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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】アンダーグラフ(2007年12月号)- 呼吸する時間と光溢る未来の向こう

呼吸する時間と光溢る未来の向こう

2007.12.01

アンダーグラフの3rd.アルバム『呼吸する時間』がリリースされる。前作『素晴らしき日常』は2006年のほとんどはこのCDを聴いていたんじゃないかというぐらい肌身離さず身近にあった作品だった。だから、次のアルバムでは、どんな素敵な言葉を届けてくれるのかととても楽しみにしていた作品。命が吹き込まれた"時間"が呼吸をし始め、言葉を綴り、音を奏で、アンダーグラフの今を刻む。今この瞬間を捉え、今伝えたい言葉を伝える。それがひとつとなり『呼吸する時間』となって届けられる。また素晴らしい作品が産声を上げた。 いつまで経っても初心を忘れずに進化し続ける彼らの新たな一歩を踏み出した今作について、ボーカルの真戸原直人にお話を伺った。(interview:やまだともこ)

ロンドンのレコーディングで得たもの

──2007年は曲ができないという時期を乗り越えたり、シングルを2枚リリースしたり、ロンドンレコーディングに行かれたり、激動の1年だったように見えましたが、真戸原さんとしてはどんな1年でした?

真戸原:僕ら的にはデビューしてから、音楽をやらせてもらえる時間が一番長くて、すごく充実していましたよ。今までも時間はあったと思うんですけど、その隙間を見つけられなかったんです。昨年1年はようやくミュージシャンらしく時間を使えたかなって思います。曲を作ってアレンジしてレコーディングしてっていう。

──落ち着いて時間を使えるようになったという感じですか?

真戸原:インディーのころは上手くできていましたけど、メジャーになってからやらなければいけないことが加わってきて、僕らがどこの位置にいったら良いのかわからなくなってしまったんです。やっと自分たちで車輪を回せるようになったかな。

──前回のシングル『セカンドファンタジー』の時に曲ができない時期があったとおっしゃってましたけど、目まぐるしく進む日常との関係はあるんですか?

真戸原:曲を書いたり音を鳴らしたり発信し続けていないと、僕たち何にもできないなっていう話になったんです。それは、曲ができなかった時期があったから気づけたんですよ。

──できなかった時期はどうやって自分を奮い立たせたんですか?

真戸原:コレっていうのがないんです。時間が解決してくれたというか、少しずつ書けるようになったんです。それまでは、今までのアンダーグラフというのも考えて、過去のものに対して次の1曲と思ったんですけど、それは置いといて今からどうしようってって考えていたら書けるようになったんです。

──だからタイトルに“セカンド”が付くんですかね。

真戸原:そうですね。そういう気持ちでした。

──5月にリリースされた『また帰るから』は以前作っていた曲をレコーディングしたそうですが…。

真戸原:レコーディングしてみようって話になったのが2007年の最初で、そこからスタートしたんです。そのレコーディングが終わってからどんどん曲が書けるようになって。2月には『ピース・アンテナ』とか『ヒューマンフラワー』をレコーディングしてました。

──1年かけて『呼吸する時間』に入っている曲をレコーディングされていたんですね。

真戸原:全部そうですね。

──6月にはロンドンレコーディングに行かれましたけど、ロンドンに行って自分の音楽的な価値観は変わりました?

真戸原:一番変わったのはライブですね。最初は向こうでライブをやるなら英語で歌った方がいいのかなって考えましたけど、向こうの人に聞いたら「そういうことはしなくていいんじゃないの?」って。それで日本語でライブしたんですけど。これまでは言葉を伝えよう、歌詞を伝えようっていうことを第一に考えてステージに立ってたんですけど、イギリスでは当然それが通じないので、パフォーマンスや音が持ってるそのものの力で勝負することしかできなかったんです。

──視覚的なモノとか。

真戸原:耳で感じるモノとか。そのへんは日本に帰ってきてからのライブに活かされてると思います。

──海外でのライブはお客さんの心を掴んだ手応えはありました?

真戸原:どこまで掴めたかはわからないですけど、日本では感動を共有する感覚で手応えを感じることが多いんです。でも向こうでは言葉が通じないですから、一体化しようとか楽しもうっていうところに重点を置いてやったので、それは伝わったと思いますよ。みんな踊ってたし、笑顔だったし。

──ロンドンに行ったからなのか、アルバムの詞を読んでいると、歌詞が今までに比べて歌われるスケールが大きくなったような気がしたんです。海外に行った経験が生かされていると考えてよいですか?

真戸原:『ハイスピードカルチャー』(M-1)はロンドンから帰ってきてすぐに日本で書いた曲なんですけど、イギリスの人たちが日本をどう思ってるのかなって聞いてみたら、目まぐるしく文化が変わっていくのがすごくいいところだっていう話になったんです。僕からすると、古い建物がいっぱい残ってるロンドンの街並みは、文化を大切にしてて素敵だなって思うんですけど、向こうの人は逆のことを思っていて。時間の流れが早いことや、日本人がどんどん他国の文化を取り入れていくことを羨ましがるんです。そう言われて、日本に帰ってきてから改めて東京の街並みを見ても、でもやっぱり、ほんまにそうかな?って思うところがあって。それでこの曲を書いたんです。

──今おっしゃった“時間の流れ”というところから、ネジを回す音で始まるアルバムになったんですか?

真戸原:それは、最後にアルバムとしてまとめた時に出てきたアイデアで、この曲を作ったときにはそこまで考えてなかったです。今回はアルバムを作ろうと思って曲を作ってなかったので、何も考えずに曲作りをしてレコーディングしてを繰り返して、それで曲が溜まってきたから「アルバムにしよう」「じゃあそうします」って(笑)。だからアルバムタイトルも曲が全部できてから決めました。曲を並べたときに、ふと時計が頭の中に浮かんで。1年間音楽にたっぷり時間を費やせたから“時間”をテーマにしたいと思ったんです。命を吹き込むように音楽をずっと創ってきたから、時間が命を持つような言葉をつけたいなと思って、『呼吸する時間』にしたんです。そしてアルバムの頭と最後にアルバムとして曲をまとめる何かをつけたいなって思って。それがネジの音だったりするんですよ。

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