この作品が出来たことでひとつの自信に繋がった
── どこまで言って良いかわからないですけど、今回は歌詞カードにも仕掛けがあって。“ラブ”が溢れた作品になりましたね。
のび太:盤面もチョコレートを意識してますし、視覚で楽しめる要素もありつつ。WHITE ASHというバンドを始めて“ラブ”という側面で何かを生み出す事になるとは思ってもいませんでしたけど。断定的なラブを出したのは初めてかもしれないです。ちょっと恋に恋焦がれているのかもしれません(笑)。
── ちなみに、今まで聴いて一番泣いたラブソングってあるんですか?
のび太:ない…ですね。
── あぁ…。
のび太:感情移入するまで行かないんです。ラブソングってなんで泣けるかと言ったら感情移入するからだと思うんですけど、僕の場合は感情移入する前のゲートが締められているので。今後そういう経験をしたら、ラブソングにもすんなり入っていけるのかもしれないですけど。
── この作品で特に聴いてほしいところってどんなところですか?
のび太:今回初めてコンセプトを決めて作ったんですけど、今までの作品に比べるとこだわるところが違ったりして。でも僕たちの根本は変わっていなくて、こういう作品が出来たことでひとつの自信に繋がったし、幅広く聴いてもらえる作品になったんじゃないかなと思います。サウンド的に言うと、1曲目は女の子目線の甘い曲なので音に丸みを持たせつつも耳障りが良い感じに仕上げて、2曲目は男らしくワイルドに強い音で。そのギャップを意識して作りました。
── 1曲目の山さんのギターソロも聴き応えがありますよね。
のび太:山さんのギターソロは、どちらもバレンタインにちなんで『バレンタイン・キッス』のフレーズを隠し味で入れているんです。
── DVDにも何か隠れてるとか仕掛けはあるんですか?
のび太:DVDは何も隠すことなく、今の僕たちがありのまま映ってます。いろいろ隠してるCDと全く隠してないDVDというところで、そこもバランスですね。
── DVDに収録されたリキッドルームでのツアーファイナルワンマンは、いかがでしたか? すごく大勢のお客さんに迎えられて、フロアは常に波を打っていたし、バンドの勢いをすごく感じました。
のび太:まさかあんなにたくさんの人に迎えてもらえるようになるとは思ってもいなかったですけど、ほんとに楽しかったです。初めてのワンマンツアーで全国9会場回ったんですけど、1公演ごと改善点や反省点を話し合ってだいぶバンドっぽくなってきたなって。いろいろあるけどファイナルは自分たちが楽しむというのを決めていたし、初めてのワンマンツアーファイナルを映像として残せて良かったなと思います。
── チケットも即完でしたし。
のび太:完売ってなった時は、やった! っていう気持ちと同時に、これはまずいぞ、飲み込まれちゃうぞ、という気持ちも大きかったですね。でも、それを良いプレッシャーとして変えることが出来たと思います。当日は、お客さんの人数が前と比べると倍近く増えていて、圧倒される感じもありましたけど、1人1人の顔がしっかり見えて、みんな楽しそうで、この会場にいる全員でライブやってるんだなぁという感じがしてやりやすかったですね。
── 男性のお客さんも多いですよね。
のび太:男の子も女の子も、若い子から、お父さんお母さん世代の方まで、親子で来てくれる方もいらっしゃいます。上の世代と下の世代が僕らの音楽でひとつになってくれるというのはすごく見ていて良いなと思いますね。
── 『Would You Be My Valentine?』はもうライブでもやっているんですか?
のび太:年末からやり始めました。
── お客さんの反応はどうですか?
のび太:初めて演奏した時は窺ってる感じもありましたけど、曲が進むに連れてちょっとずつ身体を動かしてくれたりとか、手拍子してくれてました。あと、Bメロの「ドッツ ドッドタッ」っていうリズムはアイドルのコンサートでよくある…。
── 「パンッパパンッフー」ですか?
のび太:それです。それを狙って入れていて…やってもらえるかはお客さんの判断に任せますけど。バレンタインの曲なので、そういうのアイドル的な要素も踏襲しようかなって。ただかっこいいだけのものではなく、ポップなものを混ぜる事が出来たんじゃないかと思っています。
ライブに対する意識は今までと比にならないぐらい高くなっている
── でも、歌詞は独特の英語だし、サウンドがかっこいいというのはあるんですけど、ここまでたくさんの人が受け入れてくれるって改めてすごいなと思うんです。昨年の1月に初めてのワンマンをやって、それから着実にワンマンの会場が大きくなってますし。
のび太:僕も思ってます。今の僕らのやり方が成立するというのは不思議ですよね。でも自分たちの音楽に自信があるというのはもちろんあって、かっこいいと思ってるとちゃんと提示しているから。そこに、もともと音楽が持ってる力が、聴いてる人に英語がどうだとか意味があるとかないとかを飛び越えて、ダイレクトに伝えられているのかなって。それに関しては間違いなかったなというのはあります。それにプラス、歌詞に日本語を入れるより良い方法を探しつつ、今後多くの人に聴いてもらうために幅を広げられたらと思っています。最初日本語で歌うことに抵抗があったんですよ。でも試しに日本語でやったら、聴いてくれる人たちが認めてくれて意外とありなんだなって。だから今後全部日本語という曲もあるかもしれないし、文法としても成り立ってる英語詞になるかもしれない。すごく柔軟な形で曲作りが出来るので、その時にやりたいことが出来るという意味では今後自分たちでもすごく楽しみなんです。
── そして、次のワンマンは東京で言えば赤坂ブリッツです。
のび太:着実にステップアップしていきたいですね。より多くの皆さんに僕たちの成長を見守って頂ければ嬉しいです。2月から“スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR”に出演させてもらうんですが、ファイナルがブリッツなんです。その1ヶ月後には、4バンドでやった会場でワンマンってすごいことだなと思います。
── たしかにそうですね。その列伝ツアーは今勢いに乗ってるバンドが4バンド集結して。
のび太: “スペースシャワー列伝”って歴史があるイベントだし、そのツアーに出たバンドはステップアップしていくから。
── WHITE ASHも一昨年列伝のイベントに出演した時に比べたら、ステップアップしてると思いますよ。ライブひとつとってもそうですし。
のび太:当時に比べたら意識する事が多くなったので全然違うと思います。その時のライブ以降今回初めて見るという人がいたら、楽しみにしていて欲しいですね。
── 列伝ツアーが終わって、自分たちのレコ発ツアーが東名阪であって、その後MAN WITH A MISSIONのツアー参加もあって。
のび太:先輩と一緒にやらせて頂くのは経験になるので、良いところを吸収出来たらと思っています。昨年末のカウントダウンライブで9mm Parabellum Bulletと対バンした時に、ギターの滝さんやベースの中村さんと話をしていて、「もっとレベルアップしたいんです」と言ったらアドバイスをもらったんです。プレイヤーとしてのレベルを上げたくて、…その代わり恋愛する時間がなくなっていくんですけど(苦笑)、より良いライブを見せるという意味では、1人1人の意識は今までと比にならないぐらい高くなっていますね。もともと練習嫌いなんです。
── 昨年インタビューした時も、ギターの練習をちゃんとしなきゃと言っていた気がしますが。
のび太:一度練習ブームの波が来て、また引いたんです(笑)。
── 練習ブームが去った(笑)。
のび太:でも、目の前で圧倒的なライブを見せられてぶっとばされちゃったんです。それで、練習好きじゃないって言ってる場合じゃないって。バンドシーンのトップに立つためには、日々の努力は欠かせないなと。伸びざかりのび太です。それに練習は裏切らないですから。だから、今は燃えたぎっています。パフォーマンス的にもやればやるほど自分たちの足りないところが見えてくるので、今は貪欲に足りないところを1個1個クリアしていく作業です。
── 今年の野望ってありますか?
のび太:まずは“スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR”を思いっきりやる。対バンでの長いツアーって初めてで。たくさん刺激も受けるだろうし、他のバンドからもそのお客さんからも全部吸収して帰ってきたいと思ってます。
── これまでの話を聞いて思ったんですけど、人ってきっかけひとつでいくらでも変われるんですね。私自身気が引き締まりました。
のび太:変わりますね。それはすごく感じます。大事なのは意識。同じことをやるにしても、考えてやるかどうかで、そのあとに得られるものが全然違ったりするんです。最近はライブだったり、曲作りだったり、ちゃんと考えるようになったぶんプラスになれるというか、そういう意味では今バンドとしてすごく良い状態だと思います。
── チャンスを与えられたり、掴めるというのも努力の賜物だと思いますし。ブリッツワンマンの次はどこでやるんだろうとか、今年の活躍がより楽しみになります。今年だったらどんなところに立っていたいですか?
のび太:とにかく大きいステージに立ちたいですね。ライブハウスならではの一体感とか距離感とか密接している感じも好きですけど、見渡す限り人っていう開放感、自分たちの音楽がのびていく感じは気持ち良いですね。
── あとはチョコレートがたくさんもらえたら、今年のスタートとしては良いんですけどね(笑)。
のび太:ホント、幸せになりたいですよね…(苦笑)。