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トップインタビュー【復刻インタビュー】遠藤賢司 VS 平野悠(2007年1月号)-『遠藤賢司実況録音大全』発売記念 遠藤賢司 VS 平野悠 新春大放談

『遠藤賢司実況録音大全』発売記念 遠藤賢司 VS 平野悠 新春大放談

2007.01.01

「史上最長寿のロックンローラー」「不滅の男」「純音楽家」としておなじみのエンケンこと遠藤賢司は、1月13日にめでたく60歳=還暦を迎える。その還暦の誕生日に、なんと10枚組の未発表CD&DVDボックス『遠藤賢司<実況録音大全>第一巻 1968--1976年』がリリース決定!! 40年近くもの間、休む事無く、いつの時代もまったく変わらない主張で闘い続けているエンケンが、70年代のフォーク・ムーブメントの潮流でもスターダムにいながらにして、最も過激で個性的な存在であったことがよくわかる長編宇宙大絵巻物である。やはりエンケンこそが「元祖パンク」であり「ロックの始祖」であり、世界的にもエンケンのようなロッカーは他にいないのだ。かつては、はっぴいえんどの結成に強い影響を与え、近年では、くるり、サンボマスター、銀杏BOYZ、曽我部恵一、フラワーカンパニーズといった先鋭的なバンドから、さらにはケミストリー、福山雅治などまで、エンケンに敬愛の念を表すアーティストは本当に多く、もし知らない人がいればいち早くエンケンの音楽に触れてくれることを願ってやまない。
この特大ボックスセットの発売を記念して、ルーフトップ正月特別企画、還暦記念の新春放談!? 「西荻ロフト」時代からエンケンを見守る<新人ロック評論家=ロフトグループ会長>平野 悠が「エンケン宇宙力の秘訣」に挑む!"遠からん者は 音にも聞け 近くばよって 目にも見よ" 天下御免の一番勝負!! さあさ、お立ち会い〜〜〜!!!(進行:サミー前田/本文構成:加藤梅造)

自分の事を歌うことが一番大切

平野:エンケンさんが来月還暦を迎えると聞いて、それじゃあ、一足先に還暦になった俺から還暦の正しい心得を教えてあげようと思って今日は来たんですよ。

エンケン:え〜、そういう対談なの? もっといい話しようよ。

平野:いや、今日はこれを伝えたいんだよ!

エンケン:それは平野さんが一人で書けばいいじゃない(笑) 俺、まだ還暦じゃないし。

平野:そうか、しょうがないなあ。

サミー前田:今日は、話が変な方向に暴走しないようにまとめ役として来たんですが、平野さん、最初からおかしな方向にいかないで下さいよ。

平野:いやいや、還暦っていうのは大変なことなんだよ!

エンケン:でも、俺は歳とることは全然恥ずかしいことだと思わないよ。

平野:そうは言っても、やっぱり若いコから愛されるジジイにならないと。

エンケン:へー、平野さんそうなんだ。なんか今日は勝った気がしてきたな(笑)

平野:いや、でも俺たちみたいに歳食ってくるといろんな問題が出てくるんだよ。で、最初にエンケンさんに問いたいんだけど、例えば、アインシュタインか誰だったかが、ジジイに余生はないと言っている。一方、ニール・ヤングが今年、徹底的なブッシュ政権批判のアルバム『LIVING WITH WAR』を出した時に「9.11以降、若い世代が立ち上がるのを待っていたが、やっぱり俺たち世代もやらないと」みたいなことを言っている。もう一つ。ミック・ジャガーは「ロックなんていうのは、戦争を止めたり貧困をなくしたりなんかできない。聴く者にちょっとした勇気を与えるだけだ」とも言ってます。この3つの考え方に対して、エンケンさんはどのようにお考えですか?

エンケン:まず最初の、ジジイは世の中のために勝手に死んでけばいいんだっていう話ですけど、そういう考え方は大嫌いです。特にアインシュタインは後に後悔したとは言え、原爆開発の推進者だったのに、よく言うよって。俺にとってはジジイも若いも関係ないから。次の、ニール・ヤングの言葉についてだけど、これはミック・ジャガーと言っていることは変わらなくて、ちょっとした勇気をつけるっていうのは、俺はこれでいいんだって思うことじゃないかな。例えば、誰かがある信念を貫いていけば、それはいずれ戦争の抑止力になるかもしれない。俺はこう思うんだっていうことをハッキリ言うことが、音楽の、芸術の基本だと思う。だからニール・ヤングとミック・ジャガーはどっちも正しい。音楽家と名乗るんだったら、自分の身近なことを歌って自分のことをちゃんと言おうと。俺の言論を守ろうという所から出発しなければいい音楽はできない。

平野:俺は、今までエンケンさんは政治的な問題は避けているのかと思っていたんだけど、この『実況録音大全』を聞くと、当時、田中角栄に対して怒ったり、実際に演奏中に日の丸を燃やしたりしてて驚いたんですよ。

エンケン:俺は歌い始めた時から自分の事を歌うことが一番大切だと思っていて、かっこいい言葉で言えば、民主主義の根本だと思ってる。でも今やこの時代「自由民主主義」というよりは、板垣退助の「自由民権主義」の方が正しいと思っている。そこからこの国は出発すべきだと思うし、今の国会をぶっつぶして新たに始めるべきだと思う。俺の歌もそうだし、平野さんが好きな歌や自分で作った歌、それは朝起きて「フンフフーン」って歌う歌も含めて、それがその人の宗教であり、本当の自由民権主義の根っこをささえる叫びだと思う。もしそれができなくなったら、それはもう全体主義だから。

9.11は「ホテルカリフォルニア」

平野:最近、僕は新人ロック評論家と名乗って、いろんなミュージシャンに勝手な事を聞いてるんです。そこで、9.11以降の世界でロックは、音楽はどうあるべきか、僕たちはどう生きるべきかをずっと考え続けていて。僕は9.11直後のNYに行ったり、イラクで人間の盾に参加したりしながら、やっぱり9.11以降のアメリカ一辺倒の世界に対して、日本の表現者は何を為しえたのか? これでいいのか?を問いたいと思うんです。もちろん個人的な日常生活を歌っちゃいけないとは全然思わないけど、ユーミンみたいに、ソーダ水の中に汽車が浮かんで飛んでっちゃうみたいなことを歌われても、全然リアリティを感じないんだよな。

エンケン:僕は音楽家として言うと、音楽がよければそれでいいと思う。ただ歌詞は大事。「君が代」は「我が世」にすべきだし、そういうのは根底にありますけど、音楽さえよければ軍歌でもなんでもいい。ユーミンのソーダ水の歌でも、その一瞬の平和を歌って、聞いた人がその平和を感じられればそれでいいんじゃないか。自分の生活を守ったり、恋人との二人の生活を守ったり、家族の生活を守るのがその国の基本だと思ってますから。そういうことを歌えない国は最低だと思うし、それを歌える日本はまだいいなと。

平野:それはもちろんそうで、僕も軍歌は嫌いじゃないんだけど、ただ、あの軍歌に踊らされて多くの若者が戦争に行ってしまったという現実もある。

エンケン:いや、軍歌だけじゃなくて、ジャズもクラシックもフォークも、ああ、これはいいリズムだなっていうのがいい音楽っていうことです。「貴様と俺とは〜」って男の根本にあるじゃないですか。それがなくなってしまったことで、日本の音楽は本当の意味でロックの心を無くしてしまった。  9.11について言うと、日本からみたら向こうの話、ブッシュの話ですよ。あれだけひどい事をやってきて、他の国をめちゃめちゃにかき回して、それで自分たちだけのうのうといい生活している。9.11の映像は二度と見たくないほどのショックを受けましたが、も少し他国の事として見ていいかもしれないですよ。それよりも、いざ日本に同じ事が起こったら、ちゃんと対処できるのかっていうことの方が問題だと思う。9.11は、音楽の世界で言うと「ホテルカリフォルニア」なんです。あれはアメリカの終末を歌った歌ですから。でも俺たちにとってアメリカの幻想はどうでもいい話なんです。アメリカが栄えて、衰えていった、勝手にどうぞと。それに俺たちは荷担しない。9.11は自分で引き起こした責任もあるんじゃないですか、と。むしろ日本に原爆を落とされたことの方が重要だと思います。9.11に日本人の人も亡くなっていますが、俺はそっちのほうにもっともっと比重をおくべきだと思います。日本人として素直にね。

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遠藤賢司実況録音大全 [第一巻] 1968-1976

[富士/disk union FJ-005〜014]
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