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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】スケルトンズ(2007年11月号) - 二回転半して辿り着いた、80'sサウンドむき出しの『うた』

二回転半して辿り着いた、80'sサウンドむき出しの『うた』

2007.11.01

『オーロラ』以来、1年8ヶ月ぶりとなるスケルトンズのニューアルバム『うたをうたおう』がリリースされた。このアルバム、実は7月にリリースを予定していたものだったが、楽曲をこだわり抜いた結果、もう少し時間が必要となったそう。ようやく生み出された『うたをうたおう』は、スケルトンズが元々持っている胸をキュンキュン刺激する12曲。ドラムを打ち込みにするという新たな試みにチャレンジしながらも、サウンドは80'sを意識した、ある人にとっては懐かしく、ある人にとっては新鮮な個性を持った楽曲群。さらに、スケルトンズはライブでは今できる最大限のエンターテイメントを取り入れている。CDとライブがそれぞれ違った顔を持っていることも魅力のひとつ。これを機に彼らの音楽にぜひ触れていただきたい。(interview:やまだともこ)

『ザ・ベストテン』みたいな感じ

──早速ですが、10月に北沢タウンホールで行なった、初の2daysワンマンはどうでしたか?

千葉:楽しかったですよ。未曾有の体験でした。

──2007年の活動のポイントになるイベントだったんじゃないですか?

千葉:そうですね。アルバムをリリースして、ワンマン2daysをやろうというのは前から決まっていたことで、ポイントではありましたね。ただ、本当は7月にアルバムとDVDを出して、TYPHOON24とレーベルツアーに行って、帰ってきてワンマンの予定だったんですけど…。制作をしているうちに欲が出てきたり、曲数が増えたり、録った後にちょっと変えようってなったりして延びちゃったんですよ。『夢見るエブリデイ』(M-6)はドラムを録り終えてからニューウェイブ的なアレンジになったので、打ち込みにしようって急遽変えたんです。まっちゃん(松岡/Dr)は「叩く前に言えよ」って感じだったと思いますが(笑)。今までは録り直しってしたことなかったんですけど、今回はアルバムのミーティングをしている段階で今までとは違うことをやろうっていう話になって、音源に対してストイックにやってみようってサウンド面のプロデュースは基本的に南雲(G)がやったんです。

──歌詞は全曲千葉さんが書かれているんですよね?

千葉:そうです。『かえるのうた』(2nd.album/05.07.27リリース)で南雲や佐々木が書いた曲も入っていて、『オーロラ』(mini album/06.03.22リリース)で全曲書いたんですけど、全部自分で書いた方がまとまりがよかったんです。

──今回どんなテーマで曲を作っていったんですか?

千葉:もともとスケルトンズのテーマが「胸キュン」ということぐらいで、明確にこういうのっていうのはないんですよ。サウンド面はあったみたいですけど。

──サウンド面は80'sですよね。これは、千葉さんが純粋に聴いてきた頃の音楽になるんですか?

千葉:俺と南雲が同世代で、小学生とか中学生の頃に聴いてた歌謡曲。80'sって言っても洋楽っぽさとかはそれほどでもなくて『ザ・ベストテン』みたいな感じ。

──今までは正面きって80'sのサウンドに取り組むことってなかったですよね?

千葉:(80'sサウンドが)くると思ったんですよねー。明確に作戦立てたわけじゃないけど、そう感じてたんじゃないかな。

──千葉さんの言う胸キュンぽさと一番合うサウンドだと思いましたよ。

千葉:歌詞が決してイマドキではないですよね。一番青春の時代だったんじゃないですかね。だからといって、懐古主義的なものでもない。結局これしかできなかったっていうところではありますけど(笑)。二回転半して戻ってきた感じです。

目指すはドリフ。

──以前インタビューしたときにスケルトンズはスキマ産業だとおっしゃってましたけど、そういう感覚って今でも変わってないですか?

千葉:誰もやってないことをやりたいんです。結果的にスキマ産業になったとか売れなかった言い訳じゃなくて、狙いたいなっていうのはありますね。

──噂によるとメジャーを目指している…と?

千葉:そうそう、それけっこう本気(笑)。

──(笑)ということは、本気モードに来たのかなと。

千葉:寸劇とかもマジでやっていて、前から本気ではあったんですけど、楽曲が良かった分、これでより伝わるようになったんじゃないですかね。

──スケルトンズの場合、CDを聴いて想像したステージを良い意味で裏切ってくれるんですよ。

千葉:ライブ=エンターテイメントなんです。スケルトンズが定義するライブはショー。演奏するというよりは楽しませたいっていうのが大きい。前々から言ってたけど『WE WILL ROCK YOU』的なことがやりたいんです。この間のワンマンも最初は8割演劇をやるとかいろいろ考えてましたけど、レコーディングと並行してやらなきゃいけなくなって劇の割合は減ってしまったんですが…。

──ワンマンの時は劇団の方も出演されてましたよね?

千葉:最終的には劇団の人とコラボレーションしたいみたいなことでああゆう形になったんです。『トゲホネロック』でチアリーダーが出てきたときのあの華やいだ感じは、明らかに客席の雰囲気が変わりましたね。今まで味わったことがない感じでしたよ。

──音楽だけでライブを完成させないっていう方法が、より明確になってきたのかなっていう感じですね。

千葉:割り切ったというか、覚悟を決めたというか。ライブに関してはやるならとことんやろうと。ステージの構成もかなり練ってるんですよ。

──アドリブっぽい笑いのひょうきん族的というよりは、事前にネタを練り込んだドリフっぽい感じですね。

千葉:そう。ドリフを目指しているんです。MCもある程度話すことを考えておいて、行き当たりばったりなのはやめようってなったんです。ライブの間はお客さんに楽しんでもらいたいんです。

──80'sの音を出すということで、機材とかってこだわったりしてます?

千葉:本気でやるなら機材を借りてきたりできたらいいのは重々わかってたけど、それをできる状況ではなかったから、あるものの中でできる限りの音作りはしましたね。鍵盤はムーグを借りることができたので、それっぽい音を作る努力をして。

──アレンジは今までより時間をかけた感じはしますね。

千葉:サウンド面に関しては南雲にほぼ任せてました。責任感はあるんですよ。ただ彼らの性格でいくと、簡単なことからやっていくから、難しいものがどんどん後回しになっていく。理路整然とやれば取りこぼしもないのに、難しいものを後回しにするから最終的に入れるはずの音が入ってなかったりとか、最後のほうに全曲のソロをまとめて録らなきゃいけないとか…。大変でしたよ、最後のほうに詰まっちゃって。

──『うたをうたおう』は、全曲このアルバムを作るために作った曲なんですか?

千葉:そうです。

──一番新しい曲は?

千葉:『うたをうたおう』(M-12)ですね。

──このアルバムも前回に続いて、曲ができた順に並んでいるんですか?

千葉:今回はバラバラですよ。最後にこの曲がうまくハマったんです。

──『うたをうたおう』はスケルトンズらしい、みんなでうたおうという曲になってますね。

千葉:みんなのうた的なことはいつも意識してます。『ネコ』(M-8)は宇多田ヒカルの「ぼくはくま」を聴いて思い浮かんだ曲でもあります。

──…と言っても、挿絵にマヌケなネコが描かれてましたが(笑)。

千葉:(笑)マヌケなネコ。

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