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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】サンボマスター(2006年4月号)- サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

2006.04.01

リキッドルームでやろうじゃねえか!

01_ap4.jpg平野:まあ俺は今、若いやつからあまり攻められないから生きてて楽なんだもん。それはあんたらがだらしないからだよ。

山口:違うよ。平野さんが出てかないからだよ。ロフトのステージ立たないからだよ。

平野:立ってるよ、それなりに。

山口:それなりに…(笑)。やっぱそこだよ。それなりにじゃだめなんだ。月10本やりなさいよ。俺等とツアーまわりましょうよ。リキッドルームでやろうじゃねえか!って話ですよ。

木内:やりたいことあったら、ステージに立った方がいいですよ。

山口:あと楽しい方がいい。

平野:そりゃ、楽しくなきゃ戦えないし、そんなに深刻にやるもんじゃない。君達世代だって希望はあるんでしょ?

山口:最終的なところではね。

平野:四畳半の延長かね。あなたの発想はだいたいプロレスなんだよ。四畳半から延長させて。。。

山口:違うんだよ。あなた方の世代は決めつけから入るんだよ(笑)。

平野:そうじゃないと話が進まないじゃないかよ(笑)。互いに癒しあってどうするんだよ。多分山口さん達は今プロレスをやろうとしてるんだよ。プロレスやろうとしてて四畳半を炎上させてからちゃんとリングに飛び出していこうというそんな感覚で俺は見ている。

山口:それは90年代は絶望とか言っても大丈夫だったと思うけど、玄関の前にそれが来ちゃった時にそういうわけじゃいかねえだろって思うわけです。平野さんは丘の向こうに絶望があったわけ。俺等は玄関に来ちゃってるんだもん。デリヘルみたく。チェンジとも言えないよね(笑)。とりあえずここをなんとかしようぜっていうのが今回のアルバムですよね。

後ろ向きに生きたら死んじゃうんだもん

平野:そうか「玄関前まで来ちゃっている」って凄いね。その感性が。3作目で一歩一歩前に進んでる感触持っているんだろ?

山口:今回は頑張りましたよ。

平野:あなた達の立ち位置と言うか発するメッセージは後ろ向きで生きちゃいけないよみたいなところをずっと言ってるよね。あの怒濤のようなラブソングもそうだし。

山口:後ろ向きに生きたら死んじゃうんだもん。

平野:後ろ向きに生きた方が楽な時もあるじゃん。僕は35年ロフトをやってて、ロックにはずっと関わってきたけど、10年ほど世界を放浪してて日本に帰ってきて、日本のロックに絶望させられた事が幾度もあったんだ。最近だって悲しいことがあった。ARBの実質的な解散とか。もうこいつこそ世界を変えてくれるかもしれないっていうミュージシャンにはあまり出逢えない。そうすると僕にとって音楽っていうのは、これから前進して何かやろうとか、新しい社会を想像しようとかじゃなくて、昔の愛したレコード引っ張り出しておいしく酒が飲めれば…。

山口:それは不幸だ。

平野:そうなんだよ。アメリカだったら違うじゃない。なんで日本のジジイどもはライブハウスやロックを聴かなくなっちゃったのか。

山口:僕等のライブはけっこう上の人が来るんですよ。中野サンプラザでポリスを見た以来の衝撃だって言ってきた人がいたわけ。その人も上の世代で、君ら長いインストの曲ばっかりやってくださいって言うわけ。でも、俺はそういう世代の人が来てくれるのがうれしいの。じゃあロックに絶望したあなたが、今日来て何でここまでしゃべれるの?

平野:だから、あなた達が2回程俺の琴線に触れてるわけ。フジロックのホワイトステージでのイラク戦争の愚かさを語りかけたMCと達郎さんとのインタビューと。それであなた達と話してみたいと思った。若い奴らは俺達世代に対して納得しちゃいけないだろということを自分の口で言いたかった。だってこれからの時代は君達のものだから…。

山口:で、じゃあ平野さんこれからどうするんですか?

平野:俺達は静かにステージから去る運命にあるんだよ。あとはおいしい酒を飲みたいだけ。

山口:じゃあなんで言いに来るのよ。ステージから去った人が。こんなパワーあるんだからさ。

平野:だって俺は30も年が違う人と真摯に話すことなんてほとんどないんだから。

山口:ロックンロールがあるから、そういうことができるんですって。平野さんはロックンローラー以外の何者でもないですよ。10年放浪した人の顔見たら褒めるしかないもん。だから、僕等にはやれることをやるしかないのかな。自殺は年間4万人ですもん。インナーミュージックをやりたい理由はそこ。普通の戦争だってそれぐらいでしょ?これはどうですか?

平野:自殺か、社会が病んでるっていうことでしょうね。しかも中高年が多いんでしょ?

山口:だから若者だけっていうのもないわけ。そんな病んでる中高年に去れって言うの?

平野:だけど、そういう社会に無自覚なのは若者に多い。今回の総選挙だって、「貧富の差はあってもいい」なんて言う小泉さんに入れているのは底辺の若者が多いわけでしょ。

山口:でもあのあと後悔してるって人が多いんですよ。だから十把人柄にはしたくないわけです。闘ってる人もいる。断罪するべきじゃない人もいる。それも世代論でやるべきだと思います?

平野:僕は若い世代に期待するしかないじゃんって思っているけどどうもね~。ロッカーもだけど若い世代に期待するしかないじゃん。それ以外未来は展望できない。当たり前だけど。

山口:なんで横の線でしか見ないのかな。

平野:ジジイはフットワークは悪い、頭は悪い、家族とか経済的なしがらみがあって、ホントダメなんですよ。今、自由に発言できて行動できるのは若い世代しかいないじゃん。俺達の世代に期待するのは無理。いろんなものを見た方がいい。漫画も芝居もね。お前こんな事も知らないのかって抑圧されるべきなんだと思う。知らないって言うことは犯罪的なんだからさ。

山口:そんな事はもうやってるんだから。

平野:今まで以上にあらゆることを見たり聴いたり経験したりする中で、豊富な知識や体験でもっと素晴らしい表現が膨らんでいく。これからのサンボマスターの楽曲がどう変わっていくかっていうのが現場主義に徹すれば違う新しい発想が出てくる気がする。

山口:…で、俺は平野さんと話しててひとつはあなた方の文化の中に山下洋輔トリオってのがいたでしょ?そういうのを否定したくないな。だいたい60年代の文化を平野さんは否定するわけですか?そこに矛盾を感じますけど。

平野:35年前『ダンシング古事記』でジャズの歴史変わったんだから。

山口:平野さんたちが生み出したジャズ喫茶の文化とかリスペクトしてるわけ。それを否定したくないですね。

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