さる4月19日、MOROHA初の1st 12inch VINYLが発売された。それに伴い、5月10日を初日に『12inch VINYL RELEASE MOROHA 2MAN TOUR 〜Lyrics & Beats〜』を敢行。最終日となる6月13日の会場は新宿LOFT、迎えるはTHA BLUE HERB、勝ち負け必至の90分勝負だ。
1st ALBUMから3年、2013年11月には待望の2nd ALBUM『MOROHAⅡ』をリリース、今年3月の渋谷WWWでツアー・ファイナルを終え、ひとまず燃え尽きたかと思いきや、MOROHAのその勢いは留まることを知らないらしい。今回はMOROHAとの親交も深い宮川企画の宮川氏と、新宿LOFT副店長の望月慎之輔を迎え、等身大のMOROHAの"今"をたっぷりと訊いた。(interview:二上亜架里/新宿LOFT)
THA BLUE HERBは言い訳を全部殺してくれる人たち
──今回のツアー、なぜ新宿LOFTでファイナルを迎えようと思ったのですか?
UK:いろいろありますけど、一番はただ単純に好きだからです。練習も新宿だから、居心地もいいし。
アフロ:LOFTは何回もライブさせてもらってて、やついさんのイベントから始まって、それこそ宮川さんのイベントにも出演させて頂いたりもしてて。
望月:2013年9月の宮川企画か。昼一からMOROHAでしたね。あのイベントも面白かったな。
宮川:ありがとうございます。相変わらず、まだああいったイベントは企画してて楽しいですね。
──今回のツアーのラインナップなのですが、前回の2nd ALBUMツアーのラインナップはバンド×MOROHAっていう印象が強かったなか、HIP HOPオンリー、ラッパーとのガチンコ2マンって感じですね。
UK:HIP HOPっていう括りにされることもしばしばって感じなんですけど、HIP HOPと呼ばれる以上はアナログをリリースしないと一人前じゃないでしょ、っていう考えがあって。それならアナログのリリースに絡めてHIP HOPのアーティストのみを集めてツアーしたら面白くなるんじゃないかと思ったんです。
アフロ:HIP HOPリスナーは、バンドとのミックス・イベントとかにあんまり来ない印象があるんですよね。ハードコアとのミックス・イベントとかも、面白いのたくさんありますけど、なかなか難しいなっていうところがあって。やっぱりラップ好きはラップがとにかく好きなんですよね。だからきっちりラッパーとやるっていうほうが、HIP HOPリスナーに届きやすいんじゃないかなって思ったんです。2nd ALBUMツアーが終わったら、次はもう完全にラッパーとやろうっていうのは結構前から決まってました。最高のメンツとやれることを嬉しく思います。
望月:宮川さんは、MOROHAをラッパーだけっていうラインナップで組んだことってあるんですか?
宮川:まだないです。ただ自分のなかでは凄くやりたいなって思いますね。
望月:俺、MOROHA側がラッパーとライブをやるのと、外側の人がMOROHAとラッパーをブッキングするのって凄く意味合いが違うと思うんですよね。
アフロ:うん、自分たち主導でハコを押さえてアーティスト招いて挑みに行く、ってことに意味がありますよね。HIP HOPに似つかわしくない必死感が俺たちらしいと言うか。でも、ステージに立てばやることは一緒ですよ。最近は共演がHIP HOPだからこうしようとか、バンドだからこうしようとか、意識してセットリスト組んだりもしないし。どこででもいつも通りで勝負できるという自負は、2nd ALBUMを出した辺りからは凄くあります。
──ファイナルはいよいよTHA BLUE HERBですね。
アフロ:嬉しいっすね。
望月:俺、THA BLUE HERBってツアーも自分たちで回して、レコードも自分たちで作ってみたいな姿勢ってやっぱりMOROHAとベクトル的に同じ方向を向いてるのかもなって思ってたんだよね。
アフロ:もう、言い訳を全部殺してくれる人たちですよね。ひとつの指針ではあります、確実に。活動を見てると、身が引き締まる思いですよね。
望月:MOROHAとTHA BLUE HERBとか、組みたいもんね。それを自分たちでやってしまうという(笑)。
アフロ:いや俺たちだって、早く誰か組んでくれよって思ってましたから!
