Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】namidacoat(2009年12月号)- 聴く人には笑顔になってもらいたい ずっと色褪せない最良のポップスを奏でる4人組

聴く人には笑顔になってもらいたいずっと色褪せない最良のポップスを奏でる4人組

2009.12.01

固定観念をなくしたい

──ライブ中のパフォーマンスの話が出ましたが、前のインタビューでもお話ししていたライブ中のあの不思議な踊りは今でもやられているんですか?

神田:『Drive』の時の話でしたね。今回は『君に恋してる〜I♥ฺYOU〜』がそういう曲です。

中川:ギターを持たない曲を作りたくてこの曲を作ったんですけど、自由に動き回れて、解放されたような感じです。

神田:自由になんでもできるようにという意味合いでギターを置いたんですけど。

鳴海:こないだ反復横跳びしてたしな。

──自由になりすぎちゃった感じですね。

中川:自分の中で、これはあかんやろというのを極力なくすようにしているんです。楽曲を聴いたらポップかもしれないですけど、ポップだからこうしなければいけないという固定観念をなくしたい。それが変な踊りとなって出ているのかもしれないですけど、そういう表現もひとつの武器だと思っています。僕にしかできないと思いますよ(笑)。

──『君に恋してる〜I♥ฺYOU〜』は、ダンスサウンドで純粋に踊れる曲ですしね。

中川:僕自身めっちゃ気に入ってるんですよ。

──サブタイトルは『〜I♥ฺYOU〜』ですが、ハートを記号で書いちゃう感じは、ちょっと古…くないですか?

中川:でしょ(笑)? ダサイかもしれないですけど、そうじゃないんです。5年後の僕がどう思っているかわからないですけど、それはそれでいいかなと思いますし、今やりたいことを形にしたらこうなりました。

──『君に恋してる〜I♥ฺYOU〜』は他の曲と比べても、サウンドにいろいろと手が加わった感じがしますけど、けっこう時間をかけてらっしゃいますよね?

中川:鍵盤を弾いてもらったりもしましたし、サウンドからすごく楽しい感じというのが出てるんじゃないかなと思いますね。聴いた時にライブでも楽しいんだろうなと想像できると思いますし、そういうのが作れたというのは嬉しいです。

──ということは、制作をしていた2年間という時間の中で吸収できたものがたくさんあったようですね。

中川:曽我部恵一さんや佐野元春さんのライブを見に行ったんですけど、すごい衝撃だったんです。歌もうまいし、体でも表現するし。もっと僕自身もボーカリストとして何かできるんちゃうか? と思ったんですよ。

──『いとしのlady』は歌詞やタイトルが、サザンオールスターズを意識したのかなとも思いましたが…。

中川:ボーカリストの中で好きなのが桑田佳祐さん、トータス松本さん、曽我部恵一さん、エレカシの宮本さんなんですけど、桑田さんからのエロティックな歌詞もすごく好きで、それもひとつの入り口だなと思い、『いとしのlady』ができたことによってまた新しい道ができたなと。この曲はテーマが夏なんですが、僕夏がすごい嫌いなんです。そんな僕でも夏は開放的になるんですよ。女性が薄着でいたら胸元見てしまうし。やるせない部分が出せればなと思って作ったんです。

──違う引き出しが開けられたということですね。

中川:はい。これもやりたかったことのひとつですね。またこういう曲を作りたいとかが出てきています。

──ギターもキラキラしていて、前はこんなに軽やかな音だったかなって思いましたよ。

神田:そこは意識していたというか、前の段階ではこうしたいけどできていない部分もあったんです。キラキラしたいなとは思ってましたけど、2年経ってようやくできるようになってきました。

鳴海:今回はまさに、キラキラさせようっていう言葉で作っていたんですよ。

──サウンドを作る上で、キーワードになった言葉ってキラキラ以外には何があったんですか?

