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INTERVIEW

トップインタビューa flood of circle

100年経っても情熱が伝わるブルースを貫いて生きていきたい

2011.09.17

 a flood of circle(以下:afoc)から、メジャーシングル『I LOVE YOU』、インディーズシングル『Blood Red Shoes』が2枚同時にリリースされる。昨年末にベースのメンバーチェンジがあり、HISAYOが正式加入。「今すごくバンドが健康的な状態なんです」とインタビュー中にボーカル&ギター・佐々木亮介が目を輝かせて言っていたが、まさにその状態は作品に表れていた。これまでにはなかったストレートなサウンドと言葉で、わかりやすいロックを聴かせる『I LOVE YOU』を始め、『Blood Red Shoes』は、今の彼らの一番良い形が音となって表現されている。「本当に自信のある作品が出来た」と佐々木が何度も言ってしまうほど、彼らは全員が同じ前だけを向いて進み出している。100年経っても伝わる音楽がここに完成した!(interview:やまだともこ)

もっと届けたいという気持ちが出てきた

IMG_10121.jpg── 今回メジャーシングルとインディーの2枚同時リリースですけど、これは何か理由があるんですか?
「昨年末に加入したHISAYOとは随分前からの知り合いで、精神的にもすごく合うし信頼していたんですけど、音楽的にどう合わせるかというのは課題だったんです。特にドラムのなべちゃん(渡邊 一丘)は、新しいメンバーとリズムを作るのが初めての作業だったのでけっこう悩んでいたみたいで。でも曲を作ったり、ライブの回数を重ねていくうちに、バンドとして固まっているという手応えは今年の初めぐらいには感じていて、『Blood Red Shoes』はその一番良い形で出来た曲。いずれこの作品を、afocの名刺代わりの1枚として出したいなと思っていた矢先、3月11日の震災が起きてしまったんです。その時に、どのバンドもそうだと思いますけど、ロックバンドがやることは何なのかってすごく考えて、俺は“I LOVE YOU”をちゃんと言うということなのかなと思ったんです。その後『I LOVE YOU』が出来て、曲に自信があったし、今この曲を表に出して伝えたいという気持ちが膨らんで、これをメジャーで出しましょうってなったんです。『Blood Red Shoes』で言っている事は嘘じゃないんですけど、“歌詞が過激な曲を今メジャー盤で出すのは違うんじゃないか”というレコード会社の意見に納得する部分もあって…。でも、どうにか日の目を当てられないかなって話をしている時に、インディー盤ならという話で、自分達の中で極端な2曲でもあったから、今はこうなんですよと提示するためにも両方出せるなら出したいですって、こういう形でリリースすることにしました」
── 歌詞を読むと、『I LOVE YOU』はこれから生きていくことに対して腹を括った感じがあって、『Blood Red Shoes』は未だに正解を探しているというか模索している感じがして、ふたつの人生が入っているんじゃないかなって思ったんです。
「『Blood Red Shoes』はメンバーが変わった直後というのがあって、模索しているというのはあるかもしれません。詞の書き方も、前は“俺の考えはこうですけどどうですか?”と投げつけるという感じでしたけど、今は相手に届けようという気持ちで語りかける曲になっているし、“笑い飛ばしてくれよ”というメッセージは前だったら書かなかったかもしれない。『I LOVE YOU』はもっとダイレクトで、それは前と変わってますね」
── なぜそうなったんですか?
「ふたつぐらいあると思っていて、ひとつはHISAYOさんは熱くて精神的に繋がれる人なので、今バンドがすごい良い状態だということ。ふたつめは、5年間詞・曲を書いてきて、自分で言うのは恥ずかしいですが成長したところはあると思うんです。今までの曲がダメだとは思いませんが、もっと届けたいという気持ちが出てきて、それが健康的でもあるし、すごく貪欲にもなっている気がします。あと、なんで届かないんだよっていう悔しさもあって、とにかく聴いて欲しいというのが強く出てるなと思います」
── 今作の語りかけ感は、全てを知り尽くしているとこまで来ているような、24歳には思えない歌詞じゃないかと一瞬思うところがありましたが…。
「最近本当に若手扱いされないっていうのはありますけどね(笑)。知り尽くしてると自分では思わないですけど、覚悟が決まっているのは自信を持っていて、それはメンバーのおかげでもあって、『I LOVE YOU』とか『Blood Red Shoes』とか自信のある形がはっきりと出てきているんです。前からあるものではあったんだけど、もっとはっきりしてきた。これが今一番必要なロックンロールなんじゃないかなって。60年代っぽいバンド、70年代っぽいバンドは最近たくさん出てきましたけど、俺らのような歌詞の書き方をしているバンドってあまりいないし、俺はこれが正解だと思って今すごく自信を持っているんです。それが強みなのかなと思いますね。本来のロックのメッセージを伝えるというところに来ている気がして、自分の思いが曲にしてもライブにしても形に出来てることが一番大きいです」