望月:そうだよね(笑)。この日のために、結構いろいろやってるもんね(笑)。
アフロ:ちなみに宮川さんはこの前、THA BLUE HERBのライブを観に行った後「アフロくん、MOROHA勝てないかもしれないよ。あはは」ってわざわざ電話してきましたからね。ホント嫌だった(笑)。
いつだって絶対負けたくないし、挑み続けていきたい
──個人的にもお伺いしたいんですけど、この人とは是非ライブがしたいっていう人とかいるんですか?
アフロ:フラワーカンパニーズですね。これはもう俺の個人的な気持ちなんですけど、音楽に限らず生きていく上で笑うとか楽しむとかの気持ちに勝るものはないと思うんです。拳握りしめて、畜生! っていうのも凄くいいと思うんだけど、笑ったりとか優しい気持ちになれたりすることが俺は一番素敵なことだなと感じてて。MOROHAもそういう部分をもっと増やせたらなって思うんです。今のMOROHAはとにかく闘志で刺しに行ってる。でも俺、フラカンのライブには感情が全部あると思うんです。楽しさと、優しさと、苦しさと全部があって、故に全部胸に来るって言うか。あの吐き出し方は俺らにはまだできないなって思って。
望月:じゃ、THA BLUE HERBとの2マンは凄まじいね。思いっきり刺しに行くみたいな(笑)。これはどこまで行けるかの挑戦だね。
アフロ:そうですね。UKくんは誰とやりたいの?
UK:うーん。俺は今も昔もそうなんですけど、あんまり誰とやりたいとかないんですよね。もちろん好きな人とはやりたいなっていうのはあるんですけど、だから特別かって言われたらそうではなくて。それこそもう強いて挙げるなら、久石譲とかそれこそ坂本龍一とかそのレベル。もうやれるなら誰とでもやりたいっていう感じです。割と自分たちはこういう音楽やってるから聴いてほしいっていう、そっちの気持ちのほうが強いです。
──宮川さんはイベンターとして、MOROHAと観たいバンドとか考えてますか?
宮川:僕もこれといって考えてないです。MOROHAがやりたいって言ったら、よし組もう! っていうところから始まるイベントもいいなって思うんですけど、オーガナイザーとしてはこのバンドやばいっしょっていうのを逆にMOROHAに見せていきたいなとは思っています(笑)。
──望月さんは?
望月:俺はMOROHAとは付き合い長いんだけど、実はそこまでがっつりでかい舞台に引っ張りだしたことがなくて。今回もアフロくんから話をもらって、よし! ってなった感じだし(笑)。
アフロ:俺は、望月さんの行動は常に気にしてますからね(笑)。
望月:そうなの?(笑) でもそれこそさっきの久石譲じゃないけど、こんなことやるのか! みたいなイベントはいつか組みたいなとは思ってるけどね。MOROHAは生きてる感じと言うか、生活感がいい感じに音楽に出てると思うから、それを活かしたものを創りたいな。
アフロ:そうですかね。ラッパーって割とそうなのかもしれない。
──今回のツアーを終えて、MOROHAの今後は?
アフロ:現実的な状況をもっと良くしたいです。良い音楽を発信し続けていきたいっていうのはもちろん大前提としてあるんですけど、世話になった人たちに早く具体的な結果を見せたいです。性格的に趣味で音楽をやるのは無理なので。純粋かつやることやって結果出したいっすね。俺は今のペースが良いとは思っていないので、この先1年くらいが背水の陣だと思ってます。
UK:俺は基本的に変わらないです。今回のツアーを終えて何か見つける、達成するってよりかはこの気持ちを維持し続けること、勝ち負けで言えば勝ち続けることをずっと考えてますね。今回のメンツに、自分で呼んだんで言うのもおかしいですけど、絶対負けたくないし、挑み続けていきたいなとは思ってます。いつだって。
●宮川企画・宮川 プロフィール
2002年上京。複数の音楽業界を経て現在は宮川企画主催。ジャンルではなく“カッコ良い人”縛りで行なう宮川企画の代表イベント『マイセルフ, ユアセルフ』ではほぼ1ヶ月毎日都内で開催された竹原ピストル大東京ツアー、新宿LOFTにて水曜昼間から20組の強者と行なう平日8時間フェス等、真似る気にもならない濃い発想で全国各地から話題を集めている。