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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】センチライン(2007年8月号)-それぞれの「想い」が綴られた6つの短編映画『Think』

それぞれの「想い」が綴られた6つの短編映画『Think』

2007.08.01

6曲の様々なストーリーをコンセプトに、いろんな角度からの『Think=想う』が綴られた、短編映画のような作品『Think』。「ー誰かを想うコトー」をテーマに掲げた今作は、いつしか芽生えた感謝の想いが生んだ愛情『thank youから始まる想い』から聴かせてくれる淡くセンチメンタルな想いに包まれる全6曲。どの曲もそれぞれに異なった「想い」が込められており、一曲一曲に共感したり、考えてみたり、本当にひとつの物語を読んでいるような感覚になる。ボーカル枝松さんから発される言葉は体温を感じることができ、そこにギターやリズム隊が重なることで、より温かみのある楽曲へと仕上がっていく。今回は、東京にライブで来た彼らにお話を聞かせて頂いた。以前に増して、楽曲を制作するにあたっての「想い」も強くなってきていることを実感できた。(interview:やまだともこ)

素直でシンプルな音作り

──今回リリースされる『Think』(シンク)は、前回のミニアルバム『tasogare』が昨年12月にリリースだったので、けっこう早いペースのリリースだと思いましたが、いつぐらいから制作に取りかかっていたんですか?

枝松直紀(Vocal/Guitar):『tasogare』をリリースしてツアーに回ってる間に作っていたので、早い段階で10曲ぐらいは出来ていましたね。

──その中から厳選された曲が『Think』に入ったと…。

枝松:厳選というか、他の曲は予選落ちしたんです。

尾崎宏明(Bass):アレンジをし直せばもっと良い曲になると思いますよ。今は候補生として残っている段階です。

──『Think』のテーマが「ー誰かを想うコトー」。制作するにあたり、まずテーマがあってそこに向かったのか、それとも曲ができあがってみてトータルで考えたらこのテーマになったのかどちらでした?

枝松:どっちかと言えば後者ですね。前回『tasogare』というテーマに向かって制作したんですが、今回はフリーに作ってみて歌詞が出来た時点で改めて見直したら共通したテーマが見えてきたと言う感じです。その時期にいろいろ考えていたこともあって、ちょっとオープンマインドになってみたら、誰かの事を思うというのは大事なことだと、改めて6曲のテーマになったというかんじです。自分自身のためだけに書いてるわけじゃないんだと思ったんです。

──1曲目の『thank youから始まる想い』は、たくさんの「ありがとう」が伝えられてますが、この曲を作りたいと思ったきっかけってありますか?

枝松:このアルバムは聴いてくれている人たちに届けたいと思っているんです。『thank youから始まる想い』は、親だったりメンバーだったり身近な人へのありがとうなんですけど、身近な人ほど怒られると腹が立つじゃないですか。でも、後々考えたら自分のためになっていることが多くて、「ありがとう」って素直に思えた事があったんです。それがきっかけで、身近な人たちに改めてありがとうを言うのは大切やな。そういう心は忘れたらあかん。ちゃんと「ありがとう」が言えることによって、より良い関係が作られていくんじゃないかなって思って作ったんです。恥ずかしいけど言っていこうかなって思う自分が、最近になって形成されていってるなっていう感覚はありますね。

──この曲のギターはCDが始まる感じをイメージさせるメロディーになってますよね。

枝松:かなりギターが鳴ってますよね。できあがって改めて聴いたら、ギターがよく聴こえるなーって思ってました。

河相巧矢(Guitar):イントロのところが特に聴こえますね。今回はライブでやってるのと同じぐらいシンプルに作ったんですよ。

──尾崎さんと堀内さんは、ここを気にしながらやったというのはあります?

尾崎:今回は素直でシンプルな音にしたいと思っていたので、背景となる感じをイメージして作りました。僕の中では『Think』を録ってるあたりから、リズムの作り方、グルーヴの作り方など技術的なことも増えてきたし、今までとは違うアプローチをしたいって思い始めていたんです。素直でシンプルな感じの中でも、自分なりの成長を出していきたいので、そこを感じてもらえると嬉しいです。もともとはメロディーっぽい感じのベースラインを弾いていたんですが、今回はリズムに寄ったという感じですね。

枝松:基本、ザキ(尾崎)のベースは、独特のメロディーラインを弾いているから綺麗なんです。抜くところは抜いてっていうベースのやり方で、バンドの雰囲気や若さがいい意味で取れる。いろんな音楽を聴きながらアレンジの研究を日々しているから、生かされているんじゃないかと思いますよ。

──尾崎さんはどんな音楽を聴きながら研究されているんですか?

枝松:教則本で練習ですね。

尾崎:(笑)教則本が好きなんです。けっこう勉強になるんですよ。ネタだけしか載ってなくて、引き出しがそのまま音になってるという。ドラムが一緒に入っているのもあるので、このリズムだったらこう弾くとか、この曲に対してはこう聴いてみたりとか。iPodに入れて聴いてます。

堀内啓史(Drums):僕は、ボーカルのメロディーラインとリズムパターンを作る時に、まめ(枝松)とやりとりすることが多かったですね。ドラムのパターンは、みんなで作り上げた感じです。

尾崎:メロディーが一番気持ちよく歌えたり聴こえるものをチョイスするべきなので、みんなで意見を出し合いながら進めましたね。

──皆さんで話し合いを繰り返しながら進めることが多いですか?

枝松:スタジオ内では、ディスカッションをしますね。時期によって作り方は違うんですけど、『Think』は、即興を繰り返して徐々に曲が出来ていくという作り方でした。その都度言い合いながら作っていきましたよ。

──一番苦労して作った曲は?

枝松:土台で苦労したのは、『春の恋人』(M-5)ですね。

堀内:この曲はドラムをチューニングするときに、「ドラムは鳴らさなきゃだめでしょ」って鳴るポイントを教えてもらった曲。レコーディング中に探しながらやったので、その成果もあってか全体的に鳴ってる音になったと思います。

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