──ウエノさんの話が尽きないですね（笑）。

武藤：それはやっぱり、ウエノ君を軸にしてみんなつながってるからね。武藤ウエノも何やかんやと5年続いてるし、結局みんな仲間って言うか。真也君もPATCHもたまたま同じバンドじゃなかっただけで、機会があれば「ちょっとやろうか」っていつでも一緒にやれるだろうし。斉藤と真也君が同じバンドをやってるようにね。

楠部：そうですね。シゲキ・バンドのピアノの方が抜けることになった時、シゲキ君の中ですでに斉藤君を候補として考えていたそうなんです。

武藤：俺もシゲキ君とはたまにライブをやったりするしね（武藤昭平 with 浜辺シゲキ & HIROKI）。シゲキ君は俺の歌を好きでいてくれたりするし、俺もシゲキ君の歌は凄く好きだし、お互いのレパートリーを一緒にやるつながりもあるんだよ。だからやっぱり、仲間なんだよね。…ところでさ、キャロとしてはこれから先のことをどう考えてるの？

──そう、それを訊きたかったんですよ。

武藤：俺がウエノ君から聞いたのは、今のところアルバムを作るつもりもないし、ロフトに対する恩義があるから久しぶりにやってみたってことで。真也君とPATCHはどんなテンションなの？

楠部：まぁ、現状は新曲を作る予定がないっていうのも、ウエノさんマジックで急に変わってるんかい!? ってことになるのかもしれませんけどね（笑）。

武藤：そうだよね。現時点では武藤ウエノの曲作りの最中だし、キャロのことまで頭が回らないんだろうし。

楠部：この間、チッタの楽屋で3人で話してたのは、ライブのお誘いがあること自体が有り難い話なので、スケジュールが可能であればお話を受けていこうと。

武藤：限定的な活動じゃなく、もうちょっとやってもいいんじゃない？ って感じだったら、たとえば勝手と一緒に2マンのツアーをちょっとやってみるとかさ。

PATCH：いいですね。

楠部：ウエノさんが動けるなら、是非やりたいですね。移動の行程を含めたスケジュールが可能であれば。

武藤：キャロとは古い付き合いだし、勝手としても刺激をもらえる2マンになるだろうし、何より俺自身がキャロを見たいんだよね。

楠部：個人的に思うのは、やれる時にやらないとなってことなんです。ヘンな意味じゃなくて、人間、いつ死ぬか分からないですし。今度の勝手にしやがれとの2マンの後は一切のオファーを断るわけじゃないと僕は思ってるし、ウエノさんもきっと同じ気持ちだと思うんです。ただ、アルバムを作ってツアーをするという通常のバンドの動きは今のところ難しいというだけで。ムリせずやれるのであれば、この3人で音を出せたらいいなと僕は思ってますね。

武藤：キャロの3人のプレイも佇まいもやっぱりいいなとロフトのイベントで思ったんだよね。純粋に復活したことが嬉しかったし、気持ちが熱くなったしさ。今度の2マンでまたキャロを見れるから嬉しいよ。俺とウエノ君が揃ってるのに武藤ウエノをやらないっていうのも面白いけど（笑）。

──ネットの反応では、武藤ウエノをやらないのか？ って声もありますね。

武藤：キャロと勝手のオープニング・アクトが武藤ウエノとか？（笑）

楠部：ややこしいわ！（笑）

PATCH：オープニング・アクトは斉藤真也でいいんじゃない？

武藤：それいいね。（斉藤に）お前、「もしもピアノが弾けたなら」の弾き語りやれよ（笑）。

斉藤：いや、勘弁して下さい（笑）。

──じゃあ、終演後はバー・ステージで武藤ウエノ、斉藤真也、締めはPATCHさんの弾き語りでお願いします（笑）。

PATCH：それじゃ全く締まらないよ。チューニングもウエノさんにお願いしないとできないし（笑）。

武藤：まぁ、何にせよ楽しみだね。ロフトでの一夜限りの共演ってことになるかもしれないけど、レア感があると思うし。しかも他でもないロフトだからね。俺たちも熱いものがあるしさ。キャロが活動休止を発表したのもロフトだったでしょ？

楠部：そうですね。

武藤：あのライブの時、ロティカのあっちゃんが「LONESOME DOVE WOODROWS」って思いきり書いてあるシャツを着てたんだよね（笑）。

PATCH：随分と後輩思いだな（笑）。

武藤：キャロが活動休止になるライブなのに、なんでロンサムのシャツなんだろう？ って思って（笑）。

 

