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トップインタビュー【復刻インタビュー】Dachambo(2006年11月号)- ロック・バンドへの純化とレンジ総括の果てに辿り着いた新境地──『The Weekenders!!!』

ロック・バンドへの純化とレンジ総括の果てに辿り着いた新境地──『TheWeekenders!!!』

2006.11.06

徹頭徹尾、開かれたアルバムである。間口は広いが恐ろしく奥深い。先行シングル『The Eternal Allergy』から3ヶ月を経て遂に発表されたBANDWAGONの2ndフル・アルバム『The Weekenders!!!』。「ジャズで言えばスノッブに向けたような音楽性から脱却して、ロックが好きなすべての人に聴いてほしいと思うようになった」とナベカワミツヨシ(vo, g)自身が語るように、パンク以降のリビドーを刺激するあらゆる音楽的エッセンスをブチ込んだロックの王道を往く会心の作だ。ロックのセグメント化と異ジャンルのクロスオーヴァー現象が進む中、愚直なまでにロック・バンドとしての本懐を遂げようとする彼らこそ今最も注目すべき存在であると僕は思う。レッツ・トラスト・オーヴァー・サーティー!!!(interview:椎名宗之)

自分達はロック・バンドなんだ!

──まず何が衝撃かって、待ちに待った2ndフル・アルバムのタイトルがまさか往年のテレビ番組、“テレビ三面記事”で来たか! っていう(笑)。

ナベカワ:はははははは! まさにそのライン、“桂ざこば、泉ピン子、チョメチョメ、ニャンニャンニャン”の世界なんですよ(笑)。『ウィークエンダー』って、当時土曜日の夜10時にやってましたよね。ドリフの『8時だョ!全員集合』、『Gメン'75』の後に見ていた土曜の記憶が僕の中で生々しく蘇ってきたと言うか。

──土曜の夜特有の高揚感ってありましたよね。EPOの「DOWN TOWN」(『オレたちひょうきん族』エンディング・テーマ曲)を聴くと無条件にわくわくしてくるような。

ナベカワ:そうですね。僕らは基本的に週末しかスタジオに入れなくて、金曜、土曜の夜には安堵感があるんですよ。その感じを出したかったのと、『ウィークエンダー』っていう番組自体、事件の再現ドラマがエロチックでもの凄く下世話だったじゃないですか?(笑) あのザワザワした感じ…いかがわしさ、猥雑さを出したかったところもありますね。僕らはずっと英語で唄ってますけど、最近で言えば日本脳炎とかがやっているようなあの頃のロックのがさつさ、猥雑さみたいなものについて改めて考えるようになって。『New Music Machine Extended Play!!!』('05年1月発表)を出して以降、ロック・バンドがやるダンス・ビートであったりニューウェイヴ感っていうのが世の中的に随分浸透した気がするんですけど、僕らはそこにもういたくなくなったと言うか、“自分達はロック・バンドなんだ!”という気持ちがこの1年でさらに強くなってきたんですよね。“餅は餅屋でしょ!?”って言うか、自分達が異ジャンルの人達と肩を並べるためには、よりロックに純化するしかないと思ったんです。1曲目の「Attack To Prize!!!」は、そんな僕らなりのロック宣言なんですよ。

──ロックが本来持ち得る肉体性への回帰は、作品を追うごとに顕著になっていますからね。

ナベカワ:ええ。どんどん先祖返りしてる感はありますね。だんだんしゃらくさくなってきたと言うか、頭で考えることが正しいと思えなくなってきたと言うか。

──『New Music Machine〜』でCLASHの「Rock The Casbah」をカヴァーした辺りからその傾向が強まったように思うんですが。

ナベカワ:そうですね。今作を作るにあたって、前作のミニで言うと「Shock And Shocking Anthem!!!」のような気をてらったものもやろうと思えばできたんですけど、それを続けるとただのマンネリになるし、単なるキワモノ的バンドで終わってしまうな、と。それよりもここで一度自分達の基軸みたいなものをきちんと見つめ直したほうがバンドがもっと自由になれると思ったし、“今ちゃんとロックをやらなくちゃダメだな”っていう気がしたんです。今まで音楽的には間口や振り幅を大きく取ってきたつもりなので、その中で芯のあるものを一度やってみたかったんですよ。これまでが“技のデパート”の異名を持つ舞の海だとすれば、今回は直球で横綱相撲をやってみよう、と(笑)。

──その意味でも王道を往く作品ですよね。相変わらずアレンジは非常によく練り込まれた緻密なものですけど。

ナベカワ:そこはメンバーの性格の細かさが自ずと出たと言うか。曲を作る時にミーティングとか相談も全然しないので、バンドとしての基礎体力が出来てきたんだなと思いますね。実はこの作品がレコーディングに入るまでの制作期間が今までで一番短かったんです。それまではライヴで新曲を披露しながら徐々に修正をしていくやり方だったんですけど、今回はそれが全くなくて。でも、今までの経験があるから自分達で結果を想像しながら臨めましたね。そういった意味ではこれまでの経験が活きたんだと思います。

──収録された全10曲は非常にポップで軽やかなんだけれどもサウンドはねじれた展開が施されていて、アルバムを人格で喩えるならかなり奇特な人ですよね(笑)。

ナベカワ:ははは。1曲1曲に必ず自分達が笑える要素を用意してると言うか、そこから曲作りが始まってるんですよ。だからこそ楽しくできるし、その擦り合わせはメンバー間で自然とできているんじゃないですかね。

──収録曲は、7月に発表された先行シングル「The Eternal Allergy」を核として枝葉が広がっていく構成ですね。

ナベカワ:そうですね。去年の8月からシングルの曲を含めた新曲を作り始めて、1ヶ月に1曲ペースで作っていったんですけど、一番初めに「The Eternal Allergy」が出来た時もこの曲がアルバムの中心になると思ってましたし。『New Music Machine〜』が出てライヴだけをやっている期間があって、その間に蓄積されたエネルギーが一気に噴出したんでしょうね。

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