『クローズZERO』に携われたことを誇りに思う
──YAMANEさんが曲作りに参加するようなことは?
YAMANE:今回はなかったですけど、その代わり自分のプレイに専念しましたね。次回に乞うご期待、ということで(笑)。
OKI:YAMANEのベースから曲が生まれるようなことも今後はあり得ると思いますよ。彼は今回、ライン作りで凄く頑張ってるんですよ。
SEIZI:OKIと2人で作ったらこうは絶対しないなというベース・ラインが随所にあって、そこは今回凄く面白かったですね。
──「GIRL」はプロ・デビュー前年の'87年に書かれたという、知る人ぞ知る隠れた名曲ですね。
OKI:今までライヴ盤(『BEATS IS OUR LIFE』)にしか収録していなかった曲なんですよ。去年の秋のツアーでプレイして、今のバンドのスタイルにしっくりハマッたのでやってみようと思って。ビートルズの「MICHELLE」や、それこそ「GIRL」みたいなブリティッシュ・ビートの洒落た小品とでも言うべきテイストがあって、20歳そこそこで書いた当時は上手くプレイできなかったんですよ。それを今のこの4人で再現したら凄く上手くやれたし、それなら唄わない理由はないだろうと。裏メロみたいなギターのアレンジも冴えているし、自分達でも凄く満足していますよ。
SEIZI:基本的なアレンジは20年前と変わってないんですけどね。当時、俺はまだ18歳でしたけど(笑)。
OKI:そういう意味では、ビーツは早熟だったんですよ。やりたいアイディアと唄いたいテーマのクォリティは凄く高かったですから。ただ、バンドとして芯のある音を出す実力が伴っていなかった。当時は凄く貧弱でしたよね。
──ボーナス・トラックに収められた「I WANNA CHANGE」、「ETERNAL ROCK'N'ROLL」は映画『クローズZERO』のオープニングとエンディングにそれぞれ使われていますね。映画本編にもライヴ・シーンでご出演されているそうですが。
OKI:ええ。三池崇史監督からは「いつも通りのライヴをそのままやって欲しい」と言われて、現場はもの凄く盛り上がりましたよ。原作の高橋ヒロシとは以前から親交が深くて、映画化にあたって彼がビーツの音楽を是非使って欲しいとリクエストしたと聞いています。本来は書き下ろしの新曲を用意する予定だったんですけど、映画のプロデューサーから「『クローズZERO』の世界観は絶対に『I WANNA CHANGE』しかない」と言われたんです。「この曲が映画全体を重く締める」と断言されたんですよ。俺達は「ETERNAL ROCK'N'ROLL」がオープニングで、「I WANNA CHANGE」がエンディングに来るのが自然だと最初は思っていたんですけど、実際に出来上がった映画を見たら、三池監督とプロデューサーの思惑に間違いはなかったんですよね。あのセンスには感服しましたよ。
──出演者のやべきょうすけさんは、ビーツの大ファンだそうですね。
OKI:有り難いことに、彼は新宿ロフトに皆勤賞で来ているんですよ(笑)。高橋とやべを引き合わせたのも、実は10年くらい前のビーツのライヴなんです。コミックとビーツの音楽と映画の接点が以前からあって、それが今回これだけ大きなプロジェクトとして形になったことが俺は凄く嬉しいし、誇りに思います。
──最後に、バンドにとって“守るべきもの”とは何でしょうか。
OKI:名声や地位なんてものは得たこともないし、どうでもいいんです。大事なのはやはり家族であり、友達であり、自分の人生に関わる大切な人達すべてですね。それは常に全力で守りたいと思っています。