鳴海:聴きやすいとかBGM感とか。何度も聴けるようなサウンドを目指してました。

神田:アレンジはそういうところは意識しましたね。

namidacoatにしかできないことを

──他のバンドとnamidacoatが違うというところはどんなところですか? 自分たちだからこそできるものというのは何だと思いますか?

中川:『いとしのlady』とか歌詞で見たらクサイと思いますし、“baby”とかイマドキ言わないけれど、僕達にはそれが言えるんです。

鳴海:それに『いとしのlady』の“sea side memory”とかは、今なかなか言えないですからね(苦笑)。

中川:僕しか歌えないですよ。

──聴いてるこっちが恥ずかしいぐらいでした。

鳴海:だけど俺達は恥ずかしくない(笑)。

中川:それができるのが武器だと思うし、他のバンドにはできないことだと思う。そういうところじゃないですかね。もちろんそれだけではないですけどね(笑)。そういうところも他にない部分なんじゃないかなと思います。

──サウンド的に言うと、他のバンドと違うところはどんなところですか?

秋山:「こういうのをやってみたらどう?」って言われた時に、「俺達はこういうイメージだから」というわけではなく、それもいいんじゃないかって吸収してやってみようと思うところですね。

──ちゃんと軸はあるけど、振り幅は大きくしたいと?

鳴海:軸を一本通した上で、やりたいことの幅が広げられているのも強みだと思っています。

──では、ちょっと早いかもしれませんが、今後の曲の構想はできてますか?

中川:僕が今形にしたい楽曲があるんですけど、その楽曲は自分に向けても書いている応援歌というか、僕達も30歳に近かったりするし、だけどこういった形でPOPTOPでbinyl recordsの人達と新しく出会えたり、年齢で決めたくないというのがすごく自分の中にあるんです。そういうので、やりたいことができてないとかはなくしたいと思っていますね。そして、変わらずに良いメロディーは作り続けていきたい。今後も気に入ってもらえる曲が生まれてくると思いますが、まずはぜひ『Park』を聴いて頂きたいですね。

──ところで、ここ最近は大きなイベントにもたくさん出演されていますが、そういうところで刺激は受けてきましたか?

神田:クアトロとか大阪BIG CATとか大きな会場でやらせていただきましたけど、お客さんが多くなればなるほど責任もすごく大きくなるような気がして、いろいろ勉強させてもらいました。

──ライブのことを考えながら曲を作ることも多くなりました?

神田:そうですね。あまり考えないで作ることもあったりしますけど、最終的にライブでどうしようとか思いますね。

──今回のアルバムはライブでも聴かせたり見せたり、バラエティーに富んだ曲が揃いましたよね。わかりやすくて笑顔になれて、目指している目標には近づいてるんじゃないですか?

中川:はい。そうだと嬉しいです。

──では12月号になるので、1年を振り返ってみて、そして来年の目標をお願いします。

鳴海:来年忙しくなりたいですね。ライブに呼ばれたり、いろんな人に出会っていきたい。

神田:1年を振り返ってみると今年はやっとフルアルバムが出せたので、来年はそれをいろんな人に聴いてもらえるようにライブを精力的にやっていきたいです。そのアルバムを聴いてもらった人には、次の作品を意識してもらえるような、次も楽しみにしてもらえるようなものをライブで表現していけたらなと思っています。

秋山:僕も音楽にまみれた生活にしたいです。今年は制作だったり、制作が辛いというわけではないんですが我慢の年だったと思っているんです。だから今はもっとライブをしたい。それから、音楽の世界では新人ですけど、年齢的には中堅という世代になってきていて、若い子で上手い子はたくさんいますから、俺達にしかできない熱いライブを見せたいです。

中川:ずっと楽しくいたいですね。常に笑顔でいたい。それでいろんな人といろんなバンドと出会って、いろんな音楽に触れて、楽しく過ごしたいですね。これからライブも増えていきますので、ぜひ見に来て笑顔になっていただけたらと思います。

このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