アラサー年代の社会人バンドのヒーローになれたら
──年齢的なこともありますよね。30歳を超えると物事を客観視できるようにもなるし。
太田垣:ありますね。妙に達観しちゃってる部分もあるし。
田島:俺は結婚もしちゃったしな(笑)。
滝:割とふんわりとした間柄だけど、作る音楽はちゃんと自信の持てるいいものっていうのがこのバンドの良さですね。普段はひたすら酒を呑んでるだけなんですけど(笑)。
──jamming O.P.にとって、呑むことは練習と同じくらい大切なんでしょうね。
滝:活動の8割は呑み会なんで(笑)。
太田垣:3時間練習した後は、3時間きっちり呑むっていう(笑)。
滝:ライブは2、3ヶ月に1本しかやらないのに、毎週呑んでますからね(笑)。
──そんな万年マイペースなjamming O.P.が、なんとアルバムのリリース・ツアーをやるということなんですが、ツアーをやるのはこれで何回目なんですか。
滝:3回目ですね。デモを2枚出した時にそれぞれツアーをやったので。2回目のツアーは割と大きめに十数本ライブをやって、その前のツアーは3、4本のライブをやったんですよ。俺が骨折した時で。
太田垣:そうだ。どっか行って、高崎、横浜と来て、足骨折(笑)。
チャック:流血騒ぎになった仙台はいつのツアーだっけ?
太田垣:あれは2枚目のデモの時の“リリース間に合いませんでした”ツアー。最終日にやっとデモを発売できたっていう(笑)。まぁ、こうしてツアーの告知ができるのも感慨深いですね。なんかのサイトに「年に2、3回しかライブをやらないバンドが3年分のライブを1ヶ月でやる」って書かれてて、全くその通りだなと思ったんですけど(笑)。
滝:ということは、この先3年はツアーをやらないのかな?(笑)
太田垣:そうなる可能性は大いにあるからね(笑)。
チャック:このツアーが終わったらすぐにドラムを録り始めるよ。そしたらまたちょうど3年後にアルバムが出せるでしょ?(笑)
──次に皆さんにインタビューできるのは2018年くらいですかね?
太田垣:俺とチャックは36歳かぁ…(笑)。
滝:このペースでやっていて、今回のアルバム以上のクオリティを目指せば2、3年は普通にかかるよね。今回もこれだけの時間をかけられて良かったと思うし、この3年分の個々人の成長を音に込められただけでも3年かけた意義があったと思うんです。3年前ならこれだけのものは作り上げられなかっただろうし。
──商業ベースには乗らずに、3年間じっくりと腰を据えて1枚のアルバムを作り上げるって、このご時世じゃなかなかできないことですからね。
滝:リリースの時期とか制約に縛られないのはホントにいいですよ。
太田垣:それもこれも、俺たちの活動ペースを理解してサポートしてくれるスタッフの皆さんのお陰ですよね。ホントに有り難いことです。
──ただ、明確なリリース時期を決めないことには締切がずるずると延びる一方だと思うんですが、その辺はどうしていたんですか。
太田垣:年の頭に「今年はアルバムを出すぞ」と宣言して、年末になると「今年も出せなかったねぇ」ってことになる“出す出す詐欺”を毎年繰り返していたんですが(笑)、今年は真剣にやろうと思って締切を作ってもらったんです。
滝:もう2回ぶっちぎっちゃったからねぇ(笑)。
──今年が結成10周年だから、2014年のうちに出そうと?
太田垣:それは全然意識してなかったです。そういうのを考えていたら、もっとちゃんと準備しておくだろうし(笑)。
滝:jamming O.P.には独特のバイオリズムがあるんですよ。「一刻も早くアルバムを作りてぇ!」って時と「今はちょっと休みたいなぁ…」って時があって、今回はイケイケのモードの時に締切を決めちゃって、ガツガツ録って。テンションが下がってきたらパソコンも壊れちゃって、何ヶ月も作業がストップするという辛い事件もあったんですけどね。
──じゃあ尚のこと、このアルバムが完成して感慨もひとしおですね。
滝:自分で言うのもなんですけど、けっこう感動的ですね。これでアラサー年代の社会人バンドのヒーローになれたらいいなと思って。見た目は課長クラスの貫禄のあるドラマーもいることですし(笑)。
太田垣:この歳になってもバンドは楽しいなってことを伝えたい気持ちがあるんですよ。もうそろそろ次の世代に何かを残していかなくちゃいけないと思ってるところが生意気にもあって、今回のアルバムを聴いてバンドを始めたり、楽器を始めたりする人が出てきたら嬉しいなと。もしくは、打ち上げでアホみたいに呑んでる俺らの姿を見た人が「バンドって楽しそうだな」って思ってくれたりとか(笑)。
──やっぱり、この先もバンドを楽しく続けていくのがjamming O.P.の目標ですか。
チャック:そうですね。お互いに刺激を受けながら、いい音楽を作り続けたいっていうのが一番ですね。呑みと一緒で、「こういうアイディアがあるんだけどさ」って話し合いながら音楽を作り上げていくのがバンドをやってて一番面白いことだし。それを1日でも長く続けたいです。
太田垣:ホントにその通りだね。今回はアルバムを作り上げるのに3年かかったけど、次は自分たちでもびっくりするくらい早いペースで作品が仕上がることがあるかもしれないのがこのバンドの面白いところなんで。
──今回のアルバムが万が一バカ売れしたらどうします?
太田垣:友達も引き連れて熱海に慰安旅行ですかね。1日でお金を使いきっちゃったりして(笑)。
滝:何しろお金には無頓着なので、みんなに酒を奢りまくっておしまいだよね(笑)。それもまたjamming O.P.っぽくていいんじゃないかな。