今も昔もSHELTERは大切な場所
──そしてvol.17('03年3月8日)の“Learn It~”を最後にNahtは活動休止となり、SEIKIさんはソロ・ミッションを展開するに至り。
SEIKI:バンドで失った空間をソロで埋めようとは一切思わなかったんですけど、何もやっていなかった時期がなくて良かったと思います。ソロ活動がなかったら、Nahtを再始動する時のスピード感が出なかったでしょうね。
西村:Nahtが休んでいた時期は、こちらから「またやって下さいよ」とリクエストしたところでやってくれる人達じゃないだろうと思ってたんです。「バンドをお休みします」と言い残して復活を果たすバンドって実は稀じゃないですか。でも、Nahtはこうしてちゃんと戻ってきてくれましたからね。
SEIKI:Nahtの復活ライヴもSHELTERだったんですよね。VOLUME DEALERSと2マンで('05年1月16日)。まぁ、あのライヴは観ている人達から凄く違和感を持たれたのも感じたし、まだ曲に命を吹き込めていなかったと自分でも思いますね。ライヴが終わって、これだけ長い付き合いで初めて西村から手厳しいことを言われたんですよ。「何だか、お披露目会みたいになっちゃいましたね」って。
西村:俺、そんなこと言いましたっけ?(笑)
SEIKI:おいおい、ちゃんと殺してくれよ(笑)。でも、その西村の言葉にはドキッとしたんですよ。“Learn It~”をやっていた頃は、1本、1本のショウで命を削ってもいいと俺は思ってたし、実際、絶叫すると首筋の血管がブチブチ切れる音がしたんです。それが、復活して一発目のライヴではまだちゃんと感覚を取り戻せていなかった。
西村:4つ打ちみたいな感じとか、やりたいことが多すぎてまだまとまり切れてないとは思いましたけどね。でも、今回発表された『In The Beta City』でSEIKIさんが目論んでいた方向性は見事に定まったと思うし、今のNahtは文句なく恰好いいと自信を持って言えますからね。最新作はやっぱりNahtにしか生み出せないもので、“Naht節”がちゃんと生きていると思う。
SEIKI:ありがとう。音源としてしっかりしたものが出来た自負は俺にもあるよ。
──Nahtの自主企画に“Learn It~”の名称が使われることはもうないんですか?
SEIKI:“Learn It~”を、あの当時の雰囲気のままパッケージしておきたいんですよ。'98年当時に企画を持ち込んだ段階ではどんな景色が見えるのか自分でも判らなかったけど、今振り返ると非常に沸点の高いイヴェントだったと思います。あの時代を巧く切れ取れていたし、“Learn It~”に行けばいいバンドに出会えるとお客さんに思ってもらえている自負もありましたし。“Learn It~”に代わる自主企画をやろうという能動的なプランは、今のところまだないですね。そのうち、気が向いたらまた始めます。でも、SHELTERが自分にとって大切な場所であることに今も昔も変わりはないですよ。SHELTERに行くと、ライヴハウスが生きるも死ぬも、そこに集う人間がすべてを作っていくんだなと改めて思う。フラッと呑みに行くだけでもいい場所だし、実家に帰ってきたような感覚もありますからね。
西村:SEIKIさんの場合、SHELTERはライヴをやるよりも呑みに来る回数のほうが圧倒的に多いですからね(笑)。
SEIKI:下北沢に呑みに行くと、最後は必ずSHELTERで締めるんだよね。あれは何故なんだろうね?
西村:みんな“Lone”な寂しがりやなんですよ(笑)。
pix by Yuki Akase (LOFT PROJECT)