Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー4106 BRAZILIANSIZE × 奥村 大 wash?('10年1月号)

一卵性双生児的盟友バンド、同時期に史上最高峰の作品を発表!
心腹の友である両者が語る、嗚呼楽しき哉バンドマン人生!

2010.01.01

4106の凄さは嗅覚とバランス感覚

──吹っ切れた感じと言うか、呪縛が解けた感はありますね。

奥村:何せ、新作のタイトルは『love me』だしね(笑)。

4106:タイトル曲がないじゃん?

奥村:ないけど、"love me baby"って唄ってる曲(『台風38号』)はあるよ。逆に俺から見たヨーちゃんの凄いところは、やっぱりセンスと言うか、嗅覚って言ったらいいのかな。それはTrophyの頃からそうで、俺は曲を完成させることから逆算するからこぢんまりするんだよ。メロディとコードを考えて、詞のポイントはこの辺だからここに何かが欲しくて...みたいに細かく考えるんだけど、それをヨーちゃんはあっさり崩すんだよね。コードを追い掛けるラインを考えていって、メロで泣かせようとしてるところにスポンとベースでリフを入れたりしてね。しかも、それが凄く格好いい。やっぱり嗅覚が鋭いんだよ。

4106:一緒にバンドをやってるんだから、仮に格好悪いことをやったら「それは格好悪いよ」って言ってくれればいいじゃんって思うんですけど、そう言ってくれる人ってなかなかいないんですよ。大ちゃんはそういうのをちゃんと言ってくれるんですよね。

──3年前、両者のスプリット・アルバム『THEY'RE NERD #2』を発表する前に一緒にツアーを回って以降、奥村さんが曲作りの面で影響を受けたと仰っていましたけど、常に刺激を受け合っている関係なんでしょうね。

奥村:俺は凄く刺激を受けてるね。あのスプリットでブラサイがカヴァーしてくれた『CYDER』は、俺はブラサイにあげたつもりでいるんだよ。

4106:有り難く貰いました(笑)。

奥村:俺たちはブラサイのどの曲をやるか会議したんだけど、どれもアレンジのアイディアがパズルのように組み合っていて、それ以上アレンジの施しようがないんだよね。だから俺たちは何曲かリミックスする感じにしたんだよ。

──今振り返ると、Trophy時代は2人のバンド人生の中でどんな時期だったと言えますか。

4106:僕にとっては、大ちゃんと何か一緒にやるための趣味みたいなものでしたね。思い出すことと言えば、リハに行って、終わったらラーメンを食いに行くことばかりなんですよ(笑)。

奥村:凄い確率でラーメンを食ってたよね(笑)。

4106:でも、Trophyがあったからこそ今があることだけは間違いないですね。

──Trophyが解散して、また2人で違うバンドを組もうとは考えなかったんですか。

奥村:Trophyはドラマーが抜けて止まった感じなんだよね。歌が抜けてもやろうかって話してたんだけど、ドラムが音楽をやめたいって言い出してさ。Trophyに誘う時に一度音楽をやめてた奴だったから、そうなるとこのドラマーの替わりはいないなと思ってね。それで、ヨーちゃんとはまた何か思いついたら一緒にやろうかってことになったんだよ。

4106:だから、別に終わってもないんですよ。

奥村:ヨーちゃんは、俺がどうしてもソロ・アルバムを出したくなったらベースを弾いてくれるみたいだけど(笑)。

4106:全然弾くよ。ベース弾いてあげてもいい(笑)。

──今日は木村カエラさん主催の『オトコク祭』のリハの後に集まって頂いたんですが、4106さんは木村カエラ・バンドのバンマスとしても活躍していて、奥村さんもその流れで何度も客演されていますよね。

奥村:カエラは俺、デビュー前に手伝ったりしたよね。

4106:そう、カエラの最初のツアーは大ちゃんに一緒に回ってもらったんですよ。『オトコク祭』には大ちゃんを毎年誘ってたんですけど、やっと参加してくれることになったんです。

奥村:フラッドもそうだけど、ギターを弾ける機会がたくさんあるのは幸せなことだとホントに思うよ。ヨーちゃんの人脈がカエラのカラーになってるしさ。

4106:ストリートの匂いを出す役割が僕らにはあるんですかね。

──4106さんがプロデュース能力に長けているからこそじゃないですか?

4106:いや、僕がいい加減だから付いてきてくれるんだと思いますよ(笑)。

奥村:それこそ嗅覚とバランス感覚だよ。俺は持ち合わせてない部分だから、凄いと思う。

──奥村さんもフラッドのサポートの時はプロデューサー的な視点で接しているんじゃないですか。

奥村:曲作りに付き合ったりする時はね。『PARADOX PARADE』はツアーの合間の凄い短期間の中で曲作りをしてたから、「俺は格好いいと思うよ」とか背中を押してあげたりしたけど。ただ、俺の意見を被せすぎると彼らの作品の何割かが俺の作品になっちゃうから、そうならない程度に関わった。

奥村の歌の成長ぶりに嫉妬心を抱く

──奥村さんはフラッド以前に髭(HiGE)のアドバイザーとしても活躍していましたよね。

奥村:髭ちゃんは須藤(寿)の脳味噌の中に絵があって、それをどういうふうに音にしたらいいか判らないって感じだったから、「それはこういうことでしょ?」って口を挟ませてもらったって言うかさ。須藤はオルタナティヴな音楽にも造詣が深いから、その部分でエンジニアさんやPAさんが濁ったダメな音としてジャッジしてしまうこともあるわけ。その橋渡しとして俺がいた感じだね。

