Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューTHE××ズ(Rooftop2012年11月号)

見世物小屋の奇獣か?ロックの潮流を変える革新者か?
津軽の情念をポップに昇華する規格外の新星、ここに現る!

2012.11.01

「楽になるわよ」と「Blind Candy Blues」の×××

1211XXs_ap.jpg──れんさんとなつみさんが交互にヴォーカルを取る「冬は明けない」、れんさんが単独で唄う「Blind Candy Blues」はいずれもヘヴィでパンキッシュなブギーで、なつみさんとの作風の違いを見て取れます。

なつみ:れんさんはブギー大好き芸人みたいな感じなんです。「冬は明けない」に至っては“筋肉歌謡ブギー”って自分で言ってましたし(笑)。掛け合いヴォーカルにしようってれんさんには伝えてなかったんですけど、“掛け合いにしたら面白そうだな”って歌詞を書いていけば、「これは掛け合いでやろう」って言ってくれるんです。

──作曲を手がけるようになってから、詞の作風に変化が出てきたようなことは?

なつみ:言葉遊びが面白く感じるようになりましたね。前は詞しか書いてなかったから言葉が最優先でしたけど、今はこのメロディにこの言葉が乗ったら面白いんじゃないか、気持ちいいんじゃないかっていうのが分かるようになってきて、メロディありきの言葉を考えるようになりました。

──そういう意識の変化が出ている曲というのは?

なつみ:それは完全に「はなきちGUY」です。自分の意図したことがちゃんと伝わってるかどうかは分からないですけど。

──メジャーから出るCDで、表立って言いづらい言葉を思いきり連呼するのはさぞや快感でしょうね(笑)。

なつみ:そうですね、サビで思いっきり唄ってますから(笑)。

──それでも、「楽になるわよ」と「Blind Candy Blues」の詞には自主規制せざるを得なかった箇所がありますね。

なつみ:ギターの音が被せてあったり、ピー音が入ったり。私は当然そのまま唄いたかったから、レコード会社の人とちょっと揉めました(笑)。「楽になるわよ」は「歌詞を全部変えたほうがいいんじゃないか?」って言われたんですけど、「絶対にイヤだ」って言ったんです。そしたら「そこはピーを被せるなり何なりするから」って言われて、まぁまぁまぁと妥協することにしたんですよ。インディーで出したCDにはそういう言葉がモロに入ってて、メジャーだけど今回も行けっかな? って思ってたんですけど、やっぱダメかって感じで(笑)。

──まぁ、「はなきちGUY」でもよく収録できたなと思いますけどね(笑)。

なつみ:寛大なフォーライフミュージックエンタテイメントさんのお陰です(笑)。

──表題曲の「pop town」はそのタイトルとは裏腹に全然ポップじゃない、むしろ不穏な雰囲気が全面に漂う不思議なナンバーですけど、それも別に奇をてらってそうなったわけではなさそうですね。

なつみ:自分のイメージしてた「pop town」がそういう感じだったので。あの曲にタイトルを付けるとしたら、「pop town」しかないぐらいに思ったんですよ。

──「pop town ゆきふるくに」という詞があるように、「pop town」というのはなつみさんの中にある故郷の原風景を指しているんですか。

なつみ:それもあるし、今住んでるのは東京なんで、どっちもですね。

──最寄りの駅まで自転車で20分掛かるような所でも“pop”?(笑)

なつみ:そうですねぇ…景色がキレイなんで。この間、『夏の魔物』に出るために半年ぶりぐらいに青森へ帰ったんですけど、やっぱ空気がキレイだなと思って。それに比べて東京はめっちゃ空気がきたねぇなって思いました(笑)。

──でも、いわゆる東京で生活することの孤独を唄ったり、東京の住みづらさを批判するような歌は見受けられませんよね。

なつみ:そういうことは別に唄いたくないんですよ。住む土地が変わったからって、それは自分が来たくて来たわけですから。それなのに東京のことをディスったりするのは絶対違うんじゃないかと思って。

──「わたしこれからどこへ行こう 捨ててきたけど出る町がないわ」と唄われる「桜花賞レース」は、東京に出てきたものの路頭に迷っている主人公を出走馬に見立てているのかな? と勝手に思ったりしたんですが。

なつみ:あの曲は最初、ウマが走ってる感じのベース・ラインになればいいなと思って作ったんですよ。メンバーに持っていったら、全然ウマが走ってる感じじゃなくなっちゃったんですけど。歌詞は何だろう、寺山修司の本を読んでた時に、競馬にまつわる逸話みたいなのが載ってて、この歌詞の中で自分が書きたいことと似てるなぁと思って、それで「桜花賞レース」って付けた気がします。

──混沌としたアンサンブルが特徴の「Joy」も、「pop town」のように一筋縄では行かない曲ですよね。「わたし昨日しんだの/映画みたいに美しかった/なのに誰も見てなかったの」というものものしい歌詞なのに、タイトルが「Joy」っていう(笑)。

なつみ:その曲だけずっとタイトルが決まんなくって。それまで「ジョイムス(仮)」だったんですよ。ジョイ・ディヴィジョンとジェイムス・コットン(ブルース・ハーモニカ奏者、シンガー)を足したような曲が出来ないかと思って書き始めたので(笑)。

──“ジョイ”と“ジェイムス”を合わせて“ジョイムス”と(笑)。

なつみ:はい(笑)。でも全然タイトルが決められなくて、締切が迫ってきて、どうしようかと悩んだ末に「Joy」でいいやと。「ジョイムス」よりも分かりやすいだろうと思ったし。たまに、後頭部の辺りにパッとイメージが浮かぶんですよ。「Joy」はそんなイメージをそのまま歌詞にした感じですね。浮かんでくる景色を言葉にしてるって言うか。

Major 1st Album
Pop town

フォーライフミュージックエンタテイメント FLCF-4445
¥2,300(税込)
【収録曲】
01. 私の犯罪学
02. 天の川
03. はなきちGUY
04. Joy
05. 桜花賞レース
06. ゼスチュア
07. 卑小な死
08. 楽になるわよ
09. 冬は明けない
10. pop town
11. 愛の生活
12. Blind Candy Blues
2012年10月24日(水)発売

amazonで購入

LIVE INFOライブ情報

THE××ズ『Pop town』発売記念パーティ!
『チョメチョメ Night Fever!』

2012年11月3日(土)渋谷Milky way
【出演】THE××ズ/夜のストレンジャーズ/雨先案内人/死ぬまで生きるもんズ
OPEN 18:00/START 19:00
前売 ¥2,000/¥2,500(共にDRINK代別)
*THE××ズでご予約の方に特製ステッカープレゼント!
問い合わせ:渋谷Milky way 03-6416-3227

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