音楽で生きるということ
── 今作はサポートメンバーだったギターのMAHIROさんが、今年の1月に正式メンバーとなってから初めてのアルバムとなりますが、レコーディングはどうでしたか?
KEIT:いつも通りと言えばいつも通りでしたけど、MAHIROが入ったことで新しい要素もあり、レコーディングが楽しめました。
── ギターすごく良いですよね。サウンドに厚みが増したような気がしますし。
KEIT:良くなりましたよね。絶対に自分では作れないものを作ってくるので、バンドとしてのアンサンブルも広がっているし、このメンバーになって第1作にしては良いなと思います。
── こうして弾いて欲しいみたいなことは言います?
KEIT:言いますよ。まずは自分の弾きたいように弾いてもらって摺り合わせていきます。2人でパソコンを目の前に置いて曲を流して、何回も何回も同じものを繰り返し弾いて意見を出し合う感じで。いつも同じ正解を見ていることが多いので、MAHIROはこのバンドにふさわしいんです。
── MAHIROさんはどういう繋がりなんですか?
KEIT:福岡の後輩バンドの紹介です。
── ライブを見に来てたりもしてたんですか?
KEIT:全然してないです。チャイルド・ストップというバンドをやっていて、このタイミングで初めてknotlampの音を聴いたんです。まだガッチリハマったとは言い切れない部分ももちろんありますけど、サポートをしていた時間を含めると1年以上一緒にいますから、ひとつにしていったというところはありますね。でも、人間的なところでもそうだし、いろんな面において、ハマリはいいなと思います。アイツ自身が頑張ってくれてるから同じ気持ちでやれているところもありますし。
── でも、長く活動しているバンドに入るって相当の覚悟が必要ですよね?
KEIT:僕だったら出来ないですよ。いつも言いますもん。同じ音にしろって言われたら出来んわーって。
── 『Evil Whisper』のギターのアンサンブルとか、『Last moment』の後ろで鳴ってるギターの感じとか、個人的に好きでした。
KEIT:それはどっちも偶然僕が考えたんですけど(笑)。俺が活躍した曲ですね。
── ソロパートは?
KEIT:それはほとんどMAHIROです。95%ぐらい。『Depression's Dance』も元ネタはアイツが持ってきて、手癖を優先しながらやっているというやり方です。
── ギター以外の楽器の方々もアレンジはそれぞれの方がやるんですか?
KEIT:それぞれですけど、俺もやります。
── パソコンでだいたい作ってから?
KEIT:Pro Toolsで作ってからデモにして渡して、好きなようにアレンジしてもらって、一度スタジオで合わせてみて4人で考えたものバージョンでデモを作り直して、ダメだったところをやり直してっていうのを繰り返すんです。曲によってはどうやってもダメな時があるし、俺が作っていったものをそのままやる時も多いです。
── 作業はけっこうスムーズだったんですか?
KEIT:まあそうですね。録り始めたのが今年の5月ぐらいなんですけど、前のアルバムが昨年の9月で、今年の6月にシングルを1枚出しているので、ペースが早いねと言われます。俺は早いとは思わないですけど。前作終わったらあっという間にこの制作に入って、ずーっとレコーディングして、昨日も作業してましたから。
── それは次の作品か何かですか?
KEIT:今回のですよ。ミックス作業をしてました。シングルから考えると2月からレコーディングしてるわけで、今回もレコーディングのために2ヶ月間東京に来てメンバーと共同生活をしているんですけど、福岡の家賃が無駄やなって思いますよ(苦笑)。アルバムの作業が終わったらツアーの準備もあって…。でも、忙しいと感じた時は、それが音楽で生きるということだなっていつも思うんです。
── 好きな音楽にずっと触れることが出来て、こちらから見ると幸せなことなんじゃないかと思いますが。
KEIT:基本的な気持ちで片付く感情だけなら良いんですけどね(笑)。
── そことは違う?
KEIT:…という次元でしんどい時もあって。
── どんな時がしんどいですか?
KEIT:一番は曲作りにしても何にしても、実力がもっとあればという時ですね。そしたら全部がうまくまとまるやんって。
── 曲作りが一番キツイ?
KEIT:なんだかんだ言ってそこが全部なので。一番大きい舵を握っとるから。そこでハンパなものを作れば、メンバーにも宣伝してくれる人にも影響があるとも思うし、ゼロから作るものだから生み出すって大変だなって。
── でもすごいもの背負ってるなって思いません?
KEIT:思いますよ、ときどき。宣伝費もそうですけど、バンドに対して捻出されるお金って、決して1人では成り立たないものが多いじゃないですか。そういう話を聞くと、デカイことやってるんだなって。