涙が枯れて毒舌キャラが確立!?
小春:早く進んでいったね。ゴールデン街のママに戻って、今のキャラが確立された時期でもあって(笑)。それまでMINORITY ORCHESRTRAもチャラン・ポ・ランタンも毒っ気はなくて、そういうコンセプトなのかっていうぐらいワンマンの時は100%泣いてた。でも、いろんな別れが立て続けに起きて、涙も枯れて(笑)。
もも:枯れたね(笑)。それぐらい泣いてた。最前列の人とか見てらんなかったと思う(笑)。MINORITY ORCHESRTRAの解散の時は酷くて、でも、ももが壊したんだって思ったら私もステージの横で見ながら泣けて。
小春:ライヴで最後に泣いたのが震災直後のワンマンで、震災の二日後に書いた『人生のパレード』を初めてお客さんの前でやったんだけど、この曲の歌詞とリンクして「日本は消えちゃうんだ」って絶望的な気持ちになって、泣きじゃくりながら演奏した。でもここで泣ききったみたい。それからは開き直ったのか、毒のあるキャラクターが強くなっちゃった。
ねこ太:僕は泣きながら演奏しているところは見た事がないんやけど、そこから変わったんやろうなと思うのは、付き合う人間を選択する基準が自分の音楽が好きかどうかというとこだけになったとこな気がする。
小春:シンプルに行こうと思ったんだよね。人間の考えてることなんてわからないけど、これまで小春を好きと言って付き合ってた男の人は、みんなチャラン・ポ・ランタンが嫌いだった。
もも:それと、もものことも嫌い。
小春:ももに時間をとられるからって。曲にケチ付けてくるし、チャラン・ポ・ランタンがジャマの対象になってた。だから、その後振り切りすぎて、チャラン・ポ・ランタンが好きな人じゃないと話もしない! ってなっちゃって(笑)。
望月:今は好きな人しかまわりにいない?
もも:えー! いるよ! ここにもいるじゃん! 見えてないの?
小春:前よりはまわりに人がいない。でも、チャラン・ポ・ランタンを好きな人しかいないよね。おかげで活動が絞れた。前はイベントに呼ばれれば何でも行くという感じだったけど、それも絞るようになった。
ねこ太:僕が出会って間もなく見たライヴでは何回か、主催者やライヴハウスの店長にケンカを売っていたんです。一度、主催者が司会をやってステージに2人を呼び込むというスタイルのライヴがあって、その司会者の言葉に愛情をあまり感じなかったみたいで…。
もも:小春さんと同い年ぐらいの司会の女の人が、「チャラン・ポ・ランタンっていうめっちゃかわいい女の子2人でー。フェスとかも出てるらしくてー。私あまり知らないんですけどー」って。
小春:控え室で「知らないんだったら呼ぶな!」ってなって、普段は登場してすぐにはMCはしないんだけど、「誰も知らないチャラン・ポ・ランタンですけどー?」って登場して早々にケンカ腰で。
ねこ太:ネタかなって思って、お客さんが笑うじゃないですか。そしたら「オメーらも笑ってんじゃねえ!」ってステージから本気でキレて(笑)。
小春:あれは最近の中で一番キレてたと思う。
ねこ太:でも演奏が始まったらみんなが音楽を認めてる感じがあったんです。その時に、その取っつきにくさでふるいをかけて、自分たちの音楽を好きな人とだけでどこまで出来るかを突き詰めたいというところに意識がいくようになったんやと思います。そうやって、誰にでも良い顔をしないところがええなあと思ったところでもありましたね。僕、挨拶が妙にしっかりしてるロックバンドとか嫌いなんすよ。
望月:でも、ライヴが話題を呼んで、今年はSXSWにも出演するんですよね。
ねこ太:言葉が通じへん分どこまで出来るんやろ?と思いますけど。
小春:たぶん、「BUY NOW!」しか言わない。
ねこ太:「CDを今買え!」。でも本当にカナダでも台湾でもBUY NOWしてくれたんですよ。ロックバンドで海外に行っても、イギリスなんてかっこいいバンドいっぱいいるから埋もれちゃうと思うんです。でもチャラン・ポ・ランタンはめちゃくちゃやけど、根底にクラシックっぽさがあるのと、口は悪いですけど僕は根底に品の良さを感じていて。そこがなかったら、一緒にやってなかったかもしれへん。
小春:その品の良さがどこかわからないから、いつどれを捨てたら終わるなというのがわからない。
── 見た目の雰囲気も、日本人らしさがちゃんとありますし、海外の人にも受けそうですよね。
小春:そのための黒髪なんだよ。
望月:染めたいとかあるの?
小春:あるけど、自分の活動のためにならないと思ってるから。
望月:自分を客観視して、プロデュースがしっかりしてますね。
小春:キャラの明確さみたいなものは、ブレないようにはしようって思ってる。