イギリス='63年、アメリカ='66年説を採用します(PATCH)
──さて、そんなPANさんはどんな1枚を?
PAN:僕はジョニー・バーネットの『and the ROCK'N'ROLL TRIO』ですね。
──おお、これはシブい!
PAN:これはね、8ドルで買ったん。で、オリジナル盤で、今は6,000ドルくらいするらしいで、鑑定してもらったら。
──本当ですか!? 実に約750倍ですよ!
PAN:アトランタのフリーマーケットで買ってね、一緒に行った外人のDJが「もしかしたらこれは本物かもしれん、買っておいたほうがええんちゃう?」って。
──で、買ったら本物だったと?
PAN:そう、これが2〜3枚あってね。それで1枚ずつ分けて、ヤードバーズがカヴァーしてた「THE TRAIN KEPT A-ROLLING」とか入ってるし、やっぱりこれかなと。ウッド・ベースと思われへん、スリー・ピースでこの音圧は凄いなと。
──これはいい買い物でしたね。
PAN:でも当時はホント、LPの時代じゃないから売れへんやったらしいね。この後、ジョニー・バーネットはポップ路線に行ってポシャっちゃうんやけどね。
──このアルバムはいつ頃のリリースなんですか?
PAN:'56年とかちゃう? ウッド・ベースとかのギリギリ全盛期かな。もうそろそろ、みんながエレキ・ベースを持ち出す頃ちゃうかな?
──PATCHさんが持ってきたのは…?
PATCH:ブリティッシュ・ビートって言われたのに、アメリカのバンドを持ってきちゃった(笑)。しかも、'66年ってちっともアーリーじゃないですけど、R&Bとかブルースのカヴァーありと言ったらザ・シャドウズ・オブ・ナイトの『GLORIA』かなと。
──これは定番ですね。
PAN:でも何かあったらアメリカは'66年って言うよな。
──PATCHさんがこのアルバムを選んだのは?
PATCH:やっぱりストーンズと比較するとね、武骨なんだよね、ヘタクソさ加減とか。アメリカ人気質だからかな。これに入ってる「I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU」とかも昔カヴァーしたけど、ストーンズのほうじゃなくてシャドウズのほうをカヴァーしたもんね。わざとらしいと言うか、ネチッこいと言うか…アメリカ人だから繊細じゃないんだろうね、やっぱり。ストーンズのやつなんかはガチャガチャ聴こえるけど、よく聴くと細かいなって思うんだよね。
PAN:神経質なんだよね、良い意味でイギリスの音は。
──じゃあ、ちょっとチープなところも魅力のひとつ?
PATCH:そうね、音はそうじゃないんだけど、やってる姿勢とかが。まぁ、メンバーも当時20歳とかだもんね。
PAN:やっぱり、イギリスは'63年、アメリカは'66年だよな。
──ん? どういうことですか?
PAN:イギリスでビートルズやストーンズなどがデビューして人気に火がついたのが'63年辺りで、彼らがアメリカに渡っていって、それをアメリカ人の子供が観て恰好ええなぁってマネして練習して、ステージに出てき始めたのが'66年くらいとか…。
──'66年になると、アメリカではフォーク・ロックの流れとかも出てきますよね。
PAN:この辺りは1年間くらいでどんどん変わっていったなぁ。'67年でまた変わっていくし。
──イギリス='63年、アメリカ='66年説っていうのはどうですか、PATCHさん。
PATCH:異議なしですね。採用します(笑)。
一同:(爆笑)