knotlampが3枚目のフルアルバム『Geoglyph』を9月19日にリリースする。日本語訳にすると"地上絵"という意味を持つこのアルバムタイトルは、バンドとしても大空に飛び立っている姿が想像でき、とてもスケール感のある作品。今作はこれまでサポートメンバーだったMAHIRO(Gt&Cho)が加入してからの初のアルバムとなり、バンドが変化を繰り返しながら切りひらいた新たな境地を感じさせる。バンドのアンサンブルは強さを増し、4人が鳴らすサウンドからは確かな手応えが感じられ、また彼らが放つ言葉の数々は、これまでのリスナーもこの作品で初めて彼らの音に触れたリスナーにも訴える力を持った、純度の高いエネルギーが詰め込まれていた。
6月にリリースしたシングル『Across my world』でインペリアルレコードに移籍。情熱という燃料を注ぎ、knotlampが再び力強く歩き出した。(interview:やまだともこ)
自分の力で羽ばたくことで見えるもの
── バンドは結成されて12年になりますが、Rooftopには初登場なので少し前のお話からさせて頂きたいんですけど、もともとはどんな感じで結成されたんですか?
KEIT:僕とAKIHIKO(Dr.&Cho)、TOHRU(Ba&Cho)の3人が地元が同じで、AKIHIKOは僕よりひとつ上の先輩で学園祭のためのバンドとして一緒にやることになったんです。AKIHIKOは当時他の学校の人とバンドを組んでいて、そのベースがTOHRUくんでした。彼の紹介で知り合って一緒にスタジオに入ったら次の日に向こうから電話がかかってきて一緒にやろうって。そこから福岡で活動を始めました。当時僕のパートはギターで、2年ぐらいボーカルを探していたんですが見つからず、でも曲を作ってデモテープとして渡しているボーカルは自分の声だったので、だんだんみんなそれに慣れて来ちゃって「もうボーカルやったらいいんじゃない?」って。
── 「歌えばいいんじゃない?」って。
KEIT:でも俺的としてはピンボーカルのバンドをイメージしていたので、ギターボーカルのバンドは嫌だったんですが、昔からウィーザーが好きでボーカルギターというスタイルもおもしろいかなと思い始めてこのスタイルになりました。活動をしていく中でギターのメンバーチェンジが何回かあって、昨年サポートでMAHIRO(Gt&Cho)が入り、今年になって正式に加入し、今回のリリースに至ります。
── 音楽的には結成当時と今とはあまり変わらずですか?
KEIT:いろいろやってました。それこそ打ち込みだけの曲のみでライブやったりとか、ラップしたりとか。とにかく好きな要素は全部詰め込んで、方向性とかも全然無いし、その時の衝動のみというか。
── その時は日本語の歌詞のほうが多かったんですか?
KEIT:英語もありましたけど、メインは日本語ですね。
── そこから歌詞が英語になっていくというのは?
KEIT:小学校の時から英語が大好きで、中学生の時には将来は通訳もいいなって思っていて、英語の教科書を3年間丸暗記していたぐらいなんです。そういう経緯もありつつ、なんかの曲で洋楽っぽいメロディーが出来て英語の歌詞を付け始めたことがきっかけで、英語になっていったような記憶はありますね。
── 今回3枚目のフルアルバム『Geoglyph』がリリースされますが、直訳すると“地上絵”という意味を持ち、大空に飛び立っていることをイメージさせるすごく良いタイトルですね。
KEIT:空に飛び上がって初めて地上絵があることを知ったのと同じで、自分が頑張らないと見えないものもたくさんあるという意味を持たせたかったんです。自分の力で飛び立って羽ばたくことで、初めて足下にある希望とか美しい絵とか気持ちが見えるんじゃないかなと思ってつけたタイトルです。
── 歌詞も全体的に“飛び立つ”とか“未来”など前向きなものが多いですし。
KEIT:強さとか希望とか前向きさとか、自分が音楽からもらったものを音楽で表現しようと思っているので、そういう言葉が多くなりますね。ワンパターンと言えばワンパターンなんですけど、常に自分が言いたいこと、普段から考えてることの全てが歌詞に詰まっていると思っていて、それはこれからも変わらないと思います。
── このアルバムは、これまでの作品に比べると日本語詞が多いような印象を受けたんです。これは勝手な想像ですけど、インペリアルレコードに移籍され、こういう方向になっていくということなのかなと。
KEIT:このタイミングで日本語が増えるということは、みんなそう思いますよね。僕の場合、曲を作って日本語と英語でどっちが合うかなと歌いながら歌詞を考えていくんですけど、今回は日本語が合う曲が多かったってことで、バランスは特に考えてないんです。だから、全英語詞のアルバムになっても全日本語詞になってもおかしくないというぐらいざっくばらんに。結局は曲自体が良いか悪いかだと思っていて、日本語の割合が増えようと英語の割合が増えようと、良ければ伝わると信じてやってます。「英語の曲はやめて、日本語が合う曲だけにしてよ」って言われることもありますけど、見極めた上で英語チョイスをちゃんとしていますから。
── 今作の1曲目に収録されている『Across my world』は日本語詞ですが、メロディーはわかりやすく、ライブも想像出来ましたし、これぞknotlampという曲ですね。
KEIT:これは自分らのど真ん中とも言える曲ですね。速いビートと低いAメロで始まってサビで大きく伸び伸びとみたいな、自分らの持ち味が存分に出ているなという感じがしています。
── こうすると自分たちの音になる、みたいなイメージってあるんですか?
KEIT:少しはわかってるという感じですが、最近はあんまり意識してないです。昨年出したミニアルバム『Bridges We've Dreamed』の前ぐらいまでは、こうしたら自分たちっぽいみたいなところを意識していた部分もあったかもしれませんが、今は自分たちの殻は完全に壊しているし、イメージを含めて全部ぶち壊しているところもあって、移籍というタイミングもあるのかもしれないけど、今はやりたいことを自然にやれてますね。今までと比べてどう映ろうと、理解者が少なかろうと多かろうと、やりたいことをやりたいようにやってる。だから今は自分ららしさはわかってないというか、わからなくて良いとも思ってるし、やりたいことを精一杯やろうということだけですね。
── 常に新しいことをやり続けたい、と?
KEIT:アルバムを作るとなれば新しい要素を入れていかないと続かないなと思っているので。常に探していますね。