ここがスタートだと思っています
── ベースはどうですか? 『属性』は特にベースがキーになる曲だと思いますけど、そういう部分でも深沼さんとディスカッションはしているんですか?
伊藤:この曲に関してはレコーディング直前に出来たので、ここを変えようとかはそんなになかったです。
三浦:アレンジに関しては基本3人でやってましたね。
斉藤:プラスαで「ギターを入れたら?」というアイディアはもらいました。ベーシックを変えようとかはなかったんじゃないかな。
三浦:『属性』はスタジオで何回か合わせて出来た曲で、ライブでもやっていなかったから、レコーディングの時に「どうやったっけ?」って。尺がわからなくなったりしてましたね。
伊藤:レコーディングをしたことで成長出来た曲だと思います。
三浦:今まではどの曲もライブで演奏してからレコーディングに挑んでいたので、レコーディングが先というのも初めての経験でした。CDはその時の記録という感じで、ライブではこうしようというアイディアもどんどん沸いてきて、どんどん新しいアレンジになってます。
── その曲を披露するレコ発ツアーが6月から行なわれ、7月には初のワンマンを成功させ、そして8月には新宿LOFTの公演も控えています。今回リリースされたばかりではありますが、もう新しい曲も作り始めているんですか?
三浦:断片はもう出来ているんです。レコーディングしているときにも、曲の断片が浮かんできては録っていたので。結構いい感じのがあるので、またがんばって曲にしていこうと思っています。
── ということは、次のリリースはけっこう近いかも?
三浦:1年以内には出したいですよね。もう2年あくということはないと思います。
── 2年もリリースしていないと、「いつリリースするんですか?」と聞かれることも多かったんじゃないですか?
三浦:タワーレコード渋谷店の店員さんに、自主制作でCD-Rを作ってた頃から聴いてくれている人がいて、『陽がよく当たる』の発売日にお店に行ったら「次いつ出るんですか?」って聞かれました。「え!? 今日発売なのに!」って(笑)。でも嬉しかったですね。期待をしてくれているわけですし。今やる気が漲っているし、出来た曲をバンドに持っていったらもっと良くなるだろうという自信もあるので、いまとてもバンドが健康な状態なんだと思います。
伊藤:スタジオの空気も良いですし、やりやすくなりましたね。
── 今後が楽しみですよ。CDもバンドとしても。
三浦:今回初めて聴いてもらえるような機会が以前より増えたと思うんですけど、11曲いろんな景色というか、朝とか真夜中とか、憂鬱な雨の日とか。いろんなところでフィットするアルバムになっていると思うので、まだacariのことを知らない人にも、とにかく聴いて欲しいです。何回も聴いてもらえる作品になっていると思うので、聴き込んでライブにぜひ来てもらいたいです。
伊藤:自信作なので。聴いてもらえれば、いろいろな景色を感じ取ってもらえるんじゃないかと。
三浦:それに尽きますね。名前を知ってても聴く機会がないと聴いてもらえないし、僕らだってまだまだ聴いたことがない音楽がいっぱいあるし、だけど今回の作品に関しては無理してでも聴いて欲しいなと(笑)。
樋口:音楽をやりたいんだという、芯の強さの塊だよね、今回の作品は。
三浦:今までの作品に比べて歌詞もサウンドも全員の演奏も、伝える曲を作ろうと自然に思えたのが、今までと変わったところだと思っているんです。こういうこと言ったら誤解されるかなとか、吹っ切れない部分があったと思うんですけど、しっかりとしたメッセージを発すれば、理解してくれる人がきっとたくさんいて、聴いた人に深く伝わるような音楽になるんじゃないかって。そしたら今まで書けなかったような歌詞が書けたし。樋口さんが言ってくれたようにちゃんと伝わっているのが本当に嬉しいです。なので無事完成できて良かったなと。最初は不安もありましたけど、バンド3人の息もあって良い信頼関係でできることが幸せですね。こうしてアルバムに辿り着けて、ここからがまたスタートだと思っています。これからも楽しみにしていてください。