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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】怒髪天(2006年12月号)- 腑抜けた時代に殴り込む トーキョー・ロンリー・サムライマン

腑抜けた時代に殴り込む トーキョー・ロンリー・サムライマン

2006.12.01

大人になることは大人しくなることじゃない

──それにしても、“一曲完全燃焼”のスタイルを愚直なまでに貫きながらリリースの度に自らハードルを上げて、毎回よくこれだけの集大成であり通過点でもある充実作をハイペースで発表できるなと単純に思いますね。

清水:だって一生懸命やってるもん。

増子:やってるよ、やれることは。気取りもなく。金もなく。未来もなく(笑)。…電気もねェ、テレビもねェ。

──吉幾三ですか(笑)。

増子:オラこんな村イヤだ。

一同:(笑)

増子:バンドとしてやってみないと判らないこともあるし、その時にしか作れない曲だってあるから、それはもう良い悪いじゃなくて。その後の判断は聴く人の気分だったりするからね。要は好きか嫌いかだけの話。いつも言ってるけど、「これでダメならダメじゃねェか?」って思ってやってるから。そのぐらいの潔さは毎回あるよ。「これをやれば喜ばれるかな?」とか、そんなことは思ってないから。自分達がイイと思ってるモンを出して、これで白黒つけてやろうと思って毎回出してる。この続きは次のアルバムで…なんてことはやってないからね。まァ、今回のアルバムを聴いて「やっぱりコレじゃないと!」っていう人もいるだろうし、「ピンと来ない」っていう人もいるだろうし。…「勝手にせェや!」って書いといて(笑)。

──ははは。それだけの絶対的な自信作であることはRooftopの名に懸けて全面的に保証しますよ。『武蔵野犬式』を発表した頃に「30代の半ばを過ぎて、もう退路はない」みたいなことを増子さんが仰ってましたけど、不惑の40歳を迎えて(笑)今はその域すらも超えてますよね。もうホントにバンドしかない、っていう。

増子:そうだよ。死んでから評価したって知らねェぞ! ってホント思うけどね(笑)。CDの帯に「ガキの頃のムチャなんて誰だって出来るぜ!」という惹句があるけど、大人になるっていうのは大人しくなるってことじゃねェぞ、と言いたいね。大人は怖いぞ、と。

──増子さんの泥酔っぷりを例に出すまでもなく(笑)、怒髪天はそのことを身をもって体現されてますからね。

増子:日本のロックなんてのはまだまだ子供市場だから。子供達が好きなモノが売れてさ、そういうのを聴いてる子はツラいこともまだそんなに知らないんだろうけど、そういう子達が俺達の顧客予備軍なのかと思ったら…まァ、ザマァミロ! って感じだよね(笑)。今に全員こっちに集まって来るぞ、って(笑)。「こっちは40歳で東京でロンリーだ!」っていう。これは凄く重みのあることだよ。

──それでもこの東京の片隅で根を張ってやって行くんだぞ、っていうことですよね。

増子:そう。東京っていうのは都会の代名詞ってことだからね。自分が苦境にあるところの住んでる街であって。それは東京じゃなくてもさ。「はじまりのブーツ」にしたって、ブーツの代わりとなる自分の支えになるモノっていうのは人によって違うけど。でもまァ、日々の暮らしの中でさ、やってらんねェな…って思った時に「しゃあねェ、やるか!」ってちょっとでも思えるものが酒であったり、音楽であったりするわけ。そういうものを俺達は愚直なまでに作っていきたいと思う。俺達は皆が無駄だと思ってやらなかったことを今日までやってきたから。コツコツやってきたヤツがバカを見るような世の中であっちゃイカンと思うよ。

──全くの同感です。せっかく4人勢揃いなので、最後に一言ずつ頂いてシメましょうか。じゃあ、坂さんからお願いします。

坂詰:…お前ら募金しろ! みたいな。

一同:(失笑)

坂詰:…じゃあ真面目に……私達のブラッド・スウェット・アンド・ティアーズを感じて下さい!

清水:…それは横文字じゃないとダメなの?(笑)

坂詰:ロックですから! ロックを日本語で言うと「岩」になっちゃいますから!

──よく判りました(笑)。友康さんは。

上原子:今回はライヴで育つ曲が多いと思うんだよね。お客さんの反応如何でどう転がるか判んないっていう。お客さんも曲を聴いて、合唱したいとこはして、振り付けしたいとこはして…それによって例えば間奏が長くなったりとか、曲がライヴによって育っていくのが今から凄く楽しみだよね。

清水:「これはライヴでやったらどうなるかな?」っていう期待感がある。今はライヴに向けて練習してるけど、何が起こるか期待しながらやってるね。1番を聴いたら2番も唄えちゃうみたいな曲とかさ、一緒になって楽しめると思う。あと、ライヴに組み込みやすい曲が多いんだよね。だからライヴでも新たな展開を見せられるんじゃないかと。

増子:今回はホントに納得の行くものができたと思う。ロックであるとか何であるとかっていうことに捕われずに、思いのままに一生懸命やって、「こういうものが作りたい、いい曲を作りたい」って思ってやった結果だから。この作品は俺達でしかないわけだから、いいとか悪いとかじゃなくてさ。あとはもう聴く人に委ねるだけだよね。素直に受け取ってくれたらそれでいいと思うよ。

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