『I LOVE YOU』を言い切る自信があった

IMG_10217.jpg── 『I LOVE YOU』を聴いて、まさかこんなにストレートな曲を書くとは思ってなかったですけどね(苦笑)。
「ロックに何が出来るかと思っていた時なので、俺はもともとロックファンだから、俺が聴きたいロックは何かと考えて正直に書きました。タイトルが『I LOVE YOU』で、サムイとか言われるかもしれないけど、どれだけ笑われても言い切る自信があるんです。みんな『I LOVE YOU』って聞いてバラードなんだろうなって思っていたみたいですけど(苦笑)、afocのやり方で伝えるならこれだなって」
── こういう『I LOVE YOU』もあったのかと思いましたよ。
「メジャーキーでスコーンと行く曲もあまりないし、こういう歌詞の感じもなかったし、音楽的にもわかりやすいロックにしたかったので。昔のロックが好きでバンドを始めたけれど、ストロークスとか今のバンドの音も好きだから、アレンジの感覚は古くさいだけのロックじゃない音に出来ていると思います。レコーディングもこだわってやったんですよ」
── そうそう。サウンドの肌触りがこれまでとは全然違うんですよ。プロデューサーには弥吉淳二さんを迎えられて…。
「『I LOVE YOU』を出そうって思った時に、言葉をちゃんと伝えたかったし、たくさんの人に聴いてもらえるように広める作業もしたかったので弥吉さんを紹介してもらったんです。aikoさんなどポップスを手がけている方なんですが、会ってみたら見た目からしてわかりやすくロックな人で(笑)。『I LOVE YOU』を今出す事の意味も受け止めてくれて、ミックスも今までにない形になりました。今までのafocを知ってる人には新鮮に聴こえると思うけれど、ロックンロール感もあってすごく良い状態で録れています。今までの生々しさとは違う手触りも出せましたし。弥吉さんとはイギー・ポップみたいな音にしようと言っていて、リアルな言葉だからリアルな手触りにしたいと思ったんです。それが生きたんじゃないかな。最初はもうちょっと荒い曲だったんですけど、“1個1個の展開やギターのフレーズに、I LOVE YOUを言いたい時の気持ちを落とし込んでいくべきだよ”って言って頂いて、自分にない視点で見てくれましたね」
── その反面、2曲目の『ミッドナイト・サンシャイン』はこれまでのa flood of circleの音ですね。
「『Blood Red Shoes』より前からアイディアはあって。曲も気に入っていたし、4月6日のワンマンでもやっていたし、この曲を録った時に、『I LOVE YOU』の後にこういうロックが入っていたらわかりやすいなと思って。抽象的な歌詞は最近あまり書いてなかったので」
── この曲はセルフプロデュースだそうですが。
「『ZOOMANITY』もほとんどがセルフプロデュースなんで初めではないですが、メンバーが変わった時のモヤモヤ感は払拭できていたし、音もあの時とは違うものにしたくて。ミックスをしてくれたオサムさん(スタジオインパクト)とももっと生々しさとか、今っぽいアレンジにするにはどうしたら良いかなという話をすごくして録り方にもこだわって。そういう意味では新鮮でした。前までのセルフプロデュースは、曲のイメージは伝えますけど、エンジニアの人にけっこう任せていましたから」
── レコーディングの時点で、チーム感はあったんですね。
「レコーディングの仕方も変えて、前は何週間かスタジオを取ってその中でみっちりやってましたけど、今回は出来た曲から録っちゃおうって、月に2曲ぐらいのペースで録って、それがすごく良かったのかな。考える時間も、オサムさんと話す時間もたくさんあったし、集中力がとぎれることもなかったんです。今どんな曲が欲しいかもわかってきていて、それが音にもなっていくし、ライブにも活きていて本当に集中出来てるなと思います」

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LIVE INFOライブ情報

Tour“I LOVE YOU -胸一杯の愛は無償編-”
【CD W購入者特典】
『I LOVE YOU』『Blood Red Shoes』をご購入の方を、Tour“I LOVE YOU -胸一杯の愛は無償編-”にご招待
9.23(fri) 東京ダンス&アクターズ専門学校
東京都渋谷区渋谷1-24-6   open 17:00 / start 17:30
9.24(sat) 福岡スクールオブミュージック専門学校
福岡市博多区石城町21-2  open 17:00 / start 17:30
9.25(sun) 大阪スクールオブミュージック専門学校
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