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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】音速ライン(2004年9月号)- ほろ苦い想い出を未来へと繋ぐ『青い世界』  

ほろ苦い想い出を未来へと繋ぐ『青い世界』  

2004.09.01

ファースト『うたかた』の快い衝撃から5ヶ月あけて、音速ラインから新しい音源が届く。タイトルは『青い世界』。軽やかに、しなやかに、ファーストに並び上を行くことのできる1枚に仕上がった。そしてキャプテンストライダムとの合同企画、初のツアーを経て、年末にはワンマンも決定。彼らの速さは確実に周りを、私たちを巻き込んで、気付けばその風景の中にどっぷり浸っている。その心地よい感覚をライヴでもぜひ体感して欲しいと思う。(interview:前原あさみ〈Quip〉・朝倉文江〈Quip〉)

良い意味でみんなの期待を裏切ります

──5月にファーストの『うたかた』をリリースしましたが、リリースしたことでの反響やバンド内の変化はありましたか?
 
大久保 剛(b):ありましたね。やっぱりホームページとかかな。
 
藤井敬之(vo, g):書き込み増えたなぁ。あとアコースティック・ヴァージョンで〈ひぐらし〉が入ってるのが、ライヴだとバンドでやってるから、それでびっくりしたって言ってくれる人もよくいるね。…CDがやっぱり仕上がり良いから、ライヴに来てがっかりしてもらいたくないってのがあって。だからライヴはその倍以上は頑張ってて。ライヴはカッコ良く見せたいよな。
 
──そしてセカンドが10月にリリース。けっこう精力的な感じのリリースですよね。良いものをコンスタントに出していけるっていうのはすごいですよ。
 
藤井:曲がね、いっぱいあるんですよ。
 
菅原健生(ds):『うたかた』を聴いてくれた人が“良いな”って思ってくれてるうちに次を聴かせたいなとは思ってますね。
 
──音速ラインのセカンドとして、今回のアルバムを作る上で考えていたことってありますか?
 
藤井:最近ライヴで演ってる曲は入れたくて、あとは前に『風景描写 』ってアルバムを出してたんだけど、それは自主で自分らで自宅で録ったものだから、良い音で自分たちも聴きたかったから、その中からも入れたくて。それでSEと、アコギの弾き語りも入れよう、って感じかな。だからあんまり考えはしなかったかな。
 
──では1曲ずつ曲紹介をお願いします。まず〈夕凪の橋〉。これは『風景描写 』からですね。
 
藤井:そうですね。そのまま入れてもおもしろくないんで、アレンジを変えて。
 
大久保:〈夕凪の橋〉って、曲自体はすごくマイナー感が漂ってるじゃないですか。でも前のイントロとか間奏だとすごくメジャー感があったんですよ、明るくて。それがイヤで変えたんです。
 
──ちなみにこの曲ができあがった頃の話って何かありますか?
 
藤井:新潟に旅行に行ったんだけど、新潟に夕凪の橋っていうのが本当にあるのね。先が海に飛び出してて、途中で切れてんの。すごいね、良いのよ。これを何かに残しておきたいと思って、それで作りました。
 
大久保:この曲ってさ、スパリラ(スーパーリラックス/音速ラインの前身バンド)から音速に変わるときにやった曲じゃない?
 
藤井:そうだね、音速の最初の曲かな。ものすっごい思い出深い曲ですよ。意外と大事な曲。
 
大久保:そのうちライヴでも演ります、もったいぶってすいません(笑)。
 
──では2曲めの〈ここにいる〉。
 
藤井:そうだなぁ…、生きているうちに何かを残したいとか、みんな思うよね。そっから発展してできた曲。何か、自分が生きた証拠を残したいっていうとこから、女々しい男のラヴ・ストーリーになった(笑)。
 
──続いて3曲め〈夏の日〉。
 
藤井:これはね、もう完璧に日記ですよ。あのね、岩手にフェスを観に行ったのね。そのときに何故か日本人に混じってポール・ウェラーが出てて(笑)。だから“憧れのあの人雨の中で/唄うあの歌は夏の思い出”の唄ってるのはポール・ウェラーだから。これ言っちゃうとね、興ざめみたくなるかもしれないから、そのへんは載せないほうが良いかもしれない(笑)。
 
──これはアコースティックで入ってるんですけど、最初からこういう感じだったんですか?
 
菅原:合奏はしてたけどね。
 
藤井:だからたぶんそのうち〈ひぐらし〉みたいになりますよ。
 
──次は〈青い空〉。
 
大久保:これはライヴでよく聴く曲ですね。
 
藤井:予想もつかない展開にしたくて。でも慣れると気持ち良いんだよね。
 
菅原:作ったときはいろいろ試した、パズルみたいに。
 
藤井:どうにかね、ヘヴィメタっぽいところが欲しくて。
 
大久保:俺は反対だったんですけどね。
 
藤井:その反対を押し切って、俺が。
 
菅原:最初はあんな感じじゃなかったんですよ。いろんなパターンがあって。
 
──歌詞の世界はどういうところから?
 
藤井:…何にもない空に、“この先どうなんだろう”って思うことってないですか? すっごい晴れててものすごい青いんだけど、普通なら“気持ち良いな”って思うところを、急に不安になることってないですか? 僕だけかな。そのへんを唄いたかったんだけど。
 
──では、SEの〈high&low365〉。
 
藤井:これは“365日浮き沈み”っていう意味ですね。でもあんまり意味はないですよ、SEだし。やっぱりライヴの前にテンション高くなれば良いだけだから。
 
──では最後の〈未来サントラ〉。
 
藤井:これはねぇ、自分がすごい落ちてたときにできた曲なんだよね。落ちてたときに“これじゃいかんな、前に進まなきゃ”って。前にやってたバンドがうまくいってなかったんだよね。人間ってカラ廻るとどこまでもカラ廻るんだよ。そこからどうにか抜け出したかったんだよね。たぶん自分を勇気づけるために作ったんじゃないのかな、わかんないけど(笑)。音速としては初期の曲だよね、『風景描写 』にも入ってるし。
 
──アルバム・タイトルは決まってますか?
 
藤井:『青い世界』になりそうです。さんざん悩んだんだけど、漢字の並びも好きだったから。
 
──ライヴのほうでは10月13日にキャプテンストライダムさんとの合同企画『ビールナイト☆おばけナイター』があって、そのあとがツアーですね。音速ラインではツアーは初めてですか?
 
藤井:音速としては初だね。行った先々でのおいしいものは全部食べてきたい(笑)。
 
大久保:そうだね。ライヴもがっつり演ってきたいですね。
 
──そして年末12月15日にはSHELTERで待望の初ワンマンが。
 
藤井:これでもか、これでもかってくらいに仕掛けを作りたいと思ってます。アミューズメントな。
 
大久保:いろいろおもしろいことができればなって。
 
藤井:本当、嬉しいよね。
 
菅原:お客さんが100パーセント音速ラインを観に来るんだもんね。
 
藤井:そんな状況初めてだから、その期待に応えられるようにしたいですね。
 
大久保:応えるっていうか、裏切るほうが…
 
藤井:え? 良い意味でね。良い意味で裏切る展開かな。いろんなことを用意しようと思ってます。
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