ブルースに根差した新しい音楽
──収録曲は、ライヴでもすでにお馴染みのバンドの代表曲ばかりですよね。
健司:バンドの初期から最近までの曲が万遍なく並んでますね。昔の曲で最近のライヴでは余りやってなかった「GLORY DAYS」や「COOKOO-VI COO-VIDOO」なんかは全然違う感じになって、僕らにとっても新鮮でした。アレンジを変えて、新しい感覚でやれましたから。
亜里沙:「COOKOO-VI COO-VIDOO」がさっき言ったインプロで10分、15分あった曲なんですよ。
──インストの「JAMJAMJAM」はもう少し長く聴きたかった気もしますね。1分ちょっとくらいで終わってしまうから。
健司:インタールード的な感じで入れたんですけど、ホンマは5、6分あったんですよね。その一番いい部分だけを入れてみたんです。アルバムには入れなかったんですけど、実はもう1曲セッションをやったんですよ。B:RIDGE styleというバンドのt.o.Noさんにオルガンで参加してもらって、何も決めずにフリーでセッションしたんですけど、それも凄く面白かったですね。
──t.o.Noさんのオルガンは、「GLORY DAYS」や「DYAN」などの曲で凄く効果的に作用していますよね。
亜里沙:そうですね、音色やフレーズが耳に残りますね。自然に響いてると言うか。
健司:「GLORY DAYS」も昔の曲なんですけど、オルガンが入ることで新鮮に感じたし、凄くいい感じに仕上がったと思います。
──「THE WALL」や「GODDAM」のようなアッパーでノリの良いロック・ナンバーももちろん凄くいいんですけど、「GLORY DAYS」や「DYAN」、「COOKOO-VI COO-VIDOO」といったミディアム・テンポのブルース・ナンバーこそが実はエレクトリック・ママのバンドとしての本懐なのかなとも思ったんですよ。鬼気迫るプレイがとにかく凄まじくて、アルバムの中盤における大きな聴かせ所になっていると思うし。
健司:もともとはもっとドロドロした音楽をやってましたからね。このアルバムに入ってる曲よりも、もっと混沌とした感じのものを(笑)。そこから脱却して、ブルースをベースにしつつも違うアプローチを試みて出来た曲がこのアルバムに入ってるんです。
亜里沙:「THE WALL」は、そうしたアプローチを試みようとしていた分岐点の時期に出来た曲なんですよ。2年くらい前になるんですけどね。
健司:今の編成になる前からツェッペリンとかストーンズみたいな音楽をやっていて、2人になってからはそこから遡るようにロックのルーツとなる初期のブルースっぽい曲をやるようになって、それ以降、70年代、80年代に行くか行かんかくらいのパンク/ニュー・ウェイヴらへんまで来たって言うか(笑)。そんな感じはありますね。
──いわゆる3コードの単調なブルースに飽き足らなくなってきたんじゃないですか。
健司:ええ。ブルースをそのまま模倣してもそこまでだし、ブルースを根本に持ちつつ今まで見聞きしてきたことを採り入れていこうと思って。
亜里沙:巷にはいろんな音楽が溢れてるし、自分達の中にもいろんな引き出しがあるんやったら、ちゃんとそれを出して新しい音楽を作っていこうと思ったんですよね。