──当日、両バンドのセッションにも期待したいところですけど。

武藤：いやぁ、ツイン・ドラムになったりするとセッティングが面倒だからさ（笑）。

楠部：それならいっそ、武藤ウエノをやっていただいたほうがいいですよね（笑）。セッティングも簡単だし。

武藤：そう言えば、この間のチッタの時、ウエノ君は武藤ウエノの格好だったよね？

楠部：あのスーツ、そうですよね？ 武藤ウエノ・バージョンのウエノさんだった（笑）。

武藤：やっぱりね、ウエノ君はキャロみたいなバンドで、白のプレベでゴリゴリに弾くのが格好いいよね。芯がないぐらい叩くように弾くのが凄くウエノ君らしいしさ。武藤ウエノを一緒にやってはいるけど、客として見た時に「ああ、やっぱり格好いいわ」って素直に思ったね。それに加えて真也君とのタイム感もいいし、PATCHがグイグイ引っ張る感じもいいし、キャロって凄く格好いいなと改めて思ったんだよね。トリオでできる最大限のことをやってるって言うかさ。

楠部：嬉しいですね。僕らがミッシェルの時から知ってるウエノさんらしさがキャロにはありますよね。

武藤：勝手にしやがれの場合はジャズの要素も取り入れて、別の角度からでもロックンロールになるでしょ？ っていう追求をずっとしてきてるんだけど、ロックンロールってこういうものじゃないの？ って真正面から体現してるバンドってあまりいないと思うんだよね。キャロはまさしくそういうバンドだなと、この間のライブを見て改めて感じたね。

楠部：ウエノさんの持つパンクの匂いが大きいと思うんですよね。武藤さんも僕の中ではパンクの匂いがするんだけど、武藤ウエノでやってる音楽はパンクの新たな表現じゃないですか。それに比べるとキャロでのウエノさんはもっと直球なパンクですよね。

武藤：そうだね。キャロってカテゴライズで言えばガレージなのかもしれないけど、もはやガレージの域を超えてると思うんだよね。凄く貴重なバンドだし、ファンとしてもそのテイストを出し続けて欲しいな。こうして復活も果たしたわけだし、これからが楽しみだね。

楠部：僕らも楽しみです。勝手にしやがれには、今度の2マンで是非「祈りのオリオン」をやっていただきたいですね。誰が何と言おうとあれは名曲だと僕は思ってるんで。

──最初の話に戻りましたね（笑）。

楠部：『デカダンス・ピエロ』を初めて聴いた時、勝手にしやがれの世界観にはとにかく圧倒されましたからね。その中でもやっぱり「祈りのオリオン」が最高なんですよ。自分でも唄えるぐらい好きなんで。

武藤：じゃあ、当日は「祈りのオリオン」を真也君が唄えばいいんじゃない？（笑）

PATCH：そうだ、やらせていただきなさいよ（笑）。

楠部：いやいやいや、お客さんに「お前が唄うんかい!?」って言われちゃいますよ（笑）。

武藤：でも、それアリかもね。

楠部：ないですよ！（笑） 武藤さんのボーカルで聴きたいんですから。

PATCH：アンコールならいいんじゃない？

武藤：じゃあ、キャロで「JUST LIKE MARIA」を俺が唄うとかさ（笑）。

楠部：それはアリですね。

武藤：いやいやいや、やっぱり真也君のボーカルで聴きたいよ。

──では最後に、発言の少ない斉藤さんに締めていただきましょうか。

斉藤：レディキャロと一緒にやれるのも、ライブを見れるのも楽しみですし、勝手にしやがれとレディキャロを聴いたことがない人、名前だけは聞いたことがあるって人も、是非遊びに来て欲しいですね。

楠部：……マジメか！（笑）

武藤：キャロと勝手が揃うとなると、2000年代の真ん中ぐらいの雰囲気がどうしても出るよね。お互いに切磋琢磨していた時代の匂いがさ。あれから10年以上経ったけど、日本のロックンロールは全然捨てたもんじゃないっていうのをキャロと勝手の2マンで見せられるんじゃないかな。しかも場所は新宿ロフトなわけでさ。あの時代にタイムトリップできる感じもあるだろうし、日本のロックンロールが死んでないことをロフトで発信できると思う。そんな夜になる気がするね。

楠部：武藤さんのお陰でバッチリ締まりましたね。

武藤：最後に頼むよ、斉藤君。

斉藤：いやいや、もう充分締まりましたから（笑）。