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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】サンボマスター(2006年4月号)- サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

サンボマスターと平野悠対談の全てをロックンロールと呼べ!

2006.04.01

分かってねぇから歌うんだって

01_ap3.jpg山口:そこで俺が聞きたいのはこのアルバムがそんなに弱いこと歌ってるかって話ですよ。

平野:君たちは歌ってないよ。世代論の話。60のジジイと30の青春真っ只中の連中と話す機会がほとんどなくて、その世代論をね。で、あなたから真髄はコミュニケーションだなんて言われちゃうとなんか分かりきったようなこと言ってるなと。それって若い奴が言うことかよって。

山口:分かってねえから歌うんだって。ひとりぼっちだって、みんな分かってるでしょ。平野さんは一人で生きていけるの?

平野:そりゃ孤独な部分もあるけど他者の支えとか共同体とか全部あってこそ生きていけるんだよ。

山口:そこから言ってかなきゃじゃん。まずは僕と君の2人からやり直さなきゃいけないの。それは思うでしょ? その上で平野さんはどうしたいと思ってるんですか?

平野:どうしたいというよりも僕らの時代はもう終わったんだから。俺達はステージから去りたいのに。

木内:これだけエネルギーあるのに? そんなはずねえじゃん。

山口:去らないほうがいいですよ。そこからウソだ! (笑)

木内:大ウソだよ。

山口:平野さんの世代と僕等の世代って中学1年と中学3年が意外に仲いいのと一緒でわかりあえちゃうんだって。腹立たないもん。よく分かるなって思っちゃう。その下の45歳とかシラケ世代じゃないですか。80 年代意識というか。一概には言いたくないけど。一般論として。自分達ばっかいい思いしてね。その怒りはありますよ。俺等はそっちに腹立ちますよ。そういう人たちが今のシステムの原形を作っちゃってる。平野さんたちの時代アナログでしょ。俺等デジタルの弊害だもん。ネット社会とか国民がナンバリングされたりとか監視社会とか。平野さんメカに弱いでしょ?

平野:そんなことないよ。俺ちゃんとパソコンは使うしホームページ持ってるよ。

山口:ホームページ持ってるからメカに強いっていうところがもうすでに強くない証拠ですよ!!(笑)。

平野:でも、俺の世代みんな出来ない奴が多いんだから。

山口:だから対立にならないんだって。平野さんの世代じゃないようなもっと下の世代と世代対立はありますよ。

平野:まあそうかもしれない。だって俺なんか社長やったって、あんた方若い奴怖くないもん。君たちより勉強しているし。

近藤・木内:自慢かよ(笑)。

平野:でも昔大学闘争や若者の反乱があって当時の大人達や権力者が若者達を怖がった時代もあったもの。

山口:それは夢だよ。

平野:そういう時代が一瞬でもあったんだよ。

山口:一瞬だけか…。

平野:大学で教授をつるし上げてとかさ、会社では社長や経営陣をつるし上げたり…。それで組合作ったりして始めて待遇や給料が上がっていった。

山口:それはいいことなの?

平野:いいことですよ。だって、持たざる者が持てる者に対して闘えるってのは凄いことですよ。若者が唯一もてる特権かな。

山口:俺等は同じ世代とも闘ってるわけ。要は絶望的だから愛と平和を歌うんですよ。だから『絶望と欲望と男の子と女の子』っていう曲があるんですよ。自分に言ってるんだもん。「奴らの言う事が全て本当なら僕はこの世じゃ生きてはいかれねぇじゃねぇかよ」って。ここまで追いつめられてるんですよ!

平野:それ、イイゾ! なんでサンボがこんなに若い連中から受けてるんだろうって思ったけど、これはどこかに今の若い連中に通じるモノの鬱積した隙間を埋めているのかなっていう感じがあって、その隙間の中でメッセージを発信しているなっていうのがサンボじゃないかって。だってあなた達多分メインストリームじゃないだろ。この微妙な隙間の中でどれだけこのバンドがこの業界、ロック好きの少年少女を含めて音楽シーンを荒らせるか、そんな様々な世代を触発できるのかっていうのを見たいよね。

山口:だから愛と平和を恥ずかしいうちに歌ったんです。どんどん恥ずかしいことやってやるんです。人に笑われて、最高じゃねえかって感じ。

平野:いいな~。そのエネルギーってどこから出て来るんだろうね。

山口:一人じゃ生きていけないから一個ぐらいはあいつとなんか分かったほうが生きる勇気になるっていうギリギリの気持ちかな。コミュニケーションって言ったら平野さんたちの世代はやっぱり凄いわけ。飛距離が八千里ぐらいいっちゃうわけ。俺等6センチぐらいなわけ、コミュニケーションって言ったとき。それぐらい切迫してるの。そういう世の中にしたのはあなたたちなんだけど、あなたたちを否定するつもりもないわけよ。

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