同期のバンドと共有する“生き残った者同士の感慨”
──目下『「KYO-MEIワンマンツアー」〜暁のファンファーレ〜』を鋭意敢行中の皆さんですが、今やホールでも充分やれる動員があるのに、割と中小規模のライブハウスも隈無く回っていますよね。これはライブハウスの空間でこそ伝えられるものがあるという意図があるからなんでしょうか。
山田:うん、そういう部分もありますね。
松田:小さいライブハウスから始まって、一歩ずつ階段をのぼるように会場が大きくなってきたので、ホームであるライブハウスに比べてホールは作り込む見せ方をするイメージがあるんですよ。ライブをやるテンション自体は変わらないんですけど。
──ホールはアウェイな感覚があります?
松田:最近はないですけど、最初に渋公をやった時は「ああ、ホールってこんな感じなんだな」っていう感覚の差はありましたね。
山田:今は今で、ホールならではの楽しみ方がありますよね。
──THE BACK HORNはクラブチッタでライブをやるイメージがあまりないですよね。
山田:多分、1、2回しかないんじゃないですかね。THE HIGH-LOWSやSHORT CIRCUITと一緒に出たイベントは覚えてますけど(2005年1月15日、『bayfm 15th Anniversary “BAY BEATNIKS LIVE FACTORY”』)。
──THE BACK HORNも気がつけばキャリア16年の中堅バンドなのに、今回の“ロフトFes.”の出演陣のなかでは若手の部類に感じられるのがおかしいですよね(笑)。
松田:確かにそうですね(笑)。でも、怒髪天やThe Birthdayといった先輩バンドのライブを見ると、16年経ってもまだまだ若手だなとも思うんですよね。
──ロフトがホームだった頃に共演した同世代のバンドが次々と活動休止を余儀なくされるなかで、THE BACK HORNは今も第一線で活躍し続けているじゃないですか。今や2度の日本武道館公演も果たして、今度のツアー・ファイナルもZepp Tokyoで締めくくるわけで。
松田:何とかしぶとく生き残ってますよね(笑)。
山田:この間、MO'SOME TONEBENDERの百々(和宏)さんとちょっと喋ったんですけど、モーサムも同期なんですよね。『スぺースシャワー列伝』の第1回(2001年4月)にも一緒に出たし。
松田:まだ渋谷のeggsite(現・eggman)でやってた頃だね。この間、たまたま氣志團の綾小路翔さんと会う機会があって挨拶をしたら、「うわぁ、同期組!」って言われたんですよ。氣志團も僕らと同じ2001年にメジャー・デビューしたんですよね。メジャーになりたての頃は、氣志團、KICK THE CAN CREW、モーサム、THE BACK HORNっていうバンドのどれか2組がイベントで一緒になることが多かったんです。そんな話を翔さんとして、「それまでのメジャー・デビューした輝かしいバンドと違って、この世代のバンドは自力でここまでやって来た」みたいな話を聞かせてくれたんです。そんなふうに言ってくれて、僕らのことを覚えててくれたのが凄く嬉しかったんですよね。
──一緒に闘ってきた仲間みたいな意識があるんでしょうね。
松田:モーサムともそんな話になったんですよ。いろんなイベントで会いすぎてるから、「お前らの顔はもう見たくない! もういいだろ!」って(藤田)勇さんにも武井(靖典)さんにも言われるんです(笑)。
山田:同時期にデビューしたバンドは同志みたいな感覚がやっぱりありますよね。「お互い、よく生き残ったな!」って思いがありますから。
松田:フェスの会場でばったり会うと、思わず泣けてくる感じはありますね(笑)。
山田:生き残った者同士の感慨があるし、励まし合いたくなるよね(笑)。
松田:活動の規模に関係なく、自分たちのやりたいことをずっとやり続けている、まだ精力的に活動していること自体、凄いことだと思うんです。歩みを止めずに続けてきたからこそ見えてきた景色もあるだろうし。この間の『ARABAKI ROCK FEST.』でもバックステージでそんな話を延々していたんですよ。ストレイテナーのホリエ(アツシ)君やひなっち(日向秀和)、ACIDMANの大木(伸夫)君なんかと。彼らも同期ですからね。
──最後に、オープンから38周年、歌舞伎町移転15周年を迎える新宿ロフトにメッセージを頂けますか。
松田:ロフトは自分たちがバンドを結成して間もない頃、バンドが足固めをする大事な時を過ごした場所なんです。そうやって僕らみたいにロフトを出発点とするバンドがこれからもどんどん生まれてくれば嬉しいですね。
山田:ロフトに憧れてるバンドは今もいっぱいいるし、この先もずっと憧れの場所であり続けて欲しいですよね。世の中がもっと面白くなっていくような、いつ行ってもわくわくするような空間をこれからも作り続けて欲しいです。