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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】メレンゲ(2004年10月号)- ノリとか勢いとかだけじゃなくって、1曲1曲大事に作ってきた

ノリとか勢いとかだけじゃなくって、1曲1曲大事に作ってきた

2004.10.01

メンバーの人間的な深みが見えたね

──では、本題であるミニ・アルバム『初恋サンセット』についてのお話を聞きたいのですが。メジャー2枚目にしてこんなにも素晴らしい新曲達が詰まっている作品が出来たことに、正直驚きました(笑)。
 
全員:ありがとうございます。
 
──夏のヴァカンスを楽しむこともなく(笑)、この作品の制作でコツコツ頑張っていたんだね。この作品を作り終えた今の心境はどんな感じなの?
 
クボ:終った~!! というのと、自分達のやりたいことが追求出来て、形に出来たなぁという満足感。
 
タケシタ:本当、ヴァラエティに富んでいる作品だなぁと。
 
──この作品は過去に出した『ギンガ』『少女プラシーボ』の両方の色が混ざりつつも、現在進行形のメレンゲも詰まっていて、多種多様な作品だと感じました。これは売れなきゃダメですよね(笑)。
 
全員:本当。本当(笑)。
 
──そして、人になが~く愛されそうな1枚になったよね。実際作業はどのくらい掛かったの?
 
ヤマザキ:2ヶ月半ですね。
 
──結構掛かるもんだね。本当に夏はなかったんだね!(笑)
 
クボ:捧げました(笑)。
 
タケシタ:『初恋サンセット』に(笑)。
 
スタッフ:ライヴやりながら、レコーディングしていましたからね。
 
──この作品のレコーディングはどんな感じに進行していたの?
 
ヤマザキ:結構ね…、メンバー同士、今までのレコーディングよりかはぶつかったね。もちろん良い意味でね。今回の作品は、原点回帰みたいなのがあって。『ギンガ』を作った時には、ただ単純に曲を最も良く聴こえるようにプレイしよう、アレンジしようって思っていただけで、それ以外のことを考える余裕もなく、結果 として音楽的にストイックだったところがあって。そして、気付いたら“ギター・ロック”というジャンルにカテゴライズされていた。このまま行ってしまったら、自分達を見失ってしまうなという気持ちがあって。それで始まったからね。作品的には『ギンガ』を作っていた頃に近いかな。
 
──いろんな衝突があっても、これだけの作品を作れたならとても健康的だよ。
 
ヤマザキ:そのお陰でメンバーがより深い部分でどう考えているのとか、俺から見て2人の悪いところ、もちろんそれを補うくらいの良いところも見えてきたしね。そういう人間的な深みが見えたね。
 
──このアルバムを聴いて、各々の自我の強さを良い意味で感じたんだよね。
 
タケシタ:メンバー個々人が“派手なプレイをしよう”とかあんまり考えなかったんだよね。曲をどうやって聴かせたいんだということを第一に考えて作ったアルバムかなぁ。
 
──この8曲を録る時には、さっき山ちゃんが言ったように、原点回帰するような作品にしよう! というテーマが元々あったんですか?
 
ヤマザキ:一番最初の頃はそんなのはなかったんですが、やっていくうちにそんな感じになってきた。
 
──前作は亀田誠治さんをプロデューサーに迎えて『サーチライト』を作ったじゃない? 今回はいろんなプロデューサーやミュージシャンとコラボレートしていますね。そのセレクションとセレクションした理由を聞いてみたいんですが…。
 
クボ:益子さんに関しては、ずっと前から一緒に仕事が出来ると良いなぁって思っていて。1回この機会にやってみたいなと思い、スタッフを介して僕らの音源を送ってもらったら反応があって。で、良い機会だったからお願いしました。HARCOさんに感しては、違うミュージシャンとコラボレートするのも良いのかなぁと。“HARCOさんだったら、僕らの曲をどんな風にいじってくれるのかなぁ~”とかそういう楽しみがあったりして。
 
──やっぱりコラボレートする相手によって、そのカラーははっきりと出るよね。
 
タケシタ:3曲目の『タイムマシーンについて』は渡辺善太郎さんにお願いして。
 
クボ:CHARAが好きで。CHARAの音は誰がやっているんだろう…? って思っていて。で、自分の好きなCHARAの楽曲は渡辺善太郎さんがやっていたので、お願いしました。
 
タケシタ:音源を渡したら、反応があったんだけど“長い曲じゃの~”って(笑)。
 
──例えば益子さんに、何故「きらめく世界」「二つの雨」をお願いしたのですか?
 
クボ:『きらめく世界』を俺らだけでやったら、単なるギター・ロックで終っていたなというのがあって。益子さんに相談したら、“全然出来るよ!”ってなってね。出来上がったのを聴いたら“うわ~、きた~”って。
 
タケシタ:“いいね~”ってなって(笑)。
 
──ちなみにセルフ・プロデュースはあるの?
 
タケシタ:4曲目の『水槽』、7曲目の『忘れ物』、8曲目の『初恋サンセット』ですね。
 
──そういった意味じゃ、本当にヴァラエティに富んでるよね。
 
クボ:8曲入りだよ。安いし(笑)。
 
──こんな立派な楽曲達を出してしまうと、次作がさらに期待されてしまいますね。
 
クボ:そうですね~(笑)。どうであれ、長く聴ける1枚になってくれると良いなぁと思います。
 
──そう! あとね、最後に収録されている「初恋サンセット」では、虫の声が入っていたり、最後はピアノで終っていたりして凄く良かったよ。あれはどうしてあんな感じにしたの? 凄く印象に残ったんだよね。
 
タケシタ:あのピアノは、俺らの知らないところでクボ君が弾いてた(笑)。
 
──あのピアノのテンポがさらに味が出ていて良かったよ。
 
クボ:弾けないだけなんだよね(笑)。最初はプロローグとかいろいろと考えていたんだけど、でも頭の部分に入っているより最後にあったほうが良いかなぁって」
ヤマザキ「ミニ・アルバムなんだけど、1曲1曲大事にした上で、最終的にはミニ・アルバム全部を通 して作品にしたかったんだよね。
 
──それは伝わるよね。で、虫の声はみんなで実際に録音しに行ったんでしょ?
 
ヤマザキ:多摩湖。西武球場のすぐそば。水辺にいた虫。
 
──ちょっと寂しさがある虫の声のように聴こえます。
 
ヤマザキ:最後の『初恋サンセット』には、実は水の音も入っていたりするんですよ。
 
──確かにざわざわしていたよね。
 
ヤマザキ:あれはね、湖の音。
 
クボ:2つ録って重ねたんだよね。
 
ヤマザキ:そこにね、メンバーみんなで録りに行ったから、『初恋サンセット』の曲のイメージが一緒だったんだよね。凄く風景とか綺麗でしたよ」 スタッフ「彼らの中でイメージがあったみたいで。トラックダウンが終った後にメンバーのほうから“マイナスイオンが足りない!”ということになって。実は、ラフ・ミックスを入れることにしたんですよ。
 
ヤマザキ:何かね、ミックスダウンしたやつは、音が綺麗すぎちゃって。
 
クボ:音楽的にまとまりすぎた感があって。もしかしたら、普通 の人からしたら綺麗なほうが良いって言う人もいるかもしれないけど。今回は、生々しさを残そう! ということになりました。
 
──アルバムのタイトルと一緒の曲名だしね。
 
クボ:去年から自分達で『初恋サンセット』という企画をやってきて。1回目の『初恋サンセット』の時に、自分らの中でテーマ曲みたいなものを作りたいというのがあって。勢いの良いライヴ・ナンバーを作ろうと思っていて。これを聴いたら『初恋サンセット』だ! みたいな。でも結局出来上がったのが、静かな曲になってしまって。ちょっとライヴ・ナンバーにはなれなかったなぁとは思ったけど。代わりに静かな景色の中で歌うメッセージの大事さに気付いた。
 
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