じた」って言われることも多いよね。
ハマー:多分、俺らが考えてるブルースとはまた違うと思うけど。昭和のブルースみたいなのをお客さんとかは俺たちに感じてるのかもしれない。
──メンバーみんな、ハマのそういうブルースの部分から影響を受けてそうだけど、それを音楽に活かしたりはするの?
アツシ:いや、活かすってのはないと思います。言葉にはできないけど、“THE TOKYOの音楽”っていうものがもうあると思うから、それを真摯にやっていくしかないと思うんですよね。もちろん、にじみ出ることはあると思いますが。
ツカサ:結果としてにじみ出てしまう部分がとても重要なんじゃないですかね。
──ルーツを大事にしながら自分たちのオリジナリティを追求していくと。アルバムも発売して、今後の展望は何かある?
アツシ:ひとつはさっきも言いましたが、LOFTとがっぷり四つに組んで次のロックンロールを作っていくってことです。あとは都外にももっと行きたいし、フェスなんかも出たい。普段音楽を聴かないような人たちにも聴かせに行きたい。それこそスーパーの駐車場とかでもいい。大勢の人にロックンロールを、THE TOKYOを聴かせに行きたい。もっと大きいことを言えば…ロックンロールはもともとアメリカのもので、それがイギリスだったりに移って。そろそろ日本のロックンロールが来てもいいんじゃないかなって思うんです。日本人にしかできないロックンロールがあると思うので。それを世界に紹介したいですね。「こんなもんあるんだぜ、ざまぁみろ!」って(笑)。
──THE TOKYOって、でかいハコでパンパンの人でってのが似合いそうだよね。
アツシ:そうですか? でもライブとかで言われますね、「お前らだけ武道館を見てる」って(笑)。
タイチ:2階席ないのに、そんな気分でやってたり(笑)。
──最近そういうギラついたバンドって少ない気がするんだよね。負けん気が強いと言うか、そういうとこもTHE TOKYOの魅力のひとつなのかな。「俺らのほうがイイ!」って感じが。
ハマー:それは正直、ずっと思ってますよ(笑)。
──そういう気持ちがないとバンドってダメだよね。
アツシ:もちろんそうだし、そういうバンドとやりたいですね。
新しい衣装『スカジャン』について
by コダマタイチ(guitar)
アメリカから日本へ…THE TOKYOと通じるものがそこにあった
2014年12月21日の『GOLDEN HOP』ツアー・ファイナルから新しい衣装になったんですよ。5人で同じスカジャン揃えて。何でスカジャンなんだって思うかもしれないですけど、それは何よりメンバー一人ひとりに絶対似合うと感じたのが大きくて、あとは日本の文化ってところに惹かれたからです。
でも、思いきって衣装を揃えるのはとても勇気が要ることだったんです。たとえば全員革ジャンっていうのは難しくないんですけど、慎重にならなきゃいけなくて。「ロックンロールだから革ジャン」っていう様式美は確かに存在するんだけど、一人でも似合わなければ一気に嘘くさい風景になっちゃうから。「似合わなくてもこれを着るんだ!」っていう泥くさい男人情も僕は好きだけど、カルチャーを紡ぐ表現者としてはそれではダメで。僕たちも『GOLDEN HOP』の裏ジャケでは革ジャンを着てるけど、それはあくまでみんなが日常的に着てるっていうバックグラウンドがあったからだし、そういう意味では裏ジャケは“素のTHE TOKYO”です。でも僕たちは日常から非日常へのON/OFFを積極的に行なっていくバンドだから、あれをステージ上でやっちゃうのは違うなと思ってて。
そういう前提で衣装を考えてた時に、ハマさんがスカジャンって初めて提案してくれたんです。予想外でびっくりしたんですけど、考えてみたら凄くフィットしたんですよ、僕がウチのメンバーに抱く理想の空気感に。この理想が大事で、客観的にスカジャンを着てるTHE TOKYOを見たら面白いだろうなと。それでちょうどSchottさんでスカジャンを見つけて。Schottってのも良かったですね。シド・ヴィシャスがそこの革ジャン着てたりして有名ですけど、そんなアメリカ生まれのブランドが日本の横須賀に出会って生まれたってのもTHE TOKYOと通じるところがあるので。それに、今の時代に着ても凄く自然だなっていうのが決め手です。