歌を必要とする人たちに届けたい
──イベントでずっと待ち続けてくれていたファンの皆さんと直接対話できた時はやはり感慨深いものがありましたか。
柴田:唄っている最中に客席のみんなの顔を見て、グッと来る瞬間が何度もありましたね。やっぱり、みんなの顔を写真で見ながら歌詞を書いた曲でしたから。言葉では上手く表現できませんけど、本当に夢のような最高の時間でしたね。当日まで何人くらいの方が来て下さるのか全く把握できなかったし、不安が入り混じる中で1回目のステージを迎えたら、本当にたくさんの人たちが駆けつけて下さって...。2公演目の開場前も大勢の人たちが並んで下さっているのを見て、感無量でしたね。凄く嬉しかったし、でも緊張もあるし、自分一人だし、とりあえずやり遂げなきゃっていう気持ちもあったし...。1公演目は無我夢中で、あまり覚えてないんですよね。ただ、緊張のあまりだいぶ早口になるだろうなと予想できたので、言葉を口にする時はゆっくり喋ろうと心懸けていたんですよ。それだけは頭にありました。
──僕は2回目のステージを拝見したんですが、喋りも堂々としたものだなと感じましたけどね。
柴田:1回目でホッとしたのもあったんでしょうね。お客さんをつつく余裕も出てきましたし(笑)。
──しかも、まさかの3回目のステージも急遽執り行われるという大盛況振りで。
柴田:有り難いことに。私がどうしてもやりたいと話を通して頂いたんですよ。やれるかどうかは判らなかったんですが、気持ちも含めて準備をしていました。
──サイン入りのフォトブックが購入できたラッキーなファンの方もいらっしゃいましたね。そう言えば、サインが変わったのはやはり心機一転ということで?
柴田:そうですね。今まではローマ字の筆記体だったんですけど、縦書きの漢字表記にしたんです。"Ayumi"だけだと物足りないし、"Shibata"っていう感じでもないし、"Ayumi Shibata"だと今まで通りだし...ということで。実はメロン記念日の時も漢字のサインを考えたことがあって、今のサインはその変形バージョンなんですよ。
──イベントの整理券と握手券のプリントやカットも柴田さんが作業を手伝ったそうですね。
柴田:はい、やりました。凄く楽しかったですね。あと、販売するポスターをくるくる巻いて封に入れる作業もしたんですよ。ポスターにちょっとシワがあったら私が巻いたものだと思って下さい(笑)。
──そんな作業もすべて、これからの活動は手作り感を大切にしていくという姿勢の表れのように思えますね。
柴田:手作り感は大切にしたいですし、事務的な作業も単純に楽しいんですよ。その梱包の作業も、私がやらなければ事務所のどなたかがやるわけで、それなら私も一緒にやらせて下さいということなんです。他でもない、私自身のことですからね。自分から発信するものは真心を込めて自分の手でお届けしたいんですよ。今の事務所は少数精鋭で動いていますし、皆さんいろんな仕事がある中で私のために時間を割いて下さっているので、そこで私だけが家でボーッとしているわけにはいかないんです。
──今後、歌手としてどんな歌を唄っていきたいですか。
柴田:歌詞のほうはこれからも頑張って自分で書いていきたいですね。私は自分の言葉で感情を伝えるのが苦手なほうなんですけど、それが歌ならちゃんと伝えられると思っているので。その歌に共感してもらえたら嬉しいですし、歌を通じて勇気や元気を与えられればいいなと思って。メロン記念日として最後にルーフトップさんにインタビューして頂いた時にもお話ししましたけど、私自身、歌に救われることが本当に多いし、歌を必要としている人たちに私の歌を届けていきたいんですよ。
もっと幅広い唄い方を習得したかった
──ブログで何を書こうかとパソコンの前で何時間もフリーズしてしまう柴田さんですけど(笑)、歌になると途端に饒舌になれるのは何故なんでしょうね。
柴田:何なんですかねぇ...。あれじゃないですか、妊娠中のお母さんがお腹の中の子供に聴かせる胎教と関係があるんじゃないですかね?
──何だか判ったような判らないような...(笑)。
柴田:判りづらいですかね(笑)。何と言うか、ブログだとヘンにかしこまっちゃうんですよ。絵文字は読みづらいから使いたくないとかこだわりもあるし、読みやすいように改行を増やしたら逆に読みづらいと言われるし...。
──せっかくピアノも弾けるんですから、作曲もチャレンジしてみたいとは思いませんか。
柴田:自分の好きなメロディが判っているので、好きな曲と似ちゃうような気がして自信がないですね。今の時点だと、書いて頂いた曲を聴いて"この出だし、最高!"とか"このメロディ、凄くいい!"って喜ぶ気持ちが好きなので、まだ作れないと思います。今はまず作詞をしっかりとやっていきたいし、ゆくゆくは曲のほうも作れたらいいなとは思いますけど。
──ちなみに、初のソロ曲を発表するにあたって『YOU & I』以外に候補曲はあったんですか。
柴田:候補は他にもあっていろいろと聴かせて頂いたんですけど、フィーチャリング的な音楽とかソウル系の曲とかも最初はあって、確か20曲くらいは聴いたと思います。どういう感じの曲がいいかをその中からリスト・アップして、最終的に決まったのが『YOU & I』だったんです。
──ブログでやたらとボイトレに通い詰めているなと思っていたんですが(笑)、その成果を先日のイベントで実感しましたよ。伸びやかで艶やかな高音がこれまで以上に綺麗に出るようになったし、着実に声量が増しましたよね。
柴田:そう言って頂けると嬉しいです。良かったぁ...半年の成果ですね。
──ボイトレの先生からはどんなアドバイスを?
柴田:「もっとお腹を使ってラクに唄える方法も習得したほうがいいね」と。そのほうがバラードもより説得力が増しますから。ハロプロ時代はそこまで徹底してボイトレを受けたことがなかったんですよ。デビューする前後にちょこっと4人でやらせて頂いた程度で。メロン記念日として4人で唄うのと一人で唄うのは全然違いますし、当時と年齢も違いますからね。20代の後半に差し掛かってきたし、もっと大人な唄い方をしたかったんですよ。
──今の艶やかな歌声で『ドライブ』を聴くと、きっと格段に歌の表現力が増したことを痛感するんでしょうね。
柴田:ああ、そうかもしれませんね。
──今後は是非、『ドライブ』の世界観を踏襲した切ない恋愛模様のバラードを唄って頂きたいです。
柴田:いいですねぇ。とことん落ちて涙したい日もありますもんね(笑)。よく判ります。ボイトレの時はいつも課題曲があるんですよ。一番最初は中村中さんの『友達の詩』で、その次が小田和正さんの『ラブ・ストーリーは突然に』で、今は渡辺真知子さんの『かもめが翔んだ日』を練習しているんです。
これからが本当の意味でのスタート
──何だか時代がどんどん遡っていますけど(笑)。
柴田:でも、渡辺さんやあの時代の歌手の方の発声法は本当に基本だと思いますし、凄く勉強になっていますね。ボイトレのスタジオにドラムセットが置いてあって、ボイトレの先生が声を響かせるとドラムが振動するんですよ。私もいい発声をした時は振動するんですけど、振動しない時もあるんです。如何にお腹から声を出せるかと、喉をどう開けているかで響きが変わってくるので、それが凄く面白いんですよ。
──今後、息の長い歌手として活動していく上でも、この時期に徹底的にボイトレを積むのはとても有意義なことですよね。ソロ活動の助走期間とも言うべき今しかできないことだと思いますし。
柴田:そうですね。凄く濃密な時間を過ごせていると思っています。
──オフィシャルファンクラブも発足して、ジュエリーをデザインしてみたり、"ジェイカフェ"とのタイアップで携帯ストラップを作ってみたり、歌手以外の活動も徐々に活発になってきましたしね。
柴田:よくご存知で(笑)。先日のイベントもそうなんですけど、ファンクラブは手作り感満載でやりたいことをやっていきたいんですよ。手書きの会報も気分次第で随時発行してみるとか、そういうことも盛り沢山でやっていきたいですね。ジュエリーのほうは、まさかそんな話を頂けるとは思わなくて私自身が一番びっくりしているんですけど、ジュエリー自体は大好きなんですよ。男性が付けたらモテ度がアップするように、女性が付けたらお洒落度がアップするように使って頂けたらと思いますね。この間のイベントでも展示をして、女の子が買ってくれていて嬉しかったです。男性の方も奥さんにプレゼントするとご購入下さいましたし。
──旦那さんが恋焦がれる柴田さんデザインのジュエリーですし、プレゼントされた奥さんの気持ちはちょっと複雑な気もしますけど(笑)。
柴田:そんなご夫婦にはペアで付けられるアクセサリーも今後展開していきますので、大丈夫です(笑)。
──抜かりないですね(笑)。月並みですが、2011年はどんな一年にしていきたいですか。
柴田:皆さんにいろんなご報告ができるようにしたいですね。あと、皆さんと直接会える機会をもっと増やしていきたいです。
──是非ウチの店舗でトークライブを定期開催して下さいよ。
柴田:ロフトさんでですか? いいんですか、私で?
──願ってもないお話ですので、是非お願いしたいです。
柴田:トークライブ......そうですね、不安だらけですが勉強させて頂きます(笑)。
──柴田さんが本懐を遂げる場所は歌ですから、トークはあくまでその余興ということで。
柴田:でも、自分の肩書きが歌手ですとはまだまだ言えないと思っているんですよ。そんな大それたことはまだ言えないです。今はまだ"元メロン記念日のメンバー"という受け止められ方だと思いますし、自分の過去を消すつもりはないのでそれでいいんですけど、いずれはしっかりと力を付けて周りの人たちからちゃんと歌手として認めて頂きたいですね。フォトブックの発売記念イベントは再始動の報告会みたいな感じでしたし、これからが本当のスタートだと思うので、頑張ります。
──いずれにせよ来年以降、歌手としての精力的な活動を期待して良さそうですね。
柴田:はい、もちろんです。一度覚悟を決めた人というのは、凄くキラキラ輝いているものじゃないですか。本人には不安もあるでしょうけど、とても前向きな姿勢を感じますし。私も若干の不安はありつつも覚悟を決めましたし、気合いだけは充分にあるので、"付いてこい!"って感じですね。...いや、"付いてきて下さい!"って感じかな(笑)。