──自分のバンドだと、そこまで客観視できないものですか。

奥村:wash?だと何も気にせずやれるね。フラッドでも髭でもそうだけど、自分の持ってる濃いものを何グラム足していいのかをずっと探ってるんだよ。100%を出し切るとwash?になっちゃうからね。

──フラッドの『博士の異常な愛情』は奥村さんの存在があってこそ生まれたものだと思うし、wash?ヴァージョンも是非一度聴いてみたいですね。

奥村:あれは面白い曲だったね。俺だったらエンディングをあの6倍くらい伸ばすけどさ。最後のコーラスの部分をグイグイ持っていくね。フラッドはそこをあっさり終わらせるんだけど。

4106:きっと、それが売れる秘訣なんだよ(笑)。

奥村:だよね(笑)。俺は3分にはまとめられないもん。気持ちいいなと思ったら、すぐに7分くらい行っちゃうからね。

──4106さんはwash?の音作りのどんな部分に惹かれますか。

4106:具体的にこことは言えませんけど、感化されるところはいっぱいありますよ。ライヴを見るとイラッとしますからね(笑)。だから、僕はあまりwash?のライヴには行ってないんです。打ち上げには必ずいるんですけど(笑)。ギタリストとして尊敬の域を超えてるくらい好きなんで、ライヴを見るとどうしても自分のバンドと比べちゃうんですね。

奥村:リハに遊びに来て、「後で本番に来るわ」と言い残して打ち上げに来るのがヨーちゃんのゴールデン・パターンだからね(笑)。

4106:僕の場合、wash?をあまりバンドとして見てないと言うか、大ちゃんの表現として受け止めちゃうんですよね。

──同じ釜の飯を食べた者同士、"こんな格好いいバンドをやりやがって!"という嫉妬みたいな気持ちもありますか。

4106:悔しいと思う時もありますよ。大ちゃんが全然唄えない頃から僕は見てるので、その成長がまた悔しかったりするんです。

奥村:『love me』でも歌がひとつのテーマだったからね。エンジニアの(松本)大英さんは前の『Slacker's high』を気に入ってくれたんだけど、「俺なら違う歌の出し方をする」と言ってくれてね。(上田)現ちゃんの作品はほとんど大英さんがエンジニアだったし、歌の部分は信用して任せることができたね。

──『love me』には上田さんの『僕の思いは目的もなく月に刺さる』のカヴァーを収録していますが、この選曲の意図は?

奥村:現ちゃんが藤岡(正明)君っていうヴォーカリストに提供した曲なんだけど、そのレコーディングに俺も参加しててさ。録った帰りに現ちゃんを車で送りながら「あの曲、俺にくれ」って言ったんだよ。「いやいや、もう藤岡にあげちゃったし、俺も唄いたいし」って言われたけど。最初は俺の弾き語りでやってた曲で、それを見た南波がバンドでもやろうって言い出したんだよ。カヴァーをやるならレピッシュか現ちゃんの曲だったね。ライヴではレピッシュの『プレゼント』もカヴァーしてるしさ。

──レピッシュは両者の共通項であるミクスチャーの、日本におけるオリジネーターですよね。

4106:僕も好きでしたよ。

奥村:あんなバンド、それまでいなかったからね。ライヴが凄い良かったもん。俺はつまらないものを指す時にエンターテイメントって言葉を差別用語のように使っちゃうんだけど、MAGUMIさんはそういう意味じゃない真のエンターテイナーだと思うし、あの歌と煽りは凄いよ。MAGUMIさんが主役になろうとすると、"お前だけにいい思いはさせん!"みたいな感じで恭一さんと現ちゃんが割り込んでくるのが堪らなく好きだった。俺には理想のバンドだよ。

──『love me』のレコ発ツアーにはBRAZILIANSIZEが帯同しますが、互いのカヴァーをやったりとかは?

奥村:ブラサイの曲は最近またさらに難しくなってきたからね。俺には絶対に書けない曲だから嫉妬も覚えるよ。スキルの部分はウチのバンドじゃ全然かなわないから、テンションだけは負けないようにしようと思ってる。ツアー中もブラサイと一緒なら楽しいよね。まぁ、ヨーちゃんと出会って十数年経って、同じテンションでアホ騒ぎしてるとは思わなかったけどさ。前のツアーの時、2日目くらいでウチの南波とブラサイの前のギターが何故か喉を潰してたからね(笑)。打ち上げで騒ぎすぎだよ(笑)。

4106:次の日からマスクしてたもんね(笑)。

──最後に、お互いにメッセージがあれば。

奥村:とりあえず、ブラサイより1日でも早く売れたいね(笑)。

4106:僕らはwash?より1週間早くメジャー・デビューしたいです(笑)。

奥村:後から売れたほうが、先に売れたほうの影響を凄く受けてますって言うことにしよう(笑)。

4106:そうしよう。すぐに嘘だとバレるだろうけどね(笑)。

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BRAZILIANSIZE
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LIVE INFOライブ情報

◇BRAZILIANSIZE
1月5日(火)下北沢CLUB 251
1月15日(金)高円寺HIGH

◇wash?
1月22日(金)下北沢CLUB 251(“love me”リリース記念ワンマンライブ〜love me or die〜)

◇wash?“love me”Release tour『You love us』
2月10日(水)名古屋CLUB ROCK'N'ROLL(with BRAZILIANSIZE)
2月11日(木)神戸STAR CLUB(with BRAZILIANSIZE)
2月12日(金)十三FANDANGO(with BRAZILIANSIZE)
2月13日(土)新宿LOFT(BRAZILIANSIZE“7”release tour Final / with wash?)
2月19日(金)仙台MACANA(with SOUL-D!)
2月20日(土)新潟CLUB RIVERST(with SOUL-D!)
2月21日(日)長野 伊那GRAMHOUSE(with SOUL-D!)

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