リリースを重ねる毎に違った表情を見せるストライカーズの、2nd.ミニアルバム『PANDEMIC』(訳:感染)がリリースされる。このリリースを盛りあげるためにと、1月から自主企画"ストライカーズ パンデミック"を開催し、全国規模でミュージックウイルスの感染者続出中!?
前作『GOLD』でも超アッパーなサウンドを聴かせてくれたのだが、今作『PANDEMIC』では前作をはるかに超える振り切り感を見せたストライカーズ。もっとちゃんと伝えたいという気持ちが強くなった彼らは、歌詞もサウンドもわかりやすいものを提示した反面、なぜか全身タイツを着てしまうというアイディアが浮かんでしまった。これによって、イロモノだとか思われてしまうかもしれないが、今回は表現の仕方がこの形だったというだけで、彼らは相変わらず真面目に音楽に取り組んでいる。とにもかくにも「伝えたい」という気持ちは十分にあるし、何より心から楽しんでいることは一目瞭然であろう。今後の彼らがさらにどんな形になっていくのかは想像がつかないが、きっと『PANDEMIC』が多くの人をジワジワと取り込んでいくことになるのは間違いないだろう。(interview:やまだともこ)
ストレートしか投げられなくなった
──昨年秋ぐらいには制作にとりかかっているというお話を聞いていたのですが、『PANDEMIC』が出来上がってみてどうですか?
星野:レコーディングはけっこう難航しました。スケジュール的にもそうなんですけど、土壇場で1曲作ったりして。でも『PANDEMIC』は、やりたいことはまだまだありますけど、これまでの中で一番やりたいことができました。
──特にどんなところが変わったみたいなのってあります?
星野:宅録の部分も少しはあるんですけど、今回はちゃんとレコーディングしているんです。あと、歌詞もメロディーも今まで書きたい放題書いていたのを何回か直したりとか、少し詰めて作ったりとか。それをするのが当たり前なんですけど、バンドを始めて10年近く経って初めて音源を作るっぽい曲の作り方をした気がします。
──曲作りに対する意識が変わってきたということですか?
星野:見せたい面をちゃんと表現しようと思ったんです。メロディーを妥協しないで作るというのはもちろんですけど、1曲目の『パンデミック yeah yeah』に関して言えば、今までの歌詞って自分なりの表現は保ちつつおもしろい言葉のニオイさえあれば言葉に意味がなくても良いと思っていたんです。でも、今回は聴いて「そうだよな」って思えるような感じにしたいなって何回か書き直した結果、"CLAP YOUR HANDS! ほら歌おうぜ"っていうフレーズが出てきたんです。こういうことを伝えたいんだ、シンガロングしたいんだ、みんなで踊りたいんだというのをちゃんと言おうと思ったんです。そうじゃないと意外とみんなシンガロングしてくれないんだなって。
MKTMN:カラー的にいろんなところを見せようというのはなくなりましたね。変化球を投げていたのがストレートしか投げなくなったみたいな。
──『パンデミック yeah yeah』は、よりポップ・ソングとして通用する曲になった気がしますね。
i-ZUCCA:アルバムの中で一番最後に作った曲なんです。他の6曲が出来ていて、自分達がやりたいことや見せたいことを、もう少しわかりやすく提示できるものを入れたほうが伝わりやすいんじゃないかって。どういう雰囲気の曲で、どういう歌詞にしようというのは見えていたので、メロディーの選択とか、音の選び方とかもやりやすくて、普段の曲作りよりはスムーズに行った気がします。
星野:ただ、ゴールの像が見えてるのに、それに見合うメロディーとか歌詞が出て来ないのは苦労しましたよ。
松岡:それはけっこう大変だったよね。
星野:こんな曲が欲しいというのは共有して持っているんですけど、曲を出せば出すほど「あと30%足りない」とか。そういう曲がまこちゃん(MKTMN)と松岡くんと俺にあって...。
松岡:全部70点ぐらいだったので、それを部分部分で全部くっつけたんです。
星野:そしたらまさかの210点を取ったんです。
──なるほど。ところで、この曲で編曲にクレジットされている水口浩次さんはどんな方なんですか? "Beat Happening!"の主催者の水口さんだと一瞬勘違いしましたよ。
星野:名前も一文字違いですからね。水口浩次さんは作曲家さんなんです。自分達でアレンジすると今までの引き出しからになる可能性が高くなるので、作曲家としてやってる人から見てバンドを伝えやすいアレンジってどういうものなんだろうっていうのは興味があって一緒にやったんです。
松岡:人数が一人増えれば評価する最大公約数も増えますからね。水口さんは、楽曲をよりシンプルにしてくれましたよ。
MKTMN:僕だったらギターをこうしたほうがいいとか、その辺で止めておかないと他とバランスが崩れちゃうみたいなところを見てくれて。
──確かに『パンデミック yeah yeah』の歌い出しの部分は、聞こえる楽器の数が少ないですよね。
松岡:ベースとボーカルだけなんですけど、そんな曲今までなかったですから。
MKTMN:ギターは2人いるし、上物はシンセ的なものも入れていたりするので、上物が多い分引くところは引くという部分は勉強になりましたよ。だからライブ中、暇な時間があるんです(笑)。今まで弾かないところがないぐらい弾きまくっていたので、ライブで初めてやった時に長い間何もやらないからどうやってたちふるまおうかって思いましたよ。今後こういう楽曲が増えるかもしれないので、そこは課題でもありますね。
──そういえば、この曲のPVが相当ヤバイと伺っていますが...。
星野:アルバムタイトルが『PANDEMIC』なので、ミュージックウイルスを撒き散らすというコンセプトがあったんです。で、ウイルスっぽい格好をしようっていろいろ考えたんですけど、予算との兼ね合いもあって全身タイツという結果になって。全員色違いの全身タイツで臨んだんですよ。
──全身タイツを着て、どこで録ったんですか?
星野:上大岡にあるヘリポートに行ったんですけど、その日が強風で...。
Yoshi-ito:しかも、風からの雨で(笑)。
松岡:2時間で撮影中止になったんです。
──そのPVはどこで見れるんですか?
松岡:マイスペースとかYou Tubeにアップされます。マイスペでは制限付きでフリーダウンロードができるんです。
星野:ダウンロードしたら何かが起こるPVになっているので、ぜひダウンロードしてもらえたらと思っています。
i-ZUCCA:おもしろ半分で見るにはちょうど良いPVですから。