Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】URCHIN FARM(2004年11月号)- RとLのスピーカーから放たれる一撃必殺の虹色メロディ

RとLのスピーカーから放たれる一撃必殺の虹色メロディ  

2004.11.01

5年間のすべてが凝縮された『RainbowL+1』

──リミックスに際して気に留めたところは?
 
SOTA:アルバムを作った時にあった勢いをどう取り戻すか、っていうか。元の『RainbowL』はキレイな感じにまとまりすぎちゃってたんで、もっと荒々しくてギターの勢いがガーッと出てて、でも歌がしっかりと伝わるようにしたかったんですよ。
 
──元の録り音は直しようがないから、お色直しをするにもちゃんと意図を理解してくれるエンジニアがいないと難しい作業ですよね。
 
MORO:そうですね。『RainbowL』を出してからほぼ1年間聴き続けてきて、その1年の間に得たものが凄く大きかったんですよ。初めてツアーも廻ったし、自主企画のライヴもあったり、大きい会場でやる機会も増えて…バンドとしても個人としても、凄く意味のある経験を一杯させてもらって、そんな頃に自分達の音源についてより真剣に考えることが多くなって。周りの意見を聞いても、“普通 だよね”っていうのが多かったんです。“悪くはないんだけど、いい部分がうまく出し切れてない”とか。だから今回は早い曲ならギターをガンガン前面 に出して、アタックが命! みたいな感じにしたり。元の『RainbowL』は収録した7曲がどれも同じようなイメージだったんですけど、今回のリミックスでは1曲ごとにバランスを多少変えたり、微妙なニュアンスの違いを込めることができたと思いますね。その結果 、緩急の付いた、本当に納得の行く1枚になりました。
 
──今回の『RainbowL+1』にはボーナス・トラックとして77曲目に(笑)「Past Time」という曲が収められていて、遊び心も充分にあり。
 
SOTA:前に作ったデモ盤にあった曲を引っ張ってきて、さらにリミックスしたんです。元は録り音もミックスも全然違うんですけど、『RainbowL』の7曲に巧く合うような音作りで…ってエンジニアさんに難しいお願いをして(笑)。
 
MORO:録り音は直しようもないっていう、ある意味通 常のレコーディングよりも困難な作業だったんですけど、この『RainbowL+1』に関しては凄く貴重な経験をさせてもらったと思ってるんです。4年前に作った曲も収録されてるし、音自体は去年録ったものだし、ボーナス・トラックの『Past Time』は一昨年録ったもので、リミックスは今の自分達の感性まで反映できているし…これまでのURCHIN FARMの変遷がすべて凝縮された、集大成的なものに仕上がってますからね。
 
──ジャケットのアートワークも、URCHIN FARMの奏でる7色のポップ・ソングに相応しいイラストに彩られて。
 
SOTA:ジャケットを含めて、いい意味で一新していきたいっていうのがあったんで。MOROがデザイナーの本みたいなのをパラパラめくってたら“この人がイイ!”って目に留まって。イラストレーターの山田ノブオさんとは全く面識がなくて、オッケーが出るとは最初全然思わなかったんですけど、お願いしたら快諾してもらって、ラッキーでしたね。僕達の音楽も気に入ってもらったし。
 
MORO:山田さんの描くイラストは、凄く今っぽいカラフルさなんですよ。一癖も二癖もあるような暗い色を使ってるんだけど、見た目が凄く明るい。外見は刺々しいけど中身はトロッとしてるウニ…つまりURCHIN FARMのテイストに凄く近いものを感じたんですよね。かなり満足してますね。
 
──いろんなものが一新されるなかで、アー写も随分と小綺麗になりましたよね(笑)。
 
MORO:真実はライヴにしかないですから!(笑) ライヴではあんな小綺麗な恰好もまずしてないし、とにかくライヴに来てくれよ! と(笑)。
 
──URCHIN FARMのライヴは音源同様にポップでカラフルで楽しくて、見応えありますよね。お客さんが本当にイイ顔して弾けていて、そんなお客さん以上にメンバーも凄く楽しんでプレイしていて。
 
MORO:ライヴを観に行って、ステージに立ってる人達が一番楽しんでるだろうなぁって思うようなバンドが自分達は好きなんですよ。僕らも、お客さん以上にまず自分達が楽しまないとお客さんも絶対楽しくないだろうと思ってて、とにかくメンバー4人が楽しむ…その4人以上に自分自身が楽しむっていうのをライヴでは心懸けていますね。
 
SOTA:単純に、自分達がイイと思ってる曲をデカイ音で出してるだけで凄く楽しいんですよね、ホントに。
 
MORO:僕らは、圧倒的なエネルギーでお客さんを薙ぎ倒すようなバンドではないんですよ。そんな薙ぎ倒すだけの力もないし(笑)、お客さんとかなり近い目線で演奏している意識がありますから。真剣にやろうと思えば誰にでもできるようなことしかやってないつもりなんです。それを皆の前で堂々と立ってやるかやらないかの違いだけで。だから、“俺達、スゲエだろ!?”って誇示するよりも“皆だってできるんだよ!”みたいな部分を伝えられたらイイなと思ってますね。
 
──そんなURCHIN FARMですが、新宿ロフトで行われる『BEATSONIGHT! vol.2』を皮切りに、下北沢屋根裏でのワンマンまで全国17ヵ所でレコ発ツアーが控えております。
 
MORO:この『RainbowL』に関しては、最初に都内だけで廻って、夏のツアーがあって、これでもう3度目のツアーになりますからね(笑)。これでやっとファイナル・ツアーを迎えることができるし、ツアーの最中に旗を持って行って『RainbowL』に関わった人達にサインをしてもらってるんですけど、それも完成できるし、今までの流れのピリオドがようやく打てるから気合いは充分ですよ。曲も死ぬ ほど演奏してきてますからね。曲が熟成して一番美味しいところをバンバン見せられると思うし。特に、ワンマンは是非観に来てほしいですね。今までとこれからの僕らを一遍にお見せできる筈ですから。
 
──じゃあ今が一番、熟れたウニ(=URCHIN)の美味しい季節ってことですね。
 
SOTA:そうですね。ウニが刈り取られる直前、みたいな(笑)。間延びした生活のなかで、僕らの音楽がちょっとしたスパイスになれば嬉しいですね。
このアーティストの関連記事
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