
現状維持は望んでいない
──ところで、ドナテロはさきさんのボーカルが魅力のひとつでもあって、この声があってこそのバンドなんだろうなと思いましたが、歌いづらい曲とかあまりないですか?
さき:言葉が詰め詰めのものは苦手です。言葉が大事にできないというのもあるので、歌いづらいと感じるかもしれないですけど。
──テンポ的に歌いづらいものは?
さき:そんなにないです。メロディーが良ければスーッと出てくるので。
──『グッバイエルマー』は4つ打ちで楽しそうに歌ってる感じがありましたね。
さき:これはすごく良い感じに詞が乗りました。メロディーもノリが良いので、言葉が入ってきますよね。歌詞を書くためにもメロディーはすごく重要で、メロディーに乗る事によって言葉の響きとか感じ方が変わると思っているので、たぶん詞だけは書けない。先に詞を書いてメロディーを乗せるとかもやってみましたけど難しい。
──歌詞のデキが全然違う?
さき:はい。乗り方が変わってくるし、言葉の生かし方が違うんだと思います。
546:さきの言葉でなくなってしまうんです。
さき:たとえば"キュムロニンバス"(『Cb』より)って普通に生活していたら使わない言葉だと思うんです。だから、詞を先に書けと言われたら、この言葉は出てこなかったと思う。曲を聴いてイメージしたものを書くのは、私の楽しみのひとつなんです。
──歌詞がなかなか書けなかった曲はあります?
さき:『Cb』ぐらいです。『リンガーリング』はメロディーからすぐに出た言葉ですけど、珍しくサビ以外が決まらなかったとかはあります。歌詞が書けない曲は半年ぐらいほっときますね。逆に『1ミリ』や『ホワイトラビット』や『ROSSO』は書き始めたら早かったです。
──546さんが曲を出したのに、全く歌詞があがらなくて急かすことってあるんですか?
546:たまにやってみるんですが、ムダなことはわかっていますから(笑)。書けって言って書いてもそんなに良い詞ではないので、できなければ曲をボツにします。
──それはさきさんの気持ちが乗ったものが、曲として良くなると信じているからということですか?
546:それは絶対です。
──ご自分で歌詞を書いてみようというのはありませんでしたか?
546:.........無理です(笑)。自分から出てくる言葉の浅さがすごいわかるというか...。
さき:私も546のメロディーには敵わないと思うんで作ろうと思わないです。
──『Cb』の途中で、テンポが極端に変わる部分がありますけど。
さき:これは546の好みです。
546:レコーディングの時にクリックをずっと鳴らして、2拍を3分割にしている感じなので、スローテンポに聴こえますけど拍は譜面上では一緒なんです。そういう変な仕掛けが大好きなので、それに無理矢理歌詞を乗せてもらっています。
さき:だから、最初は歌いにくかったですよ(苦笑)。今ではなぜか546のほうがズレるんですけどね。
──『クタビレアンブレラ』では、思いがけないところにギターソロが入って不意をつかれた感じがしましたけど。
546:そこはもともとはAメロの回しで歌詞を乗せる予定だったんですけど、歌詞ができないって言うからそこで歌詞を一区切りさせて、静かめなギターソロから急にBメロに行ったんです。どうしたら自然にその部分が生きるか考えたんです。ここは僕のインスピレーションでした。
──546さんは、メロディーメイカーとしていろんな曲を聴いてるんですか?
546:洋楽邦楽問わず常に家で流していますけど、聴いてるような聴いてないようなという感じです。そういう曲からインスピレーションを受けて自分たちの曲に反映させることはないですね。自分の曲じゃない気がしてくるので、あまりやらないほうが良いなと最近は思ってます。
──自分から生まれてくるものだけを信じて?
546:はい。間違いかもしれないですけど(笑)。
──ところで、5月に発売されたタワーレコード限定シングルの『ホワイトラビット』の反応はどうですか?
さき:良いみたいです。
──アルバムにうまく繋がる感じになりそうですね。では、今のバンドの状況はどう感じてますか?
さき:不安と期待が同じぐらいです。今までとは違い、目に見えた動きがあるのでそこに惑わせられないようにちゃんとしないとと思っています。
マチャーキー:僕はライブがしたいです。アルバムに入っている曲でまだ演奏していない曲もあるので。
546:僕は早く次のアルバムが出したくてしょうがないです。
──バンドとしては今後どうなっていきたい?
さき:メジャーデビューはしたいですね。現状維持は望まないので、ワンステップ上に行きたい。今回のシングルで少し名前を知ってもらえたので、もっともっと知ってもらいたい。もっと大きい会場でやれるようになりたい。ワンマンもやったことがないので、とりあえずワンマンは近いうちの目標ですね。
──チャーミング・ロックという今までにないジャンルですが、今回のアルバムは、546さんから見てチャーミングさはちゃんと出ていると思いますか?
546:出ていると思います。
──アルバムが出て復活ライブをやり、再スタートという感じもありますね。
546:ようやくライブが出来ますし、さきの声をナマで体感してもらいたいので、アルバムを聴いてからライブにぜひ来て下さい。
さき:写真を見るとおしとやかそうに見えているかもしれないですけど。キャラも全然違いますし、ライブに来てもらいたいですね。
546:おしとやかじゃないということは、アルバムを買ってもらったら、いろいろと見えてくると思います。