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INTERVIEW

トップインタビュー音速ライン ('06年8月号) - いつかの音を忘れないで、いつかの自分を忘れないで、次の段階に進んでいこう

いつかの音を忘れないで、いつかの自分を忘れないで、次の段階に進んでいこう

2006.08.11

 過去は生々しく、未来は懐かしい。そんな交差点に立って、今という瞬間を激しく刻みつけた。もう一度君に伝えたいことがあるんだ。いつかの音がそう言ってるんだ。
1stアルバム『風景描写』からわずか8か月で、音速ラインは2ndアルバム『100 景』をリリースした。「ナツメ」「みずいろの町」、新録の「ここにいる」「夕凪の橋」を加えた全11曲。僕の見た風景が、すべての人の記憶に宿る風景へと、果てしなく広がっていく。沸き上がる感情は、切ないメロディや混沌と激情の音となり、空へと飛び出していった。ドラマー菅原建生脱退を経て、藤井敬之と大久保剛が音速でたどり着いた新世界が、ここから始まる。(interview:柳村睦子)

根拠のないプラス思考をみんなで歌うことによって、さらにそれが強まる

──前作から8か月という短かさで…。

藤井:まぁ、僕らがね、「とにかく早く新しい音源を出させてください」と言ったんじゃないんで…(一同笑い)。

大久保:メーカー的に言われたんだよね? 一応、抵抗はしましたけど(笑)。

藤井:でも「いや、ここはガンガン行こうよ」と言われて。それが中途半端な形になるようだったら最後まで抵抗したんですけど、曲はいっぱいあるし、うちらが無理してるわけじゃなかったので。

──音的にはもうパワー全開で。短期間でここまで爆発させるのは大変だったのでは?

藤井:いや、別に(笑)。自然体ですよ。

──そうですか? 聴き手としては5月発売の5thシングル「みずいろの町」で、完全に方向性が固まった気がしたんですが。

大久保:いや、方向性は固める気がなくて。逆に狭まって面白くなくなっちゃうから。

藤井:だから、どっちかと言うと“こういうのが音速ラインだ”というのをなくして、いろいろなタイプの曲を入れようと。

大久保:音の下地作りは1stアルバム前のシングル3枚で出来たと思ってるんで。

藤井:そこで今までにない「上昇気流」とか「観覧車」とか「コトノハ」という曲を入れて。それをいい感じで見せられるアルバムになったなぁと思いますね。

──ええ、ええ。「上昇気流」はリズムに乗った曲。後半、まさに上昇気流に乗ったような気持ち良さがありますね。

藤井:これは…♪きっといい日になる~♪とライヴで盛り上がりたかったんです(笑)。根拠のないプラス思考をみんなで歌うことによって、さらにそれが強まるみたいな。「きっといい日になるよ」と言っていれば、本当にきっといい日になると僕は思うんで。

──ここはグッと来ましたねぇ。

藤井:マジすか。みんなもそう思ってますもんね? きっとね?

大久保:ふふふふ。

──はい。すごく解放されます。「観覧車」は?

藤井:遊ぶ曲にしたいなと思って。アルバムの一枚目で僕らを覚えてもらった上で、その余裕な感じを出したかった。これはほとんどジャムってる感じですね。

──大サビがすごい。ファンキーになったと思ったら「えっ…ダブすか!?」。

大久保:ふふふ。本当に遊んでたんだよね? おのおのの好きなフレーズをただ弾いてたら、こういう感じになっちゃった。

藤井:うちらはリハでよく遊びでいろいろやってるんすけど、その自由な感じって、みんなにはまだ見せてなかったから。

──「3分の2」「コトノハ」から「みずいろの町」への展開も驚きました。

藤井:単純にアルバムをひとつのライヴとして考えたんです。まずSEっぽい曲があって、テンションが上がるようなガン! という曲が一発目にあって、本編に突入みたいな。最初はね、アルバムは10曲入りの予定だったんですよ。それがレコーディングしてるうちに「3分の2」を思いついちゃって。録ってみたら結構良かった。「3分の2」は昔のアメリカの家庭のラジオから流れてくるような…懐かしいイメージ。

──40年代~50年代のコーラス・グループみたいな。で、これは歌詞がまた…。

藤井:「3分の2」は3人のうちの2人が残ったという意味。そうなると音も変わっていくじゃないですか。だから、新しいうちらの音楽を聴いてくださいと。“ようこそ”みたいなことを「3分の2」で言ってから、全然違う「コトノハ」が来たらいいかなって。

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