LINKでまたCD作れたんだなって
── 再結成から1年経ち、やっぱりこれだなっていう手応えはありますか?
小森:『夜を超えた音楽と思想』の本チャンが家に届いて、LINKって書いてあるCDを手にした時にグッと来るものがありました。LINKでまたCD作れたんだなって。もう二度と作れないと思っていたので。
── 3人で合わせたり作ったりしてる以上に来るものがあった?
小森:スタジオでの曲作りは出来るだけ客観的に聞いて曲の判断をするようにしていました。音楽性の違いで解散したので、再結成するなら一生やるぐらいの気持ちで決めたかったんですよ。だからスタジオで録った音を客観的に家で聴いてやれるかどうかという見方をずっとしていたので、熱くならないようにしていました。あと、再結成のライブの1本目もめちゃめちゃグッと来ましたけどね。CITTA'に着いたら俺らの物販待ちの人がすごいいるんですよ。全国から来てくれたので、ライブ前にピークを迎えそうでした。
── 今回リリースされた『夜を超えた音楽と思想』は全編歌詞が日本語ですが、これは初の試みですよね?
小森:初めてです。
── 作詞・作曲は1人何曲ずつぐらいになるんですか?
小森:何曲と言われると難しくて、全曲一緒に作っているんです。ひとつのテーマで柳井が書いた散文詩みたいな詞があって、それを送ってもらったんですけど、ものすごい量なんですよ(笑)。45個ぐらいあったかな。その大量にある詞の中から言葉をピックアップして繋げて、ひとつの歌詞にまとめて。
── 詞を繋げるのは小森さんの作業なんですか?
小森:柳井が書いた曲もありますけど、『モノクロームセット』とか半分以上は俺が柳井の詞を繋げて曲も付けるという作業でした。
── 小森さんって、今まで日本語の詞は手がけてないですよね?
小森:英詞しか作ったことないです。
── どうなんですか? 日本語で作るというのは。
小森:面白かったです。柳井から送られてきた歌詞をプリントアウトして、部屋の壁にバーッと貼って…。
柳井:変態的ですよね(笑)。
小森:目に付くところにあるとやりやすいんですよ。
── 歌詞はお2人の作業ということは時間もかかりながら?
柳井:いえ。早いです。
小森:柳井の作り方と俺の作り方が全然違うんです。俺はデモを作る段階で歌い分けとかコーラスとか、大まかなイメージは8割ぐらい固めて持っていくので、それは特に早かったよね。
山上 教経(Dr):曲を作る作業でほとんど作って来ちゃうので。
小森:ノリ(山上)とスタジオに入って3時間ぐらいベーシックを作って、ドラムの音を録音して、家に持って帰って他の楽器を入れる作業をして。LINKの後半もYour landscapeも2人でスタジオに入ることがすごい多かったんです。ノリはLINKの中で一番客観的に音楽を聴けるので、参考になるというか、的確なジャッジをしてくれるので信頼して出来ます。
── 柳井さんは時間がかかる?
柳井:俺はふわっとしたものを持っていくんですよ。
小森:おぼろげな、生まれたてみたいな形で持ってきて(笑)。こうしたいというイメージを聞きながら3人でまとめる。
── 弾き語りで作られているんですか?
柳井:弾き語りぐらいで出来るやつを持っていって、3人で合わせた時にイメージ通りなのかそうじゃないかというところから始まるので時間がかかるんですよ。ふわっとしてるからけっこう難しくて。
── 最終的なイメージも出来てない?
柳井:完成はしているんですけど、小森に持って帰ってもらって完成した曲がほとんどです。
── それを3人で合わせると、ゾクゾクする感じって改めてありますよね?
柳井:スタジオに入るのも楽しいし、ライブも楽しいし。3人でやってるというのはすごいことだなと思います。
── サウンドとしては一番シンプルなところに戻った感じがしますね。
小森:すごい絞った感じの音ですよね。余計なものがない、余計な楽器も入ってない。楽曲もシンプルだと思います。
── ところで、小森さんのブログを拝見したら、曲順にすごく悩んだと書かれてましたが。
小森:すごい大変でした。
── 曲順は小森さん1人で?
小森:違います。最初は3人で考えて。
山上:俺は途中でリタイヤしました(笑)。
小森:レコーディング前に3人で曲順を作ったんですよ。ミックスが終わってその曲順で聴いたら全然良くなくて急いで作り直すことにしたんですが、締め切りの当日夜中3時ぐらいに柳井と電話でやりとりしながら、聴いたら電話してっていうのを何回もやって。
柳井:ストイックにやったよね。
── 私は4曲目の『レストインピース』から『モノクロームセット』の流れがすごく好きで、自分の中の盛り上がりポイントでした。
小森:俺もあそこは盛り上がりポイントです。同時期に作って、2人にその2曲が入ったデモを渡して、すごい繋がっているイメージがあったんです。アルバムで思った通りに行けて良かったです。
── 今回はシングルでリリースされている曲プラス6曲を作り…。
小森:シングルを録ってる間にも曲はけっこうあって、『ブライトシティ』なんて相当前にあったよね。
柳井:『ブライトシティ』は音源にはなってないんですけど、解散前のLINKのライブでやっていたんです。それからグレープフルーツでもやろうとしていて何回かスタジオで合わせたんですけど、イメージがどうしても伝わらなくて(苦笑)。
── でも、再結成1枚目のアルバムに入れたいぐらい、自分の中で大事な曲だと。
柳井:残しておきたい曲ではありました。