オンとオフの切り替えの難しさ
雨宮:表現する上で気に留めていることや自分に課していることはありますか? 私は1日1冊本を読むことを自分に課しているんですよ。
seek:高校生の頃はそういうのがありましたね。他人との差別化を自分に課したりして。「俺は他の誰よりも映画を見てるぜ!」とか「みんなの知らないライヴハウスという世界を知ってるんだぜ!」みたいな。そうやって勝手に優越感に浸ってすべってるヤツでしたね(笑)。
雨宮:高校男子っぽいですね(笑)。
seek:仕事上で自分に課してることと言うか、自分が休んでる間に誰かが働いてるやろなと思うと休めないんですよね。それじゃダメだと自分でも思うんですけど、なかなか休みが取れないんです。
雨宮:オフの時でも何かにつけて仕事をしてしまうと?
seek:そうなんです。気持ちが焦ってばかりなんですよね。バンドの方向性に関して裏方っぽい仕事をしていても、その間に表向きのバンドマンからどんどん差を付けられてるんじゃないか!? とか考えてしまうんです。オンとオフの切り替えは全くないし、忙しくないと不安なのかもしれないですね。ツアーで車を運転してる時くらいじゃないですか、「仕事してねぇな、俺」って思うのは。
雨宮:幸樹さんはオンとオフの切り替えはできていますか?
幸樹:僕の場合は、バンドのことでストレスを溜めてバンドでそのストレスを発散している感じですね。あと、ジムで身体を動かすことも好きだし、思い付きでスノーボードをしに行くこともあるんですよ。
seek:バンドマンにしては珍しいアウトドア・タイプなんですね(笑)。
幸樹:野球が一番好きで、家の近くにプロ野球チームの二軍の球場があるんです。そこの練習試合を一人で見に行ったりもしますね。何と言うか、衝動的に動くのが好きなんですよ。前日から予定を決めるよりも、当日の朝に行動を決めるのが性に合ってるんです。
seek:息抜きに酒を飲みに行ったりは?
幸樹:自分から進んで繁華街に出かけるようなことはないですね。
seek:へぇ。僕はお酒に逃げてばっかりですわ(笑)。ズブズブになるまで飲みますから。
雨宮:私もそうですね。毎日家で泥酔しています(笑)。
──両バンド、打ち上げでもかなり呑むほうですか?
seek:バンドで打ち上げっていうのはほとんどないですね。呑まないメンバーも多いので、ライヴが終わったらお酒よりもご飯優先なんです。こっちは今から呑む気満々なんですけど、「もう帰りたい」って顔をされて悲しいんですよ(笑)。
幸樹:それなら、seekさんはダウトに合いますよ。
seek:合います? じゃあ、ダウトに入っていいですか?(笑)
幸樹:この間のツアーでも、メンバー5人で飯に行こうと思ったのにいきなり飲み放題コースになったんですよ。そこまではいいんですけど、タバコにマークを付けて、それを引いたメンバーが一気飲みするゲームをやることになったんです。しかも、ジャック・ダニエルとかどぎつい酒で。そんなことを2時間ずっと続けていたんですけど、途中から「何でこんなことをしてるんだろう?」と思って(笑)。ウチのメンバーは負けず嫌いが多いんですよ。その一気飲みゲームも、「誰かがギブって言ったらそこで終わりにしよう」と決めていたのに誰もやめようとしないんです(笑)。
seek:貪欲ですね(笑)。
幸樹:ウチのメンバーはそういうところがあるんですよ。ギターが機材を買ったら、もう一人のギターがそれに張り合うように違う機材を買ったりして(笑)。
自分たちらしさを貫いた一年に
──せっかくの機会ですし、雨宮さんのほうからライヴ当日に聴きたい曲をリクエストしてみてもいいのでは?(笑)
雨宮:いやいや、そんなこと言ったら縛りが出来てしまって申し訳ないので…。
seek:いやいや、僕らは媚び売っていくので全然やりますよ(笑)。「この曲は雨宮さんが聴きたいと言っていたのでやります!」言うて(笑)。
雨宮:じゃあ、『MONSTIME』を是非…。
seek:了解しました。まぁ、『MONSTIME』をやらなかったライヴは多分ないと思いますけど(笑)。
雨宮:ダウトさんには『シャングリラ』を…いや、どうか気になさらないで下さい(笑)。
幸樹:大丈夫ですよ。『シャングリラ』は基本やりますので(笑)。
seek:2マンは時間も長いし大変ですけど、じっくりやれるのがいいですよね。でも、2マンって難しいですよね?
幸樹:そうですね。周りの目もVS的な感じになるじゃないですか。YUKI君もきっとバチバチな感じで来るんだろうなと思ってますよ。
seek:イヴェントでは何度かご一緒させて頂きましたけど、これだけガッツリとやれるのは初めてですからね。ダウトのお客さんにこれだけ長いライヴを見てもらういい機会やし、ちゃんと見てもらいたいですね。最近は自分らが好きなバンドが終わると会場を出ちゃうお客さんもいるじゃないですか。あれはもったいないなと思うんです。自分好みのバンドが他にも出てくるかも判らんのに。だから見た気にならず、ちゃんと見て欲しいんです。
──LOFT / PLUS ONEでの公開打ち上げも楽しみですね。
seek:LOFT / PLUS ONEは「帰ってきたぞ」という感覚になりますからね。凄く落ち着くんですよ。LOFT / PLUS ONEでは自分でやらせて頂いてるイヴェント(『魚群』)があって、そこではグズグズに飲みながら喋って唄ってますね(笑)。でも、僕はあのLOFT / PLUS ONEならではのグズグズ感が好きなんですよ。公開打ち上げで心配なのは、ダウトのお客さんに引かれないかな? ってことだけなんですけど(笑)。
幸樹:インストアは別にして、トーク・イヴェントで喋る機会というのはそうそうないですし、楽しみですね。
雨宮:壇上で一気飲みゲームをやって頂いても構いませんので(笑)。
幸樹:さすがにそれは。非公開打ち上げならやりますけど(笑)。
──月並みですが、両バンドともどんな一年にしていきたいですか。
seek:2010年はいろんなバンドの解散や休止、メンバーの脱退といった悲しいニュースが相次いで、ヴィジュアル系にとっても動乱の一年だったと思うんです。こうしてバンドを続けていて、ライヴを見に来てくれる人たちがいる以上、その人たちが少しでも笑顔になれる瞬間を作りたいですね。あと、ワンマンが続くと、自分らは普通のバンドやな…と思ってしまうんですよ。この見た目やのに(笑)。「何かもっとせにゃアカンちゃうかな?」とつい考えてしまうんですが、イヴェントに出させて頂くと「俺ら相当キてるな」と思うことが多くて。その意味でも、今年はライヴの本数を増やしたいんですよね。今回のようなイヴェントに出させて頂くことで自分たちらしさに気づかされることが多いし、もっと自分たちのことを信じられる一年にしたいです。
幸樹:僕たちも自分たちらしく活動していきたいですね。今年はメジャー・デビューさせて頂くことになったんですけど、そこでも自分たちらしさを貫いていきたいです。巷にダウトの音楽が溢れかえるくらいに自己主張をしていきたいし、小さなことから大きなことまで全力で向き合うつもりです。「今年はダウト・フィーヴァーの一年にしよう」とメンバーやスタッフとも話しているので、あとは有言実行あるのみですね。