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INTERVIEW

トップインタビューTHE MACKSHOW('10年8月号)

永遠のロックン・アイドル、奇跡のゲット・バック!
昭和八十五年・夏、愛と平和とロックンロールを奏でる不滅の青春音盤が堂々の完成!

2010.07.20

「ここ一発で仕留めるしかない」という心意気

──レコーディング風景の映像を見るとヴィンテージの機材をこだわって使っているのが窺えますけど、細部にわたってキッチリこだわって作り上げたことを伝える意義のある映像だと思ったんですよね。

K:プレーヤーやレコーディングに携わる人以外に興味があるのかな? と思ったんだけど、レーベルのA&Rに「機材を見せましょう」って強く推されてね。確かに使ってるリボンマイクも50年代のヴィンテージだけど、俺はそういうのを得意気に見せるのは粋じゃないと思ってさ。リスナーには何の関係もないことだしね。

T:いっそのこと、機材に全部値札を貼っておけば良かったよね。「これは100万円」とかさ(笑)。

──でも、そういう細かいこだわりにニヤリとするリスナーは少なからずいると思うし、それを見てマックショウの魅力に益々ハマっていく人も多いと思うんですよ。僕自身がそうですから。

K:まぁ、そう言ってくれるなら良かったのかな。とにかく作品の出来には満足してるよ。すべては一期一会、背水の陣で臨んだからね。後から何とかしようなんて考えが甘いんだよ。保険なんてないんだからさ。

──現状のレコーディング・システムはアナログ・テープの時代に立ち返ったほうがいいような気がしますね。

K:もしくはアナログ・テープに代わるものがあればね。テープは限られた資源だからさ。ヒントとしては回るものなのかなと思うよ。ハードディスクも回ってるっちゃ回ってるんだけどさ(笑)。レコードだってカセットだって回るわけじゃない? CDですらトレイの中で回ってる。多分、CDって回さなくてもいいのに敢えて回るように作ってあると思うんだよね。

──テープが回るのも運任せみたいなところがありますよね。

K:そうだよね。録れてないかもしれないし、消えちゃうかもしれないんだから。

──退路を断って、一期一会に懸けてこそ真に迫る表現ができるということなんでしょうね。

K:そういうことだと思うよ。消えちゃったらもう一度やるしかないけど、別に何度だってやるしさ。それを最終的にマスタリングでCDにするために一回デジタルにはするんだけど、それまでは全くのノン・デジタルなんだよ。バンドで音を発信している段階はまだいい。でも、その音がデジタルの卓を通り、プロツールスを通り、プラグインを使ったりする時点でクソになるんだよ。俺が総理大臣になったら、プラグイン禁止令を施行するよ(笑)。あんなもん、上っ面だけ綺麗な絵と同じだよ。魂はどこにもない。デジタルを介して削ぎ取られるものがあっても利便性が優先される時代の中で、削ぎ取られて残ったものが今の世の中にあるクソみたいな音楽なのだとしたら、それはもう方向を変えるしかない。俺はこの8年間くらいデジタルの録り方を研究してきて、自分の声がどう変わるのか、バスドラの音はどうエッジが消えていくのかとかをずっと分析してきたんだよ。

──その研究の成果が今回のアルバムであると。

K:うん。いろいろ試してみたけど、デジタルで何をやってもダメだった。我慢できる許容範囲はあるよ。大きいスタジオでちゃんとしたコンソールがある場合、プロツールスを使っても大丈夫な時はあった。だからと言って、結局のところそれは絵に描いた山並みの風景と同じで、本物の富士山の美しさにはかなわない。夏の朝の空気の匂いとか直射日光のジリジリした熱さまでは伝え切れないんだよ。パソコンの画面から匂いがしてこない限り、音楽はパソコンじゃ作れないね。ロックンロールは根源的なピュアな部分が大切なのに、それをデジタルに削がれちゃ何も残らないんだよ。

──『首都高ムーンライト』の「運転手さん、追い越すぜ」という歌詞の乗せ方が僕は凄くいいなと思って、そういう日本語の歌の化粧ノリもアナログの触感のほうが向いていると思うんですよね。細かいことかもしれませんけど。

K:そういうのは絶対にあるよ。俺もテープを聴きながら唄って演奏もしてるからしっくり来るしね。それを後からいじって何とかするなんてさ、ケーキ屋が生クリームのケーキを後で手直しするようなもんだよ(笑)。神に対する冒涜だよね。それなら最初から作り直したほうが断然早いよ。他のバンドは何でマックショウみたいに真摯な姿勢で音作りに励まないんだろう? と思うよね。俺たちはそこに命を懸けてるからさ。多分、みんなマックショウが凄い儲けてると勘違いしてると思うんだよ。ライヴもデカい会場でやって、CDもある程度売れてるからね。でも、利益は全部音作りの研究に費やしてるんだよ。全然儲かりっこない(笑)。だからこそ新しい作品を作り続けなくちゃいけないし、毎回新たなテーマや発見が生まれるわけ。同時に演奏するからこそこういう音の積み重ねができるんだなとかさ。これまで切ったり貼ったり研究してはみたものの、結局はその場の偶発性に優るものはない。森羅万象、そういうことなんだよ。これから先は今以上にシンプルに研ぎ澄まされたドキュメンタリー性の高いロックンロールをやりたいね。日本特有の侘・寂や日本男児の格好良さを出すには「ここ一発で仕留めるしかない」っていう心意気が大切だし、本来の意味でのロックンロールっていうのはそういうものだと俺は思うからさ。

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Here Comes The Rocka-Rolla 〜情熱のロカ・ローラ〜

B.A.D RECORDS UNITED / MEDIA FACTORY, INC.
初回限定盤:FAMC-040/全12曲収録(初回限定盤カラーDVD付)/3,150yen (tax in)/初回限定収録カラーDVD:マックショウ・ヒビヤ〜復活の軌跡〜ライヴ映像『首都高ムーンライト』『ビッグママヘイヘイ』他、『A HEART BEAT’S TONIGHT』レコーディング短編ドキュメント・フィルム収録
通常盤:FAMC-041/全14曲収録(初回盤未収録曲2曲収録)/2,835yen (tax in)
昭和八十五年(2010年)八月六日(広島平和記念日)発売

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01. 情熱のロカ・ローラ
02. 首都高ムーンライト
03. 熱帯ドライヴ
04. 恋は45rpm
05. 100メートルの恋
06. 悲しみを抱きしめたままで
07. スウィート・リトル・シックスティーン(通常盤のみ収録)
08. いかしたマギー・メイ
09. 魅惑の深夜パーティー
10. 八月のムーンリバー
11. ロックンロール・ミュージック(通常盤のみ収録)
12. 今夜はスタンド・バイ・ミー
13. 83413(今夜は最高)
14. A HEART BEAT’S TONIGHT
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LIVE INFOライブ情報

LONDON NITE 30周年 夏祭り
昭和八十五年八月六日(金)新宿ロフト
OPEN & START 23:00
LIVE:THE MACKSHOW/氣志團
DJ:大貫憲章/ヒカル/稲葉達哉/SHOJI/YOSSY/U-ichi & SPECIAL GUEST
info. LOFT:03-5272-0382

『Here Comes The Rocka-Rolla』発売記念スペシャル・コンサート〜ロカ・ローラがやってくる!〜昼の部[タワーレコード全国7大都市インスア・イベント]
昭和八十五年八月七日(土)タワーレコード福岡店(14:00〜)
昭和八十五年八月八日(日)タワーレコード広島店主催 会場:アリスガーデン(広島市西新天地公共広場/15:00〜)
昭和八十五年八月十五日(日)タワーレコード梅田大阪マルビル店(15:00〜)
昭和八十五年八月二十一日(土)タワーレコード新宿店(15:00〜)
昭和八十五年八月二十二日(日)タワーレコード仙台パルコ店(15:00〜)
昭和八十五年八月二十八日(土)タワーレコード札幌ピヴォ店(15:00〜)
昭和八十五年九月十八日(土)タワーレコード名古屋パルコ店(15:00〜)

『Here Comes The Rocka-Rolla』発売記念スペシャル・コンサート〜ロカ・ローラがやってくる!〜夜の部
昭和八十五年八月七日(土)福岡スパイラルファクトリー
昭和八十五年八月八日(日)広島バックビート
昭和八十五年八月十五日(日)大阪・難波ロックライダー
昭和八十五年八月二十一日(土)東京・新宿レッドクロス
昭和八十五年八月二十二日(日)宮城・仙台enn 3rd
昭和八十五年八月二十八日(土)北海道・札幌PIGSTY
昭和八十五年九月十八日(土)愛知・名古屋タイトロープ

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