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お客さんがいなくて、ライブをイメージして曲を作るなんて発想がなかった

── 今お話にあがった『マジックアワー』は打ち込みを使い、ライブで盛り上がりそうなサウンドでしたし、メジャー1枚目の1曲目に勢いのある曲を持ってきましたね。

藤森：ライブでお客さんが曲を知らなくても乗れて、盛り上がって、イントロでワーッてなるような曲を作ろうと思っていて、そしたらリード曲になったんです。

森野：入り口としてはだいぶ入りやすいですよね。今まではお客さんがいなかったから、ライブをイメージして曲を作るなんて発想がなかったんです。それを最近出来るようになったというか、お客さんがライブで手を挙げてくれるような曲を初めて作りました。デモで3人で作ってくる段階からライブで盛り上がると良いなというのが念頭にあった曲ですね。

── セルフライナーには、「世間に揉まれるダメ人間の捻くれラブソング」とありますけど、ダメ人間のモデルっているんですか？

藤森：僕です（苦笑）。

── やっぱり（笑）。この曲はインディーズの時と変わらず歌詞に“ビール”という単語が入ってますが、タイトルは『マジックアワー』、歌詞は「君と口付けしたら」と、それはもうロマンチックな曲だと最初は思っていたんですけど、最後まさかのオチで（笑）。

森野：藤森くんですから（笑）。

藤森：でも、これは人生辛いけど愛するものがあるから大丈夫！ という歌なんです。

森野：この曲では愛するものをビールで歌ってますけど、それぞれ違う言葉をあてはめてくれればラブソングになります。

── 「ダメ人間の捻くれラブソング」に近いところで言うと、10曲目の『爆発ダイヤモンド』は「社会不適合者達に送る応援ソング」ということですが。

森野：これは個人的には裏リード曲だと思ってます。

── 1曲目と最後の10曲目は、曲順として早いうちに決まっていたんですか？

森野：僕はそう思ってます。

藤森：僕も良いと思っていたよ。『マジックアワー』で始まって、『爆発ダイヤモンド』で終わるというのが。

── どちらの曲も荒波に揉まれながらも、一生懸命生きていることが伝わってきてますね。歌詞は、ご自分をモデルにして書いていくことが多いんですか？

藤森：ほとんど自分のことでしか歌詞が書けなかったりしますね。歌詞を書くことは現実逃避の場所です。辛いことはいっぱいありますから。

森野：この世を憂いているとか、人生を憂いてるとかということではなくて、なんとなく居心地が悪いというか。

木村：もっと生活に近いところというか。

藤森：一般人の現実逃避ですね。

森野：今風の言葉で言うと、非リア充ですかね。メインストリームを行ってる人とはちょっと自分は違うんじゃないかなって。僕ら3人わりとそういう人間だし、僕らを聴いてくれてる人もそういう人が多いんじゃないかなって。ちょっと変わり者ですね。それがメジャーのフィールドで戦うのは夢があるんじゃないかなと思ってます。

── では、収録曲のうち個人的に一番好きな曲、もしくはSAKANAMON初心者にオススメの曲といったら、どれを挙げますか？

藤森：僕は『爆発ダイヤモンド』ですね。曲調も展開も歌詞もSAKANAMONの核だと勝手に思っています。オススメの曲は『架空の色彩』かな。

森野：『爆発ダイヤモンド』は言ってることもSAKANAMONのやりたいことをけっこう言い得てるんじゃないかなって。わかりにくいかもしれないんですけど、言葉の端々でそういうのが表せているんじゃないかと思っています。さっき裏リード曲って言いましたけど、本当に言いたいのはこういうことだったりするのかもしれません。サウンド的には『架空の色彩』は女性ボーカルが入って面白いと思います。

── 『架空の色彩』はYeYeさんをボーカルに迎え、ピアノの演奏と2人のボーカルがとても合っていましたし、より彩り豊かな曲になりましたね。

森野：YeYeさんは元から仲が良かったわけではないんですけど、声が良くて、お願いしたらOKを頂きました。わざわざ京都から来て頂いて。4曲目でこの曲が出てくるのが新鮮で面白いかなと思います。ライブでは僕ら3人で演奏している曲なので、CDになって女性ボーカル版がどう受け入れられるかが楽しみでもありますね。

── 個人的には『バラエティ』の、後半で曲がどんどん盛り上がっていく感じが好きでしたけど。

藤森：そう言ってくれる人がいるからこの曲は捨てられなかったんです。一番古い曲なので、恥ずかしいですけど。

森野：藤森くんが高校時代に作った曲で。歌詞の内容も今と違うし。俺も好きだけど藤森くんだけは恥ずかしがってる。17歳ぐらいの時に作って、歌詞もほとんど変えてないんです。