メジャーに行ったら良い音になるのかと思っていた
── レコーディングした時に各パートこだわった部分とかあります?
森野:全員ですけど、音作りに時間をかけられました。同じスタッフでやってきているので、意志の疎通が図れているし、レコーディングが3回目というところで余裕が出てきたので、いろいろとこだわることが出来ました。
── 『僕の登下校』のグルーヴ感とかも良いですよね。
森野:ちゃんとやるところ、ふざけるところ、面白いところという使い分けは常に意識してますね。めちゃめちゃやるところはめちゃめちゃやって、他を引き立てるところはさがる。
木村:僕は今回特にこだわったという部分はないですね。ドラムはリズム楽器なのでまん中にいて、ちゃんと叩いて。
森野:チューニングを曲の中で変えたりしてたよね。
木村:4曲目のAメロ、サビ以外はミュートをかけてタイトになりましたけど、相変わらずちゃんとドラムの仕事をしたい! それぐらいです。
藤森:僕はギターの音にずっと苦戦していて、やっと人並みに近づいてきたかなっていうぐらい。メジャーに行ったら勝手に良い音になるのかと思っていたら全然ならなくて。自分で頑張らなきゃいけなかった(苦笑)。下手に聴こえないようにとか、どうすればうまく聴こえるかとか、そういうことはすごく考えるようになりました。
── もう次作に向けて構想があったりするんですか?
藤森:よりSAKANAMONらしい音楽を見せていきたいです。
森野:『na』がどう受け入れられるかわからないので、それ次第というところもありますけど。聴いてくれる人に面白がってもらえる曲であり、ギターロックバンドらしくライブありきの曲になっていくのかなというイメージはぼんやりとありますね。
── これだけバラエティに富んだ作品になると、次はもっと期待してしまうところもありますけど。
森野:藤森くんの曲が枠にとらわれない自信があるので、いけると思います。あとは僕らのレベルが藤森くんの頭の中についていかないとと思っているので頑張ります!
── それと藤森さんに聞きたいんですけど、歌詞を読むと難しい漢字が多いじゃないですか。これはパソコンの漢字変換を駆使しているんですか?
藤森:携帯を使っているんですけど、前の携帯は辞書機能がついていて、ひとつひとつ意味も調べられたんです。ただ、あとで読めないってこともけっこうありますね。
── やっぱりそうなんですね(苦笑)。私も読めない漢字がけっこうあって。
藤森:なんて読むんだっけ? って。それと、見たことがない漢字が出てきた時に、その意味を調べて使ったり。
── 言葉の使い方も面白いですよね。本とかは読むんですか?
藤森:ほとんど読まないです。専門学校時代に5冊も読んでないぐらいだと思います。国語は好きでしたけど。
── 歌詞は思いついた時に携帯に入れて、あとから文章にしていくという感じなんですか?
藤森:意味を摺り合わせていくというか。
── テーマがあるわけではなく?
藤森:最初はそうです。何も考えずに曲のリズムにあった言葉を埋めていって、そこから何が言いたいのかというテーマを考えていく感じです。
── あと『ARTSTAR』のセルフライナーで、「高校生の時に持っていたギターを由来で作った」とありましたが、藤森さんの高校時代はどんなだったんですか?
藤森:精神的にはあまり変わってないんですけど、もうちょっとちゃんとしているフリをしていました。バカがばれないように、なるべく人と関わらないようにしていた。
── 休み時間とかは何してたんですか?
藤森:寝るか陰気な友達とトランプか。あとは普通にお話ですね。
── バンドはやっていた?
藤森:やってました。だから授業が終わったらソッコー帰ってました。
森野:『僕の登下校』は、藤森くんの高校時代がテーマになっていて、登下校で音楽を聴いてそれに救われたという歌なんですよね。
── その時から音楽が一番身近にあったというか。
藤森:これぐらいしか趣味がないし、取り柄がないし。
── そうやって自分の拠り所となっていたから、同じように与える側になりたいという気持ちはあります?
森野:高校時代の自分に聴かせたいって言ってましたね。
藤森:僕みたいな人に聴いてほしいです。
いろんな人を巻き込んで成長できた
── ロフト発行のフリーペーパーなので聞きたいんですが、10月26日に新宿ロフトで開催した自主企画“肴者世界”は企画当初の予想を反してチケットが売り切れ、たくさんのお客さんがライブ中に手を挙げていたりとすごく盛り上がっていました。企画を終えていかがですか?
森野:未だに信じられないですよね。ここ最近まで立っていたロフトのステージと同じとは思えないというか。フロアの市松模様が見えないぐらいお客さんが来てくれて。
木村:みんな手を挙げてて恐ろしいなって(笑)。あれはいい景色でした。
森野:今回はイベントでしたが、次はワンマンをやれるようにしないとね。
── “肴者世界”を将来的に規模を大きくしていきたいという思いはありますか?
森野:どういう形になるかはそこまで考えられてないんですけど、面白いことはやっていきたいですね。ロフトの時はこの日限定のフードもありましたし、SAKANAMONがイベントをするからには何かやりたい。フェスにするのが最終目標です。
── 今年は大岡山PEAK-1で自身初のワンマンや、自主企画など精力的に活動されましたが、2012年を振り返っていかがですか?
藤森:いろいろありましたね。
森野:毎年いろいろありますけど、今年は特にありました。SAKANAMONの3人だけで完結しないというか、事務所レーベル含め、お客さん含めいろんな人を巻き込んで成長できたかなというのはありますね。来年からはもっとたくさん巻き込んでやっていきたいです。
木村:初めてばっかりの年でしたね。もう1回スタートできて。それこそ2011年の9月にリリースして、その前で言うと彼らが結成して、転機がいっぱありましたけど、またひとつかなと思っています。
── 1年前は今のような形になっていることって想像してました?
森野:してません。毎回自分たちの予想を、年単位じゃなくて、月単位、週単位で裏切っていきますから。ロフトも売り切れると思わなかったし。
── あとはライブで盛り上がってくれるお客さんの反応に負けないようにしていかないとですね。
森野:6月に下北沢シェルターで『泡沫ノンフィクション』のレコ発をやったときは、お客さんの勢いに押されちゃって正直良いライブが出来なかったんです。そこから自分たち的に意識がちょっと変わったところもありますね。だから、シェルターでのライブはきっかけとして大きかったですね。
木村:自分が思っているよりお客さんが盛り上がってくれてる。そんなこと考えたことなかったから。
── 今年はいろんな経験をしてきましたね。
藤森:楽しかった!
森野:まだ終わってないよ。リリースがあるんだから。
── 来年の目標はもうたってます?
木村:フェスに出たい。
森野:4月6日に代官山UNITでワンマンやツアーもあるし、今年出来なかったことをいっぱいやっていきたいですね。フェスも出たいし、学園祭も出たい。
── そしたら、来年の11月に、みなさんがたくさんの経験を経て、どんなことを言っているのかがとても気になります。
森野:夢を持つだけなら誰でも出来ますが実行させていかないと。やったります! まずは今年のリリースをよろしくお願いします!