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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】9mm Parabellum Bullet(2007年5月号)-目を凝らして焼き付けてみる 明日も僕らが生きていく世界を── 閃光の如く連射される9mmのパラベラム弾が日本のロックの新たな基準となる!

目を凝らして焼き付けてみる明日も僕らが生きていく世界を──閃光の如く連射される9mmのパラベラム弾が日本のロックの新たな基準となる!

2007.05.01

断言しよう。9mm Parabellum Bulletというこのなんとも覚えづらく言いづらい名前を持った新進気鋭のバンドが日本のロックの夜明けに曙光をもたらし、日本語ロックの地平を今後新しく切り拓いていくことを。2007年以降の日本語ロックの新たな基準を打ち立てる存在であることを。猛々しい爆音と燃えるような静寂が激しく交錯し、得も言われぬダイナミズムと昂揚感を内に秘めた彼らの音楽は、袋小路の絶望を感受しきった者だけが掴み取ることのできる微かな希望を聴く者に提示してくれる。そんな彼らの心髄はライヴにこそある。ステージを所狭しとメンバー同士が暴れ回る結果、時に楽器やエフェクターを破壊するに至ったり、時に流血騒ぎになることもある。無軌道にも程がある彼らのライヴ・パフォーマンスは、ロックが本来持ち得た破天荒な暴力性、虚実の境を行き来する出鱈目さ、思春期に初めてロックに刻まれた時の衝動と焦燥感を思い起こさせるはずだ。9mm Parabellum Bulletが日本のロックの在り方を塗り替えていく様を現在進行形で見届けられる幸福を、一度でもロックに刻まれたことのある人ならば享受する義務があると僕は思うのだ。(interview:椎名宗之)

こちらから手を差し伸べるようになった作風の変化

──3月末にZepp TOKYOで行われた『LIVE SUPERNOVA FESTIVAL』でのステージを拝見したんですけど、the pillowsやDOPING PANDA、ART-SCHOOLといった先輩バンドにも引けを取らない堂々としたライヴが凄く印象的だったんですよ。トップ・バッターで、あれだけの大きな空間でも物怖じする態度がこれっぽちもなくて。

菅原卓郎(vo, g):ありがとうございます。去年の12月にRADWIMPSのツアーにオープニング・アクト(ゲスト)として参加させてもらって、同じように大きな会場でライヴをやった経験が生きたんだと思います。

──見た限り、最前列のほうに既に数多くの固定ファンがいらっしゃいましたよね。

滝 善充(g):客席を見たら、知ってる人が何人かいましたねぇ。

菅原:僕達のTシャツを着てくれた人がちらほら見えましたね。

──今年2月に渋谷O-nestで行われた初のワンマン・ライヴ『機械の遺伝子』のチケットは販売開始後わずか5分で完売して、ライヴの動員も鰻登り。そんな絶好のタイミングで発表されるのが、このプレデビュー・アルバム『The World e.p.』なわけですが。

菅原:メジャーでフル・アルバムを作る前に、まず挨拶代わり的なアルバムを作りたいと思って。「The World」と「Heat-Island」という新しい曲に加えて、以前発表した曲を新たに録り直して、ライヴ盤みたいな仕上がりにしたかったんです。

──新曲の2曲は元スーパーカーのいしわたり淳治さんがプロデュースを手掛けていますが、皆さんスーパーカーのファンだったんですか?

11_ap01.jpg菅原:特にファンだったのは、そこの緑色の服を着た人(かみじょう)ですね。

かみじょうちひろ(ds):そんなこと言っても、活字になったら判らないから(笑)。

菅原:いしわたりさんはとても頭の柔らかい方で、僕らがすぐに頭を硬くしてウーンと煮詰まってしまうところをうまく解きほぐしてくれましたね。その解きほぐし方には凄く助けられました。

かみじょう:いしわたりさんが僕達のライヴをたまたま観に来てくれたことがあったんですよ。そのライヴを観て僕達のことを良く思ってくれて、今回こうしてプロデュースを引き受けて頂いた次第なんです。

菅原:ご自身のブログに「9mmはイイぞ!」と書いてくれてたみたいで。有難いですよね。

──いしわたりさんとの実作業は如何でしたか。

菅原:基本的には僕達が好き勝手やらせてもらって、頭を抱えるような段階になると「もう一回やってみよう」とか「こういうふうに変えてみたらすっきりするんじゃないかな?」と適切にアドバイスをしてくれる感じでしたね。もう少し時間を掛けたら自分達でも解決できたかもしれないポイントを、いしわたりさんがその場で凄く的確に提案してくれたというか。

──具体的に言うと、音数を整理してみたりとか?

かみじょう:そうですね。あと、曲の筋道をうまく順序立ててくれたというか。

──「The World」は緩急のついた構成で、これまでになくスケールの大きな曲ですよね。

菅原:そうですね。いしわたりさんには凄く助けられたと思います。

──歌詞の世界観もかなりスケール・アップしたと思うんですよ。それまでは自分の半径3メートル以内の世界を歌のテーマにしていたのが、この「The World」ではその圏内の向こうにいる誰かに自ら投げかけを始めたというか、視野がグッと広がったように思えるんです。

菅原:うん、半径3メートルな感じだったというのは当たってるなぁと思いますね。今も同じ半径3メートルの中にいるんだけど、それまではただ物事を見つめているだけの人が声を出して話し掛けるようになったというか…。視野がパッと広がったというよりは、そういう変化なのかなと自分では思ってますね。

──自分から手を差し出して握手を求めるようになったというような?

菅原:そうですね。3メートル以内のところに人が入って来たら「おはよう」と声を掛けてみるとか。あるいは、「こっちに来んな!」って言ってみるとか(笑)。そういう意思表示をするようになったという感じですかね。

──それまでは、半径3メートルの圏内に人が立ち入ると「あっちに行けよ!」と排除するほうだったんですか?

菅原:いや、「あっちに行けよ!」と頭の中で思っていても、とりあえず見過ごしていたり、何も言わずに平静を装っていた気がします。自分の領域に厭なヤツが来た、または好きな人が来たぞっていう、そこで起こった変化を以前は歌詞にしていたんですけど、その中で何を言っていたかと言えば、特に何も言っていなかった。でも、今回の「The World」では向こうから人がやって来たら自分から挨拶もするようになったんですよ。

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