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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】楳図かずお×ダイナマイト和尚(浅草ジンタ)×増子直純(怒髪天)(2006年5月号)- 異形のアウトロー、猫目小僧が奇跡の実写映画化!

異形のアウトロー、猫目小僧が奇跡の実写映画化!

2006.05.01

漫画と映画の類似点と差異

01_ap07.jpg──楳図先生は監督を経験されたのは初めてだったんですか?

楳図:ええ、全くの初めてでしたよ。

増子:でも、漫画のコマ割りっていうのは映画と一緒ですからね。

楳図:そうなんですよ、よく言って頂けました。その通りなんです。漫画家はすでに仮の監督経験をいつもやってるようなものなんですよ。それを現実に置き換えてみただけで、実際はそんなに難しいことではないんですよね。

和尚:先生は監督業も充分にいけますよ! 映画を作るなら、小説家のような文字を書く人よりも先生のような漫画家の方が断然テンポがいいと思いますね。

増子:そうだよね。先生の漫画は、それまでの恐怖漫画と呼ばれるものにはない斬新なカット割りだったし、だからこそみんな夢中になって読み耽ったと思うんだよね。

──PVの中で、先生がお気に入りのシーンはどこですか?

楳図:やっぱり、猫の顔が水面に映ってるところかなぁ。

和尚:あれは映画のほうのカットじゃなくて、PV用に現場でこだわって撮ったんですよ。あのシーンは凄くいいですよね。

──このPVをきっかけとして、先生が今後本格的にメガホンを取れば面白い作品が続々生まれそうですね。

楳図:映画を撮ってみたい気はいつでもあるんですけど、何が何でもっていうわけでもないんですよ。そういう話もいくつか頂いてはいるんですけどね。

和尚:……なんか、先生にPVを撮って頂いた重みをだんだんと感じ始めてきたなぁ(笑)。

増子:いや、凄いことだよ? 小学生の時の自分に「楳図先生が監督やってくれるんだぞ!」なんて伝えたらブッ倒れて、それこそ「ギョエー!」だよ(笑)。

楳図:漫画と映画は別モノですけど、精神的な核になってる部分は同じなんです。ただ、表現方法として漫画は動かない、映画は動く、と。そんな単純明快な違いが大きな違いに繋がっていくんですけどね。たとえば映画なら、特にストーリーはなくても、普通に人が歩いているだけで成り立つところがあるじゃないですか? 漫画の場合、何かを拾ったり、食べたり、振り向いたりしても余り意味は出てこないんですよ。以前描いた『蝶の墓』はホラーっぽいミステリーで毎回評判が良かったんですけど、ある日編集者がやって来て「このシーンだけ反応が薄かった」って言ったのが、カー・チェイスのシーンだったんです。映画ならこういうシーンは迫力があって、一番の見せ場になるじゃないですか? それが、漫画じゃ違うんですよ。車が崖っぷちを走る同じようなシーンでも、漫画の場合はそれがドキドキに繋がらないんですよね。

和尚・増子:ああ、なるほど。

楳図:ストーリーがどのように面白いかっていうのは共通してますけどね。やっぱり僕はストーリーをキッチリ作るタイプの漫画家なので、それがちゃんと出来ていないとモヤモヤしたものがあって……。

増子:テレビでも映画でも、楳図先生には映像化してほしい作品があり過ぎますからね。朝の連ドラで『アゲイン』とかやってほしいなぁ。同じ“アゲイン”でも『三丁目の夕日』をやってる場合じゃないよ(笑)。あと、『イアラ』ですね。俺はあの作品がもう大好きで、“エピソード1”とか『スター・ウォーズ』ばりに何作も作ってほしいですね。まぁ、実写化したら凄く金が掛かりそうですけどね(笑)。

──「あしゅらの道のまん中で」のカップリング曲「猫目小僧」は、“ゲキメーション”として映像化された時の主題歌で、オリジナルは堀江美都子さんが唄っていた曲ですね。

01_ap06.jpg和尚:そうですね。先生が作詞・作曲された曲で、俺達なりのアレンジを加えて。

楳図:「あしゅらの道のまん中で」も「猫目小僧」も、聴けば聴くほどジワジワジワっと味が出てくると思いますよ。

和尚:この「猫目小僧」のカヴァーは、実はワールド・ミュージックをちょっと意識しているんですよ。

楳図:ああ、アラブ的な音階が入ってる部分があって、僕はあそこが好きですね。

和尚:アジアで生まれた映画なんだってことを曲に込めたかったんですよね。この映画がいずれ海を越えて評価されてほしいという願いを込めて、敢えてアジア的な旋律を入れてみたんです。

楳図:素晴らしい! でも、浅草ジンタの「猫目小僧」は凄くアップテンポで、最初は「とてもじゃないけど唄えないよー!」と思いましたけどね(笑)。

増子:ジンタのライヴにゲストで楳図先生を呼んで、是非この曲をやってほしいよね。先生はロック・スターでもあるから。俺は小学生の頃に蘭丸(『まことちゃん』のキャラクター)を見て、ロック・スターとはこういうもんだって教えられたんですよね(笑)。蘭丸って恰好いいんだもん、そしてアホで(笑)。あと、KISSも俺は凄く好きだったんで。

楳図:KISSはイイですよねぇ。僕もKISSのライヴは観に行きましたよ。余りライヴには行かないんですけど、KISSとランナウェイズは行きましたよ。KISSは凄く漫画的で、自分自身を絵柄にしてしまう第1号バンドかもしれませんよね。

──今日お集まり頂いたお三方は、みなさん新宿ロフトにご出演頂いているという共通点があるんですよ。楳図先生は'79年10月10日に『グワシまことちゃん』というイヴェントに楳図かずお&ラプソディー名義でご出演されてますね。

楳図:そうですね。あの頃は「ビチグソロック」とか「グワシ!! まことちゃん」とかをやって、ロックンロールのオールディーズもよくやってました。「ルート66」とか「ダイアナ」、「カレンダー・ガール」とかを英語で唄ってましたね。

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歌と演奏:浅草ジンタ with 楳図かずお/合唱:増子直純&上原子友康(怒髪天)

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