──最初の上京というと？

 

KENZI：実はオレ、二回上京してるんだよ。最初は、そのイギリスっていうバンドの三人で出てきたんだけど、ドラムのヤツが上京したその日にトンズラしちゃったのね。東京では三人で一緒に住む予定だったんだけど、二人になっちゃったんで、家賃払う金もないし、仕方ないから札幌に戻ったんだよ。それから札幌で「LEOSTAR8」っていうシングルを作って、初代KENZIのギターの佐野俊樹とベースの上田ケンジを連れて再び東京に出てきたんだよ。…その上田が、いまやあゆのアレンジャーだからねぇ。

 

──その時にケンヂさんに連れてこられなかったら…。

 

KENZI：その上田も今回レコーディングに参加してくれてるからね。嬉しいよ。

 

──当時のスマ・ロ子としては音源は出してなかったんですか。

 

KENZI：一応、シングル盤を一枚出してたんだけど、それは企画もので漫画のイメージソングとかだったんだよ。だから、曲とアレンジはスマ・ロ子だったんだけど、詞はオレじゃなかったの。まあ、それは子供ながらに騙されながらやったんだけど(笑)。それ以外にはミルクのやってた喫茶店にカセット置いてもらったりとかはあったけど、ちゃんとした形で出したのはないんだよね。

 

──あ、そうなんですか。ボクもスマ・ロ子っていう名前だけはすごく聞いたことがあったんですけど、音源も出していないのに名前が残ってるっていうのはすごいですよね。

 

KENZI：オレが結構「スマ・ロ子、スマ・ロ子」って言ってるから、名前は知ってる人が多いと思うけど、実際に音を聴いたことがある人はすごい少ないんじゃないかな。ホント、伝説のバンドだよ。だから、今回が初のスタジオレコーディングだからね。しかも、ものすごいメンバーでやれたんで、嬉しかったな。

 

──参加したメンバーは誰なんですか。

 

KENZI：今回、スマ・ロ子BABIESっていう名前でやってるんだけど、バッキングボーカルにJIG HEADのRYOTA、ベースが元KENZI&THE TRIPSのJUN GRAYと上田ケンジ、あと若手からMO'SOME TONEBENDERのTAKEI、ギターがLAUGHIN'NOSEのKASUGAとSAのNAOKI、ドラムがケントリのMOH-CHAN…このメンバーでやったんだけど、今回は特にNAOKIとKASUGAがすごい協力してくれたんだよ。みんな忙しい人だからスケジュールどうなるかなって思ってたんだけど、ちょうどみんな空いてて、練習とかレコーディングとか、すごいスムーズに行ったんだよ。NAOKIなんか、録りからミックスダウンまでほとんど来てくれたよ。たまたまSAのツアーの合間だったこともあるし、今SAとラフィンで一緒にツアー廻ってたりするんで、NAOKIとKASUGAの空き日が重なってたりしてね、これはついてたね。

 

──スマ・ロ子をやろうっていうアイディアは元もとあったわけですけど、このメンバーを選んだ基準っていうのは何だったんですか。

 

KENZI：純粋に一緒にやりたかったメンバーなんだよね。今回のアルバムを聴いてもらえばわかると思うけど、スマ・ロ子のサウンドっていうのはモロ初期パンなんだよ。だったら、このメンツしかいないでしょっていう感じだよね。それが上手くハマッたというか、オレのイメージ以上にみんなやってくれたよね。ホントに素晴らしい出来だと思うよ。

 

──曲は、当時のものと比べて、アレンジを変えたりしているんですか。

 

KENZI：ほとんどいじくってないよ。曲も同じだし、アレンジも昔のまんまだから。そこにそれぞれの味を入れてもらったっていう感じだね。

 

──作ったのは20年以上前の曲ばっかりですけど、当時から曲の完成度は高かったってことなんですかね。

 

KENZI：ああ、それはみんな言ってくれるよ、嬉しいね。よく高校生でこんな曲やってたねって言われるんだよ。自分で言うのもなんだけど、全部いい曲だよ。録る前は、20年以上も前の曲だから、今やったら古いのかなって思ってたんだけど、実際に録ってみたら全然そういうのを感じなかったね。今回スマ・ロ子をやるっていうのは挑戦でもあるんだよ。今、オレは40才なんだけど、40才にして10代の頃のKENZIへの挑戦っていう。当時はとにかくものすごいパワーでやってたから、今でもそういうことが出来るかなって。結果的にはどっこいどっこいの物は出来たと思うよ。

 

──当時はイキオイ先行でやっていたものを、今どこまでできるか。

 

KENZI：うん、イキオイのみだったからね。でも今回もそれくらいのパワーは出せてると思うよ。

 

──曲ってちゃんと覚えてましたか。

 

KENZI：曲によって一カ所、二カ所、どうしても思い出せないのがあって、一応、当時の音がテープで残ってたんだけど、それ聴いても何言ってるかわかんないんだよ(笑)。歌詞カードが残ってるわけでもないから。仕方ないから当時仕切ってもらってたミルクっていうところに、電話かけて聞いてみたりしてさ(笑)

 

──ケントリ、ソロ時代…とすごい数の曲があるわけですけど、その中でも最初期に作ったスマ・ロ子の曲たちへの思い入れって強いもんですか。

 

KENZI：やっぱり濃い思い入れがあるよね。この中からも「Ｒ＆Ｒなんてクソくらえ」「マブ達」「ヘベレ ヘベレ ヘベレケ」なんかは詞やアレンジを変えてケントリでもやってたりもするからね。でも、まあ常に今やってる事が一番だと思ってるけど。常に今、今のオレなんだよね。

 

──常に一番新しく作った曲が一番好き、みたいな。

 

KENZI：そうだね。ただ、今回のアルバムに関しては、昔の曲をやってはいるけど、あんまりセルフ・カバーっていう気持ちじゃなくって、ニューアルバムを作ったっていう気持ちがあるけどね。

 

──そして、そのスマ・ロ子のライブが12月の「クソッたれナイト2DAYSスペシャル」であるわけですけど。ホントにスペシャルな内容ですよね。

 

KENZI：うん。「クソッたれナイト」というイベントを二年間やって来て、そのスペシャルということで今回２デイズでやらせてもらうんだけど、とりあえず一日目はスマ・ロ子BABIES。オレとNAOKIとKASUGAとJUN GRAYとMOH-CHANというメンバーで、一回きりの復活ライブっていう事でね。「ライブやろう」って言ったら、みんな快く引き受けてくれたんだよ。色んな意味でプレッシャーあるだけに楽しみだよね。スマ・ロ子のライブを見たことある人なんてほとんどいないだろうから、この日のライブが証明になるからね。

 

──そして二日目はKENZI&THE TRIPSですね。

 

KENZI：こういう時期なのでサポートをギターの古市コ－タロ－(THE COLLECTORS)と、ベースのウエノコウジ(Radio Caroline)に頼んでのライブなんだけど、むしろこのメンバーでケントリがどういう音になるのかっていうのはオレ自身も楽しみだよね。フロント両サイドがすごい身長高いから、オレ見えないんじゃないかな(笑)。両日とも、こりゃイイ物が出来るよ。がんばらなきゃね。とにかくどっちも新しいモノが見れると思うんで、お客さんも楽しめると思うよ。もう祭りだからね、とことん楽しんでいって欲しいね。