東京アンダーグラウンドシーンを支えてきたONE TRACK MIND 2ndアルバム『THE WORLD』リリース。SKA、REGGEA、PUNK、ラスティック、MOD、etc何でもごじゃれのワントラ風チャンプル・サウンド。
今回インタビュアーとなっていただいたのは、プラスワンで行われている『東京ロンドン化計画』の中心人物ともなるINAMI氏。『THE WORLD』の中では『クレイジー173』という楽曲でも登場しています。そんなわけでかなり近い目線からお話を聞くことができた今回のインタビュー。時間を忘れてしまうほど、楽しくて内容の濃いものとなりました。(interview:INAMI / 構成:やまだともこ)
やっぱり歌うとこここしかないです
──前回のアルバム『What Are You Bitching』から5年。前作からの変化は自分達的にはどんなかんじ?
BAGI: ZAKOが1回いなくなったんだっけ。
──そうだったね。ZAKOがいなくなって、聞いてる方としてもだいぶ変わったところがある気がするんだよね。幅が広くなったとか。
ZAKO:幅が広くなったよ、確かに。
──じゃあ今回はどういうところを…表現しようと…思ったの…かな? (笑)
二人 :(笑)
ZAKO:絶対まともなインタビューにならねーよ。(笑)
──この人選ね、Rooftopが間違ってる。オレができるわけがないもん(笑)。
BAGI: そういう感じで良いんじゃない? まともなインタビューじゃ面白く無いってことでしょ? (気を取り直して)
──ZAKOはなんで戻ってきたの?
BAGI: (笑)他のインタビューじゃ聞かないわな。
ZAKO:やろうと思ってたことがそれまで自分なりに100%出し切れて無かったっていうのがあって、みんながいいって言ってくれるんだったらもう1回思いっきりやってみたいなって。
──BAGIさんは受け入れる立場的にはどうだったの?
BAGI:ZAKOが辞めた後、2度とボーカルなんて入れるかと、インストでやってやろうじゃねえかと話し合ってたんだよ。他のボーカル入れるぐらいだったらいないほうがいいっていうのは全員一致の意見で。んで、「禁じ手」にしてたアレンジなど開放することにしたんだわ。歌がない分よりキャッチーにダンサブルにするっていうのは、あえてわざとやってなかったことをこれから出していこう。シンセも試したしいろんなアプローチ試してたし。そしたらロフトプラスワンにいたときZAKOが「横座っていいですか? 」って「オレやっぱり歌うとこここしかないです。」って話していたら泣き出してたんだよ。そしたら横山さん(プラスワン店長)がうんうん頷きながら俺らの前にビール置いて、うんうん言いながら消えてくし(笑)。すごいしゃべってるからビールが凄い勢いで無くなるんだけど、そしたら頼んでないのに、横山さんがうんうん頷きながらビール置いてくれてさ(笑)話したのがプラスワンだから良かったよね。あと、帰ってきたからじゃないけど、逆に歌のありがたみもわかったよね。
──演奏のレベルもかなり上がったよね。
BAGI:かもしんない。特にホーンズは個人練とかアンサンブルの練習をすごいしてたみたいだし、リズム部隊としては、ウッドベースとの絡み「禁じ手」出した分すごい考えてたし、ZAKOが戻ってきて加入したのがアサくん(AJ/g)っていうのがすごい大きいね。ヒロトと逆のタイプのギタリストが来だし。
──アサくん(AJ)とMAITA(ba)はどうですか?
BAGI: MAITAもウエブで募集かけたら来て、何度か練習来てほかのバンドもやってたんだけど、ワントラに専念するって腹くくった頃から成長早かったね。プレイヤーとして一番伸びたのがMAITAです。
──アサくんはメジャーでやってたからぶつかることもあると思うけど、プラスになったことが多いんじゃないか。
ZAKO: ぶつかることはないけど、細かいのがすごい助かる。オレも細かくやりたいからそれが。
周の仲間の力でいいものが出来た
──ところで8月17日に『THE WORLD』っていうアルバム出たんだけど、前回に比べていろんな音が入ってるよね。
ZAKO:キーボードとかもいろいろ入ってオモシロイと思う。
──『チャンネルQ(M-2)』はワントラらしさを出してると思う。どんなかんじでできた曲なの?
BAGI:いろいろやってみたいっていう禁じ手の中の一つ。まぁそういったリズム手法を試してみたかった。あとやるんだったらシングルカット前提ぐらいのアッパーでハッピーチューンにしたかった。んで、作ったイメージが『カックラキン大放送』。あの70年代後半から80年代のドラマというかバラエティーっぽい感じで、夕方で晩ご飯時の「ごはんよ~」って言われている雰囲気をやりたかった。(笑)
──それぞれ思い入れのある曲は?
ZAKO:1個っていうのは難しいんだけど、けっこうやりきった感はある。『クレイジー173(M-7)』はこういう曲をやるバンドがいないかなっていうのもあるし。
──今回アルバムの『チャンネルQ』と『PLUS ONE4:28(M-4)』と『クレイジー173』は聞いたことあるような名前があるんですけど。
BAGI:めちゃめちゃ影響受けてるからね。それは否定できない。
──この中でも『PLUS ONE4:28』っていう名前は、プラスワンでワントラやロンドン化計画を体験した人両方ともわかってくれるんじゃないか。
BAGI:I 本当、変なイベントだよね。明け方4時半ぐらいにそろそろ締めかなって時に、9割以上のお客さんが「バッチ来いよー! 」って盛り上がってるじゃん。
ZAKO:オレは眠いけど。
──この名前とトータルで聞いたときに「わかるわー」ってなったよ。それで最後に『マーライオン(M-11)』でしょ。
BAGI:I 『マーライオン』はすごくビリーな曲だよね。出来てみたら有名なサイコビリーの曲に似てた。やっぱそういう意味ではビリーに対するリスペクトっていうのは出てるんだなと。
──この中で『BAGI CORE(M-6)』だけぶっとんでる気がするんだけど、どうしてもやりたかったの?
BAGI:やっぱ90年代初期の日本のハードコアとかミクスチャーがすごい初期衝動だったから。これは演っておかなきゃいけないなって。スカコアの前のハードコアパンクmeetsスカみたいなものを1分15秒以内で終わらせる。そこにアホさ加減全開のホーンが入ってると、よりおばかサウンドになる。ホーンがなしだったらすごいハードコアになるけど、ホーンがきちんとはまっていると思う。だからぜひ入れなきゃって。すごい頭の悪そうな映画とかの途中で流れそうな。そんなノリで。全てにおいてリスペクトだよ。
──今回ジャケはどなたが?
BAGI: 竹内っていう昔からの知り合いで、Tシャツとかも彼の作品。今回はいよいよジャケを作ってもらったのさ。写真は柴田エリちゃん。今回は昔からの知り合いが多大な協力をしてくれている。ラストラムもそうだし、スクールバスは腐れ縁でスクールバスナイト出演するし、ロフト・シェルターもそうだし、ロンドン化もそうだし、レコード店も、このアルバムは5年ぶりに出すから忘れ去られている土地ももいっぱいあったと思うけど、すごく展開してくれてるし、長いことやっててありがたいなって思う。すごい感謝。いい巡り合わせがいいタイミングで来てる。来年10周年迎えるからいい形に持って行きたい。
──レコーディングはどうでした?
BAGI:良かったよー。ラストラムにわがまま言ってエンジニア連れて来ちゃいました。今まではおまかせだったんだけど、KOOLOGIを録ったエンジニアの古川さんがすごく良くて、今までの中で一番理想的なドラムにとってくれた人。ZAKOもKOOLOGIの時に歌い出してからマイク2、3本変えたもんね。すごく徹底してくれる。俺らがレコーディングするって言ったらマイク持ち込みで、太鼓判押してマイク使ったもんね。あとは、アサくんか経験がある人だから。音作りがすごいスムーズだった。スケジュールも予定通りいったしね。
──レコーディングはいつぐらいから?
BAGI:本チャンのレコーディングがゴールデンウイークで、その前に1日でプリプロやってバランスみて。演奏の細かいのも考え直して。プリプロも出来たし周りの仲間の力でいいものが出来ましたよ。
──いい人達に恵まれてますよね。
BAGI:うちは全てにおいてそれがプラスの方向に出た。リスナーの人も聞いてくれてるし。ラストラムも話早かったしね。アーティスト大事にしてくれるし。そういう意味では人に恵まれた。