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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】URCHIN FARM(2004年11月号)- RとLのスピーカーから放たれる一撃必殺の虹色メロディ

RとLのスピーカーから放たれる一撃必殺の虹色メロディ  

2004.11.01

ウニ(=URCHIN)の外観は刺々しいが、中身はトロトロしていてしかも美味、海の幸としては最高級の食材である。その上、人によっては好みも分かれる。そんな二律背反なヒネクレ具合と反則的なまでのポップ感に充ち満ちた刺激的なバンド、URCHIN FARM。「いいメロディを作らせたら絶対に負けない」というMORO(G, Cho)の言葉は今秋全国発売される『RainbowL+1』が実証している。偉大なるアマチュアリズムと天性のポップ・センスを兼ね備えたこの脅威の新進気鋭バンド、かなり高水準なポップ・ソングのストックもすでに大量 にあるそうなので、今後の活躍が掛け値なしに楽しみだ。(interview:椎名宗之)

“メロの良さ”だけは絶対に外せない

──“URCHIN FARM”の由来を改めて訊かせて下さい。
 
矢沢壮太(SOTA:Vo, G):URCHIN=ウニ、FARM=養殖で、一言で言えば“ウニの養殖”っていう(笑)。大学のサークルで初めてライヴに出る時に、バンド名を付けなきゃいけないって話になって決めたんですよ。“パンクっぽい動物がイイよなぁ”と思ってて、辞書を片手に刺々しい動物をいろいろ考えて…それで“ウニ”にしようと。
 
──“ハリネズミ”とかは候補になかったですか?
 
SOTA:その時はもう、CAPTAIN HEDGEHOGが先にいましたから。最初は“バフンウニ”にしようと思って辞書を調べたら“horse shit urchin”って書いてあって、これはシマらないなぁと(笑)。その頃は楽器を始めて未だ間がなくて、バンド名を考えるなんてさっぱり頭になかったんですよ。
 
──プロフィールによると、「'99年4月16日、それぞれが初めて楽器を手にした夜に結成」ってことですから、音楽を始めたのは割と遅咲きなほうですよね。
 
師崎洋平(MORO:G, Cho):中高時代はサッカーに全エネルギーを使ってましたからね。特に僕はレギュラーだったんで(笑)。ドラムの(森下)哲也['01年に初代ドラマーに替わり加入]以外は皆そんな感じなんですよ。音楽は勿論好きで聴いてましたけど、まさか自分自身がやるなんて思いもつかなかったですから。
 
SOTA:元々大学でハイスタ(Hi-STANDARD)のコピーがやりたいと思って音楽サークルに入ったんですけど、そのサークルのテーマが作詞・作曲だったんですよ(笑)。入って1年間くらいはコピーをやり続けて、徐々にオリジナルを書き溜めていった感じですね。
 
MORO:大学2年の時に、「オリジナルをやらないとライヴに出させないぞ!」って先輩から言われるようになって(苦笑)。だから最初は、強制的にオリジナル曲を作らされたんですよね。
 
SOTA:それから都内のライヴハウスを中心にライヴを徐々にやるようになって、デモテープを物販で売ったり、下北のハイラインレコーズにちょっと置かせてもらったりして。
 
──それが昨年、初のフル音源『RainbowL』を渋谷タワーレコーズ、熊谷モルタルレコード、下北沢ハイラインレコーズで限定リリースして、渋谷のタワーではいきなりインディーズ・チャートの6位 を記録するヒットとなって。今回そのリミックス盤が『RainbowL+1』として全国発売されるわけですけど、バンドを始めて僅か4年で、ここまでポップの核を衝いた極上のメロディを幾つも生み出したのがとにかく脅威ですよね。
 
SOTA:皆が唄ってくれて、なおかつ自分達も楽しい歌を…っていうのが初めから念頭にありましたからね。
 
MORO:高校の時はマニアックな音楽は聴かずに、ヒットチャートの上位 を占めるような曲を追っかけてるようなところがあって。歌がきっちり通っていて、いわゆる名曲と呼ばれるような歌が大好きだったんです。入口がそこですから、自分達でオリジナルを作るようになった時点から“メロがいい”っていうのをまず第一に考えてるんですよ。そこだけは絶対に外せませんね。『RainbowL+1』に収めた曲には大学2年の時に作ったのもありますけど、ベースがちょっと入ったり、スピードが早くなっていたり、微妙に変化してるんです。
 
──曲は生き物だから、ライヴでやっていくうちに余分なものが徐々に削ぎ落とされてもいくでしょうし。
 
MORO:そうですね。ただ、絶対にアレンジは変えないっていうこだわりがあるんですよ。初めて曲を作った時は、得体も知れない、訳も判らない勢いがその曲には宿ってるじゃないですか? それは時間を経て今の自分達には出せない部分もあるので、曲を生み出した時の初期衝動とか、そういうところは大事にしてますね。
 
──この『RainbowL+1』を聴いていると、“ポップでキャッチー”という常套句はまさにURCHIN FARMの為にあると断言したくなりますね。冒頭の「Candy」からPVにもなった「Melody」、「I wish」…XTCじゃないけど、“THIS IS POP”と言う他ない一撃必殺のナンバーがこれでもか! とばかりに凝縮されていて。
 
MORO:このアルバムに入ってる曲は、とにかく自分達が作っていいと思ったものだけを集めた感じなんですよ。ピッチャーに喩えて言えば、ストライクを狙い澄ましたわけではないけれど、ガーッと投げたら一番投げたいところにボールがキャッチャーミットにガッチリ届いたっていうか。自分が生まれて初めて書いた曲とかも入っていて…でも今振り返ると、“作曲なんてまるでやったことのない人間がよくこんなフレーズを思い付いたなぁ”と自分でも思いますね(笑)。
 
SOTA:最初に『RainbowL』として完成した時は“イイのが出来たぞ!”って思ってたんですけど、よく聴き直すと、本来抱いていた曲のイメージと実際の音の違いを大きく感じるようになって。で、全国発売が決まった時に、リミックス盤として自分達が納得する作品に仕上げたいと思ったんです。
 
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