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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】ワタナベイビー(2004年5月号)- 世田谷が誇る稀代のメロディーメーカー、約5年振りのソロ・アルバムを完成!

世田谷が誇る稀代のメロディーメーカー、約5年振りのソロ・アルバムを完成!

2004.05.01

ライヴは“ベスト・オブ・ワタナベイビー”な選曲で

──凄く理想的な関係ですよね。…それではアルバムの話に戻りますけれども、この『ベビースター』というタイトルはどういう感じで付けたんですか?
 
ワタナベイビー:まず、“好かれたいなぁ”と思ってたんですよね。それで、“キャッチーで愛されやすいようなタイトルが良いなぁ”と思いまして。…あの、おばあちゃんとかがね、僕のことを“この人、ベイビーさん”って紹介されると、“ベビーさん、ベビーさん”って言うんですよね(笑)。普段“ベビーさん”って呼ばれる機会がなくて、それが“キャッチーだなぁ”と思いまして(笑)。例えば、『ベイビー・イッツ・ユー』とかだと普通 なんですよね。『試験管ベビー』とか『ベビースター』とかそういう単語が良いなぁと。『試験管~』のほうは、最近そういうバンドがいそうじゃないですか。で、『ベビースター』のほうが声に合ってるなぁと、それだけなんですけどね(笑)。
 
──なるほど。でも、このタイトルは凄い合ってるなぁと思いました。それで、この作品は11曲収録されていますが、〈サヨナラホームタウン〉は、先程も仰られましたがこのアルバムの為に書かれたインストで。何故、インストにしようと?
 
ワタナベイビー:あのねぇ、それはちょっといやらしい話なんですが。アルバム全体の分数がちょっと短かったんですよ。それで、2千幾らの値段を付けて売る以上ね、やっぱり40分は超えなきゃなぁって思ったんですよね(笑)。
 
──アハハハハ(笑)。
 
ワタナベイビー:で、何故インストをわざわざ収録したかと言うと、そこが僕の、オトナのいやらしいところでして。“これを上手くやれば、インストの仕事が来るんじゃないかなぁ”って、それだけなんですけどね(笑)。
 
──ホ、ホントですか?(笑)
 
ワタナベイビー:CMの仕事とか来たら良いんじゃないかなーって(笑)。
 
──アハハ(笑)。それで、この曲は引越しをされる前に書いたとか。
 
ワタナベイビー:ええ、まだ(引越しは)出来てないんですけどね(笑)。
 
──あ、そうなんですか(笑)。カーテンを開けて作ったみたいなことが解説にありましたが、やはりその窓から見える風景に影響を受けたりっていうようなことはありました?
 
ワタナベイビー:あ、ちょっとありますね。インストを書こうと思って書いたことがなかったので、“インストってどうやって作るんだ?”みたいな(笑)。なので、その日のムードを利用して書きました。
 
──そのインストを書いた時間帯って、夕方ですか?
 
ワタナベイビー:夕方ですね。
 
──そんな感じします(笑)。では、初めて作ろうと思って書いたインストを聴いてみた感触はどうでしたか?
 
ワタナベイビー:“これはモノになるのかなぁ?”ってことをずっと思ってましたね。何しろ、自宅でチューニングもせずに、適当に録ったものをスタジオに持って行って、どう料理するかっていう感じだったんで。でも、いろんなアレンジを施した結果 、最初のラフ・ミックスが一番良いなって。
 
──あ、そうなんですか。凄い!
 
ワタナベイビー:(笑)だから雑ですよ。
 
──そんな(笑)。またインストを作ってみたいっていうことは?
 
ワタナベイビー:そうですね、インストも悪くないなっていうか。とにかく、歌詞と声と歌い方がクローズアップされ過ぎてますんでね、それ以外の、楽器のプレイヤーとしても自分をクローズアップするのは楽しいな、という発見はありましたね。
 
──なるほど。これって、引越しをする前提だったからこのタイトルを付けたんですか?
 
ワタナベイビー:そうです。で、次が〈昼夜逆転〉という曲になるであろうということが大体、決まってまして。で、字面 を見ると“逆転サヨナラホームラン”に見えるかなぁと。
 
──あ~、………(困惑)。
 
ワタナベイビー:ふふっ(笑)。最後の最後に勝っちゃう、みたいな(笑)。
 
──あー、えっと、凄く良い意味ですね(笑)。
 
ワタナベイビー:まぁ、駄洒落です、ね(笑)。
 
──フフフ。えっと、今回、サード・クラスが参加してますが、元々仲良しだったんですか?
 
ワタナベイビー:えっとね、結構、最近ですね。彼ら、特にリーダーのはかまだ君がホフディラン時代から聴いて下さっていたようで。で、今年の1月にイヴェントに誘われて初めて一緒に演奏して、それがドンピシャでね。余りに気に入っちゃって。それで、“コーラスやってもらえませんかねぇ?”って下手に出てお願いしたら“出て良いんですか!?”って。
 
──そうなりますよ! だってファンだったら、どんなことがあっても優先しますもん。
 
ワタナベイビー:なんかそんな感じだったみたいで(笑)。
 
──サード・クラスのメンバーにしてみたら本当に幸せな出来事だったと思いますよ。そして、この作品のレコ発ライヴが大阪・名古屋・東京でありますよね。東京は新宿ロフトで行われますが、ロフトでライヴを演られることは、ファンの方々にしても感慨深いものがあると思うんですけれども、ご自身はどういった印象がありますか?
 
ワタナベイビー:まず、思いのほか人が入る場所なんで、それが心配だから“大丈夫なのか?”という議論を交わしましたけどね(笑)。その反面 、毎月プラスワンでもやってるもんですから[註:『風雲!ビートルズ大学』に宮永正隆氏と共に出演中]、自分の庭みたいな感覚もあるっていう、何とも不思議な感じですね。
 
──では最後に月並みですが、ファンの方々へメッセージを頂けますか?
 
ワタナベイビー:今回の作品は、バンド・サウンドではないんですよね。自分一人で演ってるような曲が結構、ございまして。要するに、ギターの僕とベースの僕と、ヴォーカルの僕とコーラスの僕がプレイしてる訳じゃないですか。それで、“僕って良いバンドだなぁ”と(笑)。“タイム感とか呼吸がバッチリ合ってるなぁ、コイツら”っていうところが伝わればなぁと思いますね。ライヴは、サード・クラスと一緒なんですけど、以前のレパートリーも演っちゃおうかなと思ってるんですよね。だから割と、“ベスト・オブ・ワタナベイビー”というような選曲にするつもりなので、面白いと思います。それから、今回、新レーベルに移籍して心機一転、非常に楽しんで仕事をしてるので、この、無理せずに心から楽しんでいる雰囲気を、僭越ながら分けて差し上げたいと思っております(笑)。
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