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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】LINK(2006年2月号)- もっと強くなるから 素晴らしい世界見せるから

もっと強くなるから 素晴らしい世界見せるから

2006.02.01

あのGREEN DAYのビリー・ジョーに実力を認められ、彼自身のレーベル"ADELINE records"から全世界リリースを経験するなど国内外で熱い注目を浴びる生粋のライヴ・バンド、LINKが、遂に満を持してのメジャー進出を果たした。その第1弾となるマキシ・シングル『素晴らしい世界』では、柳井良太(vo, g)のハスキー・ヴォイスと小森 誠(vo, b)のハイトーン・ヴォイスから生まれるツインヴォーカル・スタイルの妙、精彩を放つ美しいメロディと凄まじくエッジの効いた怒濤のサウンドは更にスケール・アップ、山上教経(ds, cho)の叩き出すドラムから生まれるグルーヴはより強度を増して、バンドの進化は留まることを知らない。晴れてメジャーの大舞台に立ったLINKの雄途、お楽しみはこれからだ!(interview:椎名宗之)

斜めに構えず、真っ正面から人と向き合いたい

12_ap01.jpg──昨年3月に4thアルバム『GOOD-BYE UNDERWORLD』をリリースして我がLOFT RECORDS/TIGER HOLE CHOICEを卒業して、早くももう1年近くが経ちますね。

柳井良太(vo, g):ホントあっと言う間ですよね。最初に出したシングルから6年間ずっとTIGER HOLEから出させてもらって、プロデューサーのISHIKAWAさんにレコーディングのイロハを教えてもらって…。僕達に一番影響を与えた人と言っても過言じゃないですからね。

──ついでに酒の呑み方まで存分に教わって(笑)。

柳井:そうですね(笑)。19歳の頃から公私共々ホントお世話になりっぱなしで。

──そして、自身の新レーベル“PEDIGREE RECORDS”を立ち上げて遂にメジャー・フィールドへと進出されたわけですが、以前からメジャーで勝負したい気持ちはあったんですか?

小森誠(vo, b):やっぱり、一人でも多くの人に自分達の音楽を届けたいっていう気持ちがずっとありましたからね。

──“PEDIGREE”って、「血統の良い」とか「名門」という意味ですよね。

小森:ええ。僕がネーミングを考えたんですよ。“PEDIGREE”っていう音の響きに凄くそそられるものがあって、十代の頃からいい言葉だなと思ってたんです。

柳井:自分達でレーベルを作ることによって、ひとつのバンドとして周りには決して流されないスタイルで活動していきたいと思ったんですよ。対バンと和気藹々とやるライヴも確かに楽しいんですけど、それだけじゃなくて、バンドと聴いてくれる人達とのサシのやり取りをもっとしていきたいと強く思うようになって。責任感もグッと増したし、後にも先にもこのバンドしかないっていう状況に今はなってますからね。

──こうしてメジャーの世界に身を置くことになって、やはり状況はガラッと変わりましたか?

柳井:メジャーっていうものに対して、以前は凄く警戒心があったんですよね。確かに宣伝面ではインディーと違って効果があるんだろうけど、その一方でバンドとしてどこまで自由に活動していけるのかという懸念もあって。でも、今のR and Cとは契約に至るまでにスタッフと長い時間を掛けて話し合いができたんです。ライヴは絶対自分達で組ませてくれとか、リリースに関しても自分達の出したい曲しか出さないとか。そうやって自由に楽しくやっていけるスタンスをメジャーの流通に乗せられる場所があったら凄くいいなと昔から思っていて、R and Cが「それでいいよ」と言ってくれて話がまとまったんです。だから環境としては今とても恵まれてますね。

12_ap04.jpg──『GOLD FIELD e.p. plus』を初めて聴いた時もサウンドの質感が変わったなと思ったんですけど、メジャー第1弾となる4曲入りマキシ・シングル『素晴らしい世界』はそれよりも更に突き抜けた感じがありますよね。タイトル・トラックに顕著ですが、一曲一曲のエッジがより生々しく際立ちながらも、曲の持つ世界観が凄まじくスケール感を増したな、と。

柳井:勢いを前面に出したいというのはありましたね。レコーディング・スタジオもインディー時代に比べてちょっといい所でやれるようになったし、音作りに時間を掛けられるようにもなったんですよ。そんな環境で、自分の頭の中で鳴っている音をパーフェクトに出せるようになりました。そのぶん音が前に出るようになったんですよ。端から端までギターの音が鳴っていたら大きな音になるってわけじゃなくて、ドラム、ベース、ギター、ヴォーカルと、それぞれの役割がちゃんとある。その4つの音がひとつの塊となった時に最大の音量が出るような音作りを目指したんです。

──「素晴らしい世界」は、柳井さんの今の気持ちそのままをストレートに表した曲だとか。

柳井:はい。逆説的な、皮肉を込めたタイトルでは決してなくて、今まで発表してきた曲の中でも一番ストレートかもしれませんね。今までは皮肉っぽいことを唄ってみたりもしたんですけど、それだと本質的な部分が伝わらないなと思うことが結構あって。そういうタイプの曲を否定するつもりはないんですけど、今回はまっすぐやりたかったんですよ。

──『GOOD-BYE UNDERWORLD』を作った時の、ダメな方向の自分の世界にさよならする、自分の中の世界に引きこもりっぱなしじゃダメなんだというテーマと地続きなのかなと思ったんですが。

柳井:うん、テーマ自体は似てますね。ただ、『GOOD-BYE UNDERWORLD』からちょっと前へ進んだ感じはあるかな。ライヴでの人と人との繋がりとかやり取りを私生活でも採り入れることができないかなと思ったんですよ。斜めに構えず、真っ正面から人と向き合うことが大事って言うか。そういうことがちゃんとできたら凄く楽しく毎日を過ごせると思ったし、それじゃなきゃダメだなって考えるようになったんですよね。

──壮大な音のうねりを感じさせる曲ですけど、曲自体は凄くシンプルですよね。でも、とてつもなく力強い。

柳井:ええ。難しいことも特にやってないし、Aメロとサビだけの曲だし。

──そういうまっすぐさが出るようになったのは、2003年のアメリカ・ツアーを経験して以降なのかなと思うんですが如何でしょう?

柳井:かもしれませんね。あのツアーをやってる時は無意識で、いいライヴもできて単純に楽しかったんですけど。向こうの人は表現が凄くストレートで、日本に帰ってきて思ったのは、そういうアメリカ人的なまっすぐさは余りないのかな、と。そんな経験も反映したのか、今はとにかくありのままの気持ちを包み隠さずまっすぐに伝えたいっていうモードなんです。

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