2010年12月、一色徳保(Vo&Gt)が脳の異常による体調不良で、活動休止を余儀なくされたつばき。決定しているライブはキャンセルしなければというその時、海北大輔(LOST IN TIME)と小高芳太朗(LUNKHEAD)らを中心とした、これまでの活動歴の中でつばきと共に歩んできた仲間のミュージシャンから、「僕らが歌うからライブはキャンセルせずにそのままやろうよ」という声があがった。そうして2010年末に行なわれたNo Regret Life主宰の"wonderful tonight!!vol.7〜year end special!!"/新代田FEVER、カウントダウンライブ/下北沢CLUB QUEのライブでは、つばきの小川博永(Ba)・岡本奈穂子(Dr)と、海北・小高を始めとした仲間のミュージシャン、小田和奏(No Regret Life)、マスザワヒロユキ(テルスター/ザ・ガールハント)らがボーカルを執り楽曲を披露。この輪が広がり、のちに"つばきフレンズ"となる。
2011年はつばきフレンズとしてライブ活動を行ない、その年の11月、つばきフレンズでCDを作ったらどうかと海北と岩崎 慧(セカイイチ)から提案され、作られたのが今作『つばきフレンズ』だ。
しかし、このプロジェクトが始まった当時、つばきの楽曲を一色ではないメンバーが歌うことに対して小川は抵抗があったそう。「一色が歌ってつばきという思いがありましたから。でも友達の助けがあって、いざ他のボーカルが歌ってみると、曲の違う面が見えて、こういうものも良いのかなと思えるようになりました」と。
そうして、たくさんの人の愛情と、仲間の絆が作り上げた最高傑作が誕生した。(interview:やまだともこ)
『つばきフレンズ』はたくさんの愛情が込められた作品
── いよいよつばきフレンズのアルバムがリリースされますが、聴いていてこんなに感動して鳥肌が立つ作品って最近なかったなって。すごくたくさんの人の思いと愛情が溢れた作品になりましたね。
岡本奈穂子(Dr):一色が病気になって活動休止すると発表してから、まわりのバンドマンのみんなが何か手伝いたいと思ってくれていたみたいなんです。小高くんも「歌で手伝うよ」と言ってくれていたし、今回のアルバムも海北くんと慧ちゃんが「つばきフレンズでCDを作ったらどう?」と声をかけてくれて。
小川博永(Ba):海北くんとか慧ちゃんが言うには、「つばきフレンズは、つばきの音楽を鳴らし続けるためのプロジェクトで、昨年ある程度認知してもらえたし、つばき復活のためのステップが出来たら良いんじゃないか」って。
岡本:つばき発信じゃなくて、まわりの人がすごい考えてくれていて、つばきは愛されているんだなってすごく感じました。
── それは、つばきの曲がミュージシャンを呼んだとも言えますよね。音楽のチカラってこういうことなんだなってすごく思いました。
岡本:アルバムに参加してない人たちからも「何かあったら協力する」って声をかけてもらいました。そういう人たちみんなに声をかけたかったぐらいです。
── 今回たくさんのボーカリストを迎えて歌われましたが、つばきの音楽が新しい命を宿した感じってありました?
岡本:新たな曲になったという感じはしています。ボーカルのみんながすごく個性的で、何年もバンド活動や音楽を続けているミュージシャンだから1人1人パワーもあったし、持ち味もあるし、つばきの曲を自分なりにどう歌うかとか演奏するかを咀嚼して、いろんな出し方をしてくれて、その違いが面白かったです。
── 1曲目の海北さんがボーカルを執った『声の行方』もそうですけど、それぞれのボーカリストが曲を自分のものにしていましたよね。
小川:『声の行方』はLOST IN TIMEの曲になってましたからね。
── 渡會将士さん(FoZZtone)は唯一の弾き語りですが、味わい深かったですし。
小川:ロフトでやったつばきフレンズフェスに渡會くんに弾き語りで出てもらったんですけど、その時にやってくれたこの曲(『光〜hikari〜』)がすごく良かったんです。
── レコーディングには一色さんも参加されていたそうですが、それぞれのボーカリストの歌を聴きながら何て言ってました?
小川:「みんなうまい」って言ってました(笑)。
岡本:すごいなって唸ってましたね。ライブでは聴いていましたけど、マイクを通して改めて聴くとすごいですよね。
── 一色さんのブログを拝見していたら「最高傑作」だと書かれてましたし。ベースは小川さん、ドラムは岡本さんですが、ギターは曽根 巧さんと山下 壮さん(LUNKHEAD)、吉村洋平さん(UNDER THE COUNTER)が演奏されてますが、アレンジはあまり変えていないんですか?
小川:ギタリストもわりと忠実にというか、元の曲に近い感じで。そこにボーカルが色を付けていきました。