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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】THEATRE BROOK(2005年6月号)- Reincarnation ~巡り行く愛の輪廻と時の車輪~

Reincarnation ~巡り行く愛の輪廻と時の車輪~

2005.06.01

10代先の子孫にバカにされるようなことはしたくない

──音楽で表現するということですよね。「欲望の轍」で歌われてる通り、「正しいと思うなら遠慮しなくていい」と、自分もそう思いますし、「無責任な親になりたくない」と歌われてるのも、まったくそう思います。
 
タイジ:うん。ミュージシャンやからどうこうじゃないよ、もう。ひとりの人間としての意見だもん。俺、インディアンの言葉をまとめてる本とか好きでよく読むんですけど、その中にこういうのがあって。「お前の10代先の子孫は今、足元にある土や、川を流れてる水や、そういうところにいる」と。実際そうですよね? 土からできる食べ物を食べて、川から流れてくる水を飲んで子孫が生まれてくわけだし。で、「お前の子孫が、お前の足元からお前のことを見ているぞ」って言うわけ。ほんまそのとおりやん? って考えたら、10代先の子孫にバカにされるようなことはしたくないと思うんですよね。後になってバカにされそうな時代やから。
 
──20世紀が終わる時、いろんな特集番組で「20世紀は戦争の時代だった」と言われてて、あぁそうかと思って。でも、21世紀に入っても戦争は起きてしまいました。
 
タイジ:ですね。愚行の時代ですよ。
 
──さっきのインディアンのお話は、タイトルの“Reincarnation”につながりますね。
 
タイジ:うん。そんな意味もあって、そのタイトルになったわけですけどね。
 
──そういうメッセージが根底に流れながらも、「目覚めのLOVE SONG」のタイジさんのファルセットはとてもキレイで。エンディングに向かう「幸せと踊る時」「Mama」あたりは、飾らない生成りのバンドの姿が感じられます。
 
タイジ:「Mama」とか、歌詞が結構いいですよね。これ歌うとクスクス笑われるんですけどね、最初の4行ぐらいで(笑)。笑うとこと違うし、俺はもの凄い素直に言ってるつもりなんですけど。
 
──もの凄く素直に書かれてますよね。「くたびれた体に/ムチを打つ/午前2時/37才」。
 
タイジ:(笑)相当、素直ですよ。でも、30代が素直に言ったら笑われるんですよ。30代っつってもほとんど40手前ですからね。普通 の人は年齢的にもこう、社会的地位もあるわけやからね。40手前は大変ですよ(笑)。
 
──表現が曖昧じゃないですよね。攻撃性もストレートですし、自分のことをさらけ出す時もストレートで。
 
タイジ:そうね。あんまり曖昧な感情で表現したくなかったタイミングかもね。曖昧なところで共感を得たいとは思わなくて、ハッキリしたところで共感を持ちたいですよね。「何となくイヤだよね」とか、「何となく嬉しいよね」とかいうんじゃなく、「これはゼッタイ気持ちイイでしょ?」「絶対ダメでしょ」って共感を覚えたいですよね。まぁでも、これでも相当、詞は書き直してるんすよ。「ここまでいくとさすがにクレームくるな」「この人にも家族いるしな」って(笑)。
 
──最初に、「30代後半でロックをやる人間として、責任を全うしたい」と言われましたが、自分たちの存在や音が後輩バンドに与える影響力みたいなものも意識されてるのかなぁと思ったんですが。
 
タイジ:あぁ、後輩とかももちろんいるもんね。たとえばね、世の中に「これは手抜きだろ?」って思うような音楽は結構あって。で、誰がやってんねんって見てみたら、「うわ、友達やん。お前何をやってんねや!?」みたいなこともあって。でも、いちギタリスト、いち作曲家、アレンジャーってとこで自分をとらえたとして、そういうふうには思われたくないですよね。先輩にしても後輩にしても、「タイジのやる作品はクオリティが高い」ってふうになりたいし、「タイジに頼めば間違いなくいいもんができる」っていうふうになりたい。たぶん、俺の出す音楽、作品のクオリティっていうのは、「言いたいことを言う」って感性があって成り立ってるものなんだけど、でもテクニックは凄い重要やと思ってるのね。でも、テクニックがあるだけではカッコよくはならない。でも、感性があるだけでもカッコイイ音楽にはならない。しかも、いつもカッコイイものでもの凄いクオリティが高いって、相当至難の業じゃないですか?
 
──確かにその通りだと思います。
 
タイジ:俺が若いバンドに言えることがあるとすれば、「俺にタメ口きくな」ってことかな。俺のやってることは、お前には100年早いんじゃ、ボケ! っていう(笑)。
 
──THEATRE BROOKはそれぐらいのことをやってきている、と。
 
タイジ:うん。俺みたいなキャラクターやから、みんな普通に話しかけてくるじゃないですか? 別にタメ口きいてきたって普通に“ヨシヨシ”って話はするけど、俺はCharとか清志郎さんとか、石田長生さんとか凄い先輩たちに絶対にタメ口きけねぇし、尊敬してるしさ。まぁ酔っぱらってタメ口きいてしまう時もあるけど(苦笑)。それってさ、売れてる・売れてないとかじゃないやん?
 
──その人自身に対して敬意を抱いているということですよね。
 
タイジ:そういうのはあるっすよね。最近の傾向として、若いヤツってタメ口きくやん?(笑) そういうヤツに、「THEATRE BROOKをナメたらコロす!(笑)」と言っておこう。
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