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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ROY(THE BAWDIES)×PATCH(Radio Caroline)×Mr.PAN(THE NEATBEATS)(2007年3月号)- 嗚呼、忘れじのマージービート狂想曲

嗚呼、忘れじのマージービート狂想曲

2007.03.01

今年から全て統一でやるで(Mr.PAN)

──ROYさんは、アメリカのバンドで影響を受けたと言えば…。

ROY:やっぱりソニックスですね。'54年くらいのロックンロールって言うと黒人寄りなイメージを凄く持っていて、白人にとってのロックは今もずっとあるけど、黒人にとってはその数年かのダンス・ミュージックのひとつだったんだなと思いますね。その時にしかない熱みたいなものがあって、ソニックスにはその時の熱さっていうのを凄く感じるんですよ。白人の手に渡ったことによって、ロックンロールがちょっとポピュラー化するじゃないですか。ソニックスやビートルズが影響を受けたロックンロールは、その'54年からの何年かの本物のロックンロールの匂いがするんですよ。だけど、ビートルズはそれをそのままやるんじゃなくて、更に自分達の音楽にしちゃったことが凄いなぁって思います。

──ちなみに皆さん、ビートルズのアルバムで一番好きなのは何ですか?

PAN:最初はやっぱり1枚目(『PLEASE PLEASE ME』)だったけど、今は『REVOLVER』かな。

PATCH:聴いている時期にもよるけど、基本的には全部好き。でも、今の気分だと『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』かなぁ…。

ROY:僕は『WITH THE BEATLES』ですね。

──ビートルズが他のビート・バンドと違っていたのはどんなところだったと思いますか?

PAN:やっぱり、オリジナル性ちゃうん? ビートルズが優れ過ぎているのは、黒人のR&Bの良いところを全然違う形で消化したって言うか…新しい形を提示したところ。普通の他のバンドやったらそこそこやったらこんな感じってなるんやろうけど、ビートルズは全く違うことをやったっていう。

ROY:ロックンロールとかでも普通のバンドだったら3コード残して、歌詞を変えて、メロディを変えてっていうのは普通に思いつくけど、ビートルズはそうじゃなくて、呑み込んで全く違うもの出すって感じで…そういうところが他のバンドとの違いと言うか、天才だと思いますね。

PAN:技術で言うと、ポールがそのベースラインを弾きながら唄うのかよ! っていうのが衝撃的やったね。

PATCH:ジョンとポールっていう我の強い2人のメンバーがいたのも逆に良かったんじゃない?

──PATCHさんはどちらかと言えばストーンズ派なんですか?

PATCH:単純に全部好きですよ。どっちかと言うとビートルズのほうがちゃんと全部聴いてるかな。ストーンズは…余り聴いていないかも。

PAN:ストーンズって聴きにくいところもあるよね。

PATCH:『BLACK AND BLUE』とかはいいんだけどね。でも、ストーンズはホント音に貪欲って言うか、レゲエが流行れば曲に採り入れたり、ディスコが流行ればそれっぽいのをやったりとか。

──『SOME GIRLS』はパンクっぽいですもんね。

PAN:また、その勘違いしてる感がいいんだけどね。

PATCH:こないだ出た一番新しいやつ(『THE BIGGER BANG』)が最近の中で好き。昔っぽくてね。

──エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ジミー・ペイジという俗に日本で言う3大ギタリストには皆さんどこまで影響を受けていますか?

PAN:ジェフ・ベックは、ジェフ・ベックというよりもヤードバーズのギタリストのイメージ。クラプトンはヤードバーズっていうより、ジョン・メイオール・ブルースブレイカーズのギタリスト。クリームとかよりその時期が一番好き。

──ヤードバーズで言うとどの時期が一番好きですか?

PAN:俺は…ジミー・ペイジの時期かな。それは変なギターの弾き方っていうことだけだけど。バンド的には初期、作品的には『FIVE LIVE YARDBIRDS』が好きだね。

PATCH:俺もバンド的には同じく初期。作品的にはあの変な絵のやつ(『ROGGER THE ENGINEER』)、ギターがジェフ・ベックのが好き。

ROY:僕は最初のライヴ・アルバム(『FIVE LIVE YARDBIRDS』)はよく聴いていましたね。ギタリストじゃないからギターがどうのってわけじゃないけど、ブルースを余りよく判っていない時に聴いて、“ブルースってこんなんじゃないかな”って思ったのを覚えてますね。

──キンクスやフーからの影響は?

ROY:キンクスは凄く好きで聴いていましたけど、フーは余り聴いていないですね。

PAN:フーは俺、ロック・オペラ『TOMMY』が最初やった。映画で観て。映像と音楽がリンクしたのとか観たことがなかったから凄いなって思った。

──どちらかと言うと初期のほうが好みですか?

PAN:やっぱりね、昔のはR&Bのカヴァーとかやってたからね。

PATCH:俺はキンクスならどこの時代も好きだったね。

──あの時代のビート・バンドで黒いヴォーカルと言えば、僕はアニマルズのエリック・バートンを思い浮かべますけど。

PAN:アニマルズは「朝日のあたる家」とか有名だけど、「BABY LET ME TAKE YOU HOME」とか凄いブルースマンやもんね。

PATCH:アニマルズはカヴァーに関しても凄く恰好いいよね。選曲なんかも凄くいいし。結構地味な曲なんかもあるのにね。

──この時代の音楽の魅力を挙げるとするならば、どんなところでしょうか?

PAN:やっぱ素直さじゃない? レコーディングの仕方でもそうやけど、“別に間違えてもええやん、それはそれで”みたいな。今の音って上手くて聴きやすい、でもそれ以上に何があるって言ったら激しさなんかがないんちゃう? パンチがないって言うかさ。しかも今は技術があるから何でも出来るのが当たり前だろうけど、当時は技術がなかったわけだからね。

PATCH:音に対して純粋だよね、みんな流行ったほうにやってるもん。

PAN:もう今年からそういうふうにしよっか? “とりあえず今年はこれですよ”ってなったら、それに対してみんな向かってやるっていうような(笑)。

PATCH:でも、当時はそういうことだもんな。

PAN:お客さんにも断って、「去年は革ジャンだったけど、今年はスーツでな」とかな。だから今年から統一。今年の全バンドのギターの高さはココとか(笑)。

PATCH:へそ上とかね。

PAN:長髪はダメとかな(笑)。

現状維持、やや右肩上がりで(PATCH)

──話は尽きないのですが、各々のバンドの近況を交えて、今年の抱負なんぞを頂ければと思いますが…。

ROY:音源も出ますし、ライヴもたくさんやっていきたいですね。あとはいろんなジャンルとどんどん絡んでいって、いろんなお客さんに僕らのロックンロールを観てもらいたいですね。それと、今年はオーストラリアとかにも行きますし、ワンマン・ライヴとか初めて尽くしなので頑張りたいですね。

──ニートビーツは10周年ですね。メモリアル・イヤー的な構想もありますか?

PAN:まぁ、色々したいなとは思うな。もちろんアルバムもそうですし、カヴァー・アルバムとかも作りたいし、スタジオも作ってる最中やし…なんか実験開始的なこと、新しいことをしたいな。

PATCH:俺は今年はこのままな感じ、現状維持で。出来ればこのままで売れたい(笑)。

PAN:現状維持なんだけど、あわよくば若干右肩上がりで?(笑)

PATCH:そう、誰かアイデア教えて下さい。

──最後に、3月16日の新宿ロフトでのライヴに向けて何かあれば。

PATCH:お客さん、似たり寄ったりだからな。

PAN:だから知り合いでもそんなに知らない子を連れてきて欲しいな、会社帰りとか学校帰りとかに。

──それが右肩上がりに繋がると?(笑)

PATCH:そう。それこそが現状維持からの脱却です(笑)。

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