Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー『We Love You ! You Love Us!』発売記念プロジェクト〜LOFT CIRCUIT 2010('10年2月号)

2010年1月20日(水)阿佐ヶ谷LOFT A
『テルスターNEW ALBUM 「We Love You! You Love Us!」発売前夜記念トークショー』〜テルスター自身が語る「History of テルスター」&アルバム先行試聴会!

2010.01.21

2010年1月24日(日)新代田FEVER
テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜大感謝祭2010」
テルスター / Bacon / ストライカーズ / The JFK / Y.U.G(植木遊人グループ) / 町田直隆&PK BATTLES / No Regret Life / Natural Punch Drunker / 遊星横町

 テルスターが、ロフトグループ全店舗をまわる"LOFT CIRCUIT 2010"は、1月20日の阿佐ヶ谷ロフトAで行なわれたトークイベントで幕を開けた。この日は、"〜テルスター自身が語る「History of テルスター」&アルバム先行試聴会!"と題され、現在のメンバーになる前の映像や、20代前半のまだ元気いっぱいだった頃の映像が惜しげもなくスクリーンに映し出されていた。当時ギターの千葉はベルボトムに変な柄のシャツ、金髪、という今見るとかなり恥ずかしい格好でライブをやっていた様子。この日のトーク中に何度も、「初期のテルスターっぽい!」と本人達が言っていたが、トークは思い出話も皮肉もグチもふんだんに折り込まれ、その瞬間は15年の時を経てひねくれ者達が悪い意味の(笑)原点回帰をしたようにも思えた。でも、会場は笑いが充分に溢れていて、4人中3人がよく喋るバンド、そして気付けば15年もの間同じ時間を過ごしてきたバンドだけに、お互いの"間"がちゃんとわかっていて、トークのテンポがとにかく良かったことは記憶に残っている。
 新譜の試聴会であったはずが、1曲目の『理解者』は10秒ぐらいでしか聴かせてくれず、最終的には『We Love You! You Love Us!』を試聴する時間だけが異常に長く取られ、横山がノリノリでお客さんにコールアンドレスポンスを指導する横で、若干ぐったり気味に見ているメンバー。バランスが取れていないようで取れているバンド、まとまってないようでまとまっているバンドという印象を受けた。最後は一人ずつアコースティックでテルスターの曲を歌うことに。千葉、増沢、横山はそれぞれボーカルとして歌っているが、山田の弾き語りはレア? しかし、テルスターの曲と言ったのに、正確には友部正人さんの『夕日は昇る』を気持ちよさそうに熱唱。会場からは、何とも言えない微妙な空気が流れていたが、ステージもお客さんもとても楽しんでいたイベントだった。あんなにギュッとかたまって座っている4人を見られる機会もなかなかないだろう。
 続いて行われたのは、1月24日新代田FEVERでのイベント。こちらは、ロフトサーキットというわけではないが、"テルスターpresents!「We Love You! You Love Us!〜大感謝祭2010」"と題され、出演する全バンドがテルスターのカバーを1曲やるという超特別な1日。オープニングアクトに遊星横町のヴィジュアル系バンドが登場してフロアを盛りあげ、1バンド目に町田直隆&PK BATTLESが。町田が「いきますよー!」とテルスターお馴染みの言葉を発して演奏されたのは『そのまま進むのだ』。原曲に忠実ながらも、吉澤のキーボードが冴え渡っていた。続いてはかつてテルスターとはレーベルメイトでもあったNatural Punch Drunker。カバーされた楽曲は『インチキさを、ずっと』。これがかなり問題のカバーとなり、イベント終了後までいじられ続けることとなる。The JFKは『手垢つきだ。』。The JFKと言えば英語詞のハードロックがいつものスタイルだが、こちらも原曲には忠実に、SENSHO1500が歌う日本語詞はとても新鮮だった。Y.U.G(植木遊人グループ)は、『ホントのところ』。途中で自身の曲、『アイラブユーがきこえない』を入れ込むなど、主張の強い植木らしいアレンジとなっていた。次のNo Regret Lifeも偶然同じ『ホントのところ』。「テルスターのHPを見たら"全バンドテルスターのカバーをやります"って書いてあって、それで知ったんだよ」とステージ上で言っていたが、完全にアレンジを変えたノーリグバージョン。「でもホントのところはそれしかないのだ!!」と小田和奏が神妙な顔つきで歌うのは違和感を感じるが、それもカバーならでは。次のストライカーズは『孤独が匂うのだ』。所々に入る星野のシャウト「アウッ!!」が、孤独を全く匂わせない(笑)。ストライカーズならではのキラキラポップが炸裂したアレンジとなっていた。そしてBaconは『ヒネクレファンクス』。コウドの動きがとにかく奇妙すぎて、曲どころではなかったというのが正直なところであったが、こちらもアレンジを変え、ここでしか聴けない『ヒネクレファンクス』だった。
 そして、イベントが開始して6時間が経過した頃、この日の主役・テルスターが登場。大歓声で迎えられ、1曲目は『We Love You! You Love Us!』。阿佐ヶ谷ロフトAでのイベントで、過剰な程コールアンドレスポンスの練習をした成果もあって(笑)、フロアからは拳が上がり、早くも一体感を感じられた。『約束はしない』や、本日3回目となる(!!)『ホントのところ』など、新旧交えたセットリスト。MCでは、集まってくれたお客さんに対して、そしてカバーもやってくれた出演者に対して、少し声をかすれさせながら「涙が出そうな程感動しています」と。あの横山が感謝を言う日が来るとは、と驚きつつ、他の出演者の方々も「あの表情を見ていたらグッと来るものがあったよね」と言っていたほどだった。ラストの曲は、お馴染み『ブラスバンド』。出演者の大勢がステージに上がりカオス状態。最近作ったテルスターのトイレットペーパーが、客席とステージを船出の時の紙テープのごとく飛び交っていた。
 アンコールでの横山の言葉は印象的だった。「"幸せです"と言うのに15年かかりました」と。ひねくれ者の横山が15年の時を経て、初めて心から感謝の言葉を口にした。そして『夕日は昇る』を演奏して、終了。しかしアンコールはやまず、再び横山が登場。「今日は時間もないので、僕がこれから『涙そうそう』を歌います」と。「嘘だろ?」という会場の雰囲気をものともせず、本気で歌い上げた横山だった。1番を歌いきる時間があったら、バンドでもう1曲演奏できたのではないだろうか? というモヤモヤした気持ちを感じながらライブは終了したが、1日を通してテルスターはすごく愛されているバンドなんだと感じられた。そういえば、増沢もポツンと言っていた。「テルスターって愛されてるよね」と。
 この日演奏された各バンドのカバーは、3月18日にロフトプラスワンで行なわれるイベントにご来場頂いた方に、『テルスターおしつけトリビュート』としてプレゼントされるそう。ナチュパンの問題のカバーも聴けるかも!? そして、次のロフトサーキットは2/9下北沢SHELTERとなる。『涙そうそう』のモヤモヤはここで解消しよう!
(text:やまだともこ)


 (PHOTO BY:クラカタレイコ)

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