ピュアなところにロックバンドとして戻れたという感じ
── さっきお話にあがった平床さんに聴かせたデモというのが、ベストアルバムに1曲新曲が収録されてましたけど、その曲になるんですか?
岡本:そうです。でも、この男(平床)がひねくれ者で、ベスト盤に新曲を入れたくないって。
平床:バンドが再結成して、新しい曲を1曲入れてベスト盤を出すという方程式が当たり前過ぎてイヤだったんだよね。でも、いろいろと話をしてく中で1曲新しいものを入れたほうが良いのかなって思えるようになって。新しいことをやるために僕は戻ってきたから、どんどん新しい曲を作っていきたいんです。
岡本:今回はいろいろ曲があった中から、これぞヘルマンという曲をチョイスして。もっといろんな音楽性が僕らにはあるので、今後いろいろ出していくにしても、良い感じでウォーミングアップが出来たと思います。
── ひさしぶりにレコーディングされて、みなさんで合わせる時ってどんな感覚だったんですか?
岡本:みんなで音出してリハやって、リズム隊はサポートなんだけど違和感もなかったし…何て言うんだろうね、若井くん。
若井:素晴らしいってことだね。
岡本:オマエは何にもわかってないよ(笑)。
平床:独特のヘルマンイズムと言うか空気感というのが、口では説明できない何か、くだらなさだったり、でも熱いところだったり、そういう空気がありましたよね。それぞれ年は取りましたけど、自然と今があるという感じ。長い間お互いのことをやりながらも、ちゃんと芯がある状態でそれぞれが時間を過ごしていたから、ひさしぶりにこのメンバーで音を出しても違和感はなかったです。逆に出来る事が増えていて、ストレスはなく制作出来たところが「行けんじゃね?」と思ったところでもあるかな。
若井:自分たちが出来ることの選択肢が増えたというのがすごくあるのかもしれないですね。
岡本:個人個人が素のままで集まって音を出して、それが楽しいしかっこいいというのがもともとあったヘルマンの姿で、そこに立ち戻れたと言うか、当たり前のピュアなところにロックバンドとして戻れたという感じはあります。やらされてるわけでもないし、やりたくないことをやってるわけでもないし。
平床:動機がそれだから、リリースがいつあるとかも考えず、みんなでまた新しいものを作っていきたいねっていう気持ちでやっていて、リハをやりながら、こんな曲だったね、けっこういいじゃんみたいな楽しみ方も出来ているし。
岡本:昔はあまりにも時間の流れが早すぎて、自分らの曲もよくわからないまま鳴らし続けていたんだけど、それが今になって飲み込めて、どーんと発信出来ている気がしますね。若さとはまた違う衝動と言うか。
── そのベスト盤は21曲の過去曲が収録されてますが、たくさんある中からどういう基準で選んだんですか?
岡本:古い順とかもう売ってない順とか。
若井:入ってたら面白いと思われるだろうとか(笑)。
岡本:たくさんあってキリがないので。このへんがヘルマンらしいんじゃね? っていう感じで。
平床:ワーナー(ミュージック・ジャパン)の当時のA&Rの人がまた関わってくれているんですけど、彼がリストアップした曲なんです。
若井:チェックお願いしますってメールが来たけど、誰も返信してないと思う。した?
岡本:してないかも(笑)。
若井:1〜2曲だと思う。そこから追加したり抜いたりしたのって。
岡本:『靴底』なくね? って気付いて後になって追加したりとか。
若井:なんで『ティーンエイジ・タンバリン』が入ってるのか今でも不思議だよね。
平床:不思議だね。僕が歌ってる曲がなぜか入ってる(笑)。でも、そんなんがいいんですよ。深く考えない方が。そういうノリがあったほうがヘルマンらしいから。
── 再始動してからはイベントに出演したり、ライブを精力的にやっていて、4月にはこのベスト盤のリリース記念ライブが大阪と東京でありますが、どんな感じになりそうですか?
岡本:ベストに入ってない曲もやるし、詳しいメニューは決まってないんですけど、だいぶスポーツな感じになるんじゃないかなと思ってます。
── ウルフさん体力的にはどうですか?
若井:まだまだ行けますね。でも、この間Ustの番組をやって、昔のライブ映像を見たんですけど、めっちゃ動いてる! って自分に引きました。これはヤバイわって(笑)。身が引き締まる思いでした。
平床:キレッキレだったね。
── 昨年のリキッドの時はどうでしたか?
若井:何も変わらず個人的には出来たかなと思ってます。人の目には違って映ったかもしれないけど(笑